再エネ賦課金とは?電気料金との関係や知っておきたい基礎知識を解説

再エネ賦課金とは?電気料金との関係や知っておきたい基礎知識を解説

再エネ賦課金とは?電気料金との関係や知っておきたい基礎知識を解説

電気使用量のお知らせをじっくりと眺めた経験がある方であれば、「再エネ賦課金」という言葉を目にしたことがあるはずです。知らぬ間に支払っている「再エネ賦課金」とは何かを解説します。定義や単価を知って、電気料金に関する疑問を解消しましょう。

目次

1.再エネ賦課金ってそもそも何?

 1-1.再エネ賦課金とは

 1-2.再エネ賦課金の目的

 1-3.再生可能エネルギーの種類

2.再エネ賦課金の計算方法と推移

 2-1.再エネ賦課金の計算式と電気代の試算

 2-2.制度開始以来の再エネ賦課金単価の推移

3.再エネ賦課金の負担を軽減する方法

 3-1.太陽光発電を導入する

 3-2.節電を実践する

4.再エネ賦課金はすべての電気契約者が支払う費用

再エネ賦課金ってそもそも何?

電気の使用者であるなら知っておきたい、再エネ賦課金の基礎知識を解説します。再エネ賦課金に関する知識を手に入れて、電気料金の中身に精通した「賢い消費者」を目指しましょう。

再エネ賦課金とは

再エネ賦課金とは、正式名称を「再生可能エネルギー発電促進賦課金」といいます。再生可能エネルギーで発電された電気の買い取りにかかった費用を、電気を消費する契約者に負担してもらうシステムを指します。電力会社が電気契約者から徴収し、その全額を国に納めています。

再エネ賦課金の背景には、「FIT制度(固定価格買取制度)」と「FIP制度」があります。これらの制度によって発電事業者に支払われた費用を、電気契約者が再エネ賦課金として負担する仕組みです。

FIT制度とは、電気を消費者に届ける電力会社に対し、発電事業者が再生可能エネルギーを活用して発電した電気を一定価格・一定期間買い取るように義務付ける制度を指します。

またFIP制度とは、再生可能エネルギーを用いて発電した電気について、市場価格に一定額のプレミアム(補助金)を上乗せする制度です。電気契約者の再エネ賦課金負担を軽減しつつ、再生可能エネルギーの主力電源化を実現するために設けられました。

再エネ賦課金の目的

電気の使用者に再エネ賦課金の負担を求める目的は、再生可能エネルギーの普及です。

再生可能エネルギーは、石油や石炭などの限りある資源を活用した発電方法(枯渇性エネルギー)と比べ、発電にかかるコストが高い傾向があります。そのため、何のサポートもせずにいれば、コスト面で劣る再生可能エネルギーの普及は難しいといえるでしょう。

再生可能エネルギーで生み出した電気を一定額で購入させ、再生可能エネルギーを用いて発電を行う事業者の利益の安定と事業の継続を推し進めることが、再エネ賦課金の目的です。

再生可能エネルギーの種類

再生可能エネルギーとは、自然の力を活用して電気を作る方法のことです。具体的には下記のような発電方法を指します。

・太陽光発電
・風力発電
・水力発電
・地熱発電
・バイオマス発電

再生可能エネルギーを普及させるメリットとして挙げられるのが、エネルギー自給率の向上です。資源の乏しい日本では、発電に必要な燃料の多くを輸入に頼っています。再生可能エネルギーが普及すれば、自国にある資源を用いて発電を行うことが可能になるのです。

また、再生可能エネルギーが普及すれば、発電に必要な燃料の高騰による電気料金の値上がりを防ぐ効果も期待できます。エネルギー自給率が低いままでは、世界的な資源価格の高騰の影響を受けるのは避けられません。自国の資源で電気を賄えるようになれば、安定したコストで消費者に電気を届けられます。

さらには、再生可能エネルギーの普及は、温室効果ガスの排出量削減にも一役買ってくれます。石油や石炭などを燃やす火力発電は、多くの温室効果ガスを発生させる発電方法です。その点、太陽や風などの力を活用する再生可能エネルギーは、温室効果ガスをほとんど排出しません。再生可能エネルギーの普及は、二酸化炭素の排出ゼロを目指す「脱炭素社会」の実現に貢献する取り組みといえます。

再エネ賦課金の計算方法と推移

再エネ賦課金に関する知識を深めるには、電気契約者が毎月どれくらいの再エネ賦課金を負担しているかを知っておくことも重要です。併せて再エネ賦課金単価の推移も確認しておけば、再エネ賦課金の実像に迫ることができるでしょう。再エネ賦課金の計算方法と単価の推移を解説します。

再エネ賦課金の計算式と電気代の試算

再エネ賦課金は電力使用量に応じて支払う額が決まる仕組みであるため、再エネ賦課金の額は「電力使用量(kWh)×賦課金単価(円)」で求められます。

2025年5月分から2026年4月分までの再生可能エネルギー発電促進賦課金単価は、3.98円/kWhです。また、1世帯が1年間で消費する電気の量は平均3,950kWhです。この値を1カ月単位に換算すれば、約329.17kWh(≒約330kWh)となります。

以上のことから、1カ月あたりの電気代に占める再エネ賦課金の平均額は、約1,313.4円です。

※出典:賦課金等について|再生可能エネルギーの固定価格買取制度|東京電力エナジーパートナー株式会社

制度開始以来の再エネ賦課金単価の推移

再生可能エネルギー発電促進賦課金単価は毎年度新たに設定されます。再エネ賦課金単価の推移は以下の通りです。

2012年度0.22円/kWh
2013年度0.35円/kWh
2014年度0.75円/kWh
2015年度1.58円/kWh
2016年度2.25円/kWh
2017年度2.64円/kWh
2018年度2.90円/kWh
2019年度2.95円/kWh
2020年度2.98円/kWh
2021年度3.36円/kWh
2022年度3.45円/kWh
2023年度1.40円/kWh
2024年度3.49円/kWh
2025年度3.98円/kWh

単価上昇の背景には、再生可能エネルギーの導入量が増えていることが挙げられます。普及に伴って買い取りにかかる費用が増加しているため、消費者の再エネ賦課金負担額も上昇傾向にあります。

なお、再エネ賦課金の仕組みは国が定めた制度であるため、再エネ賦課金の単価はどの電力会社であっても一律です。契約する電力会社によって左右されることはありません。

※出典:再生可能エネルギー発電促進賦課金の推移|新電力ネット

再エネ賦課金の負担を軽減する方法

電気代の節約に真剣に取り組んでいるご家庭であれば、「再エネ賦課金の負担もできるだけ抑えたい」と考える方も多いでしょう。再エネ賦課金は再生可能エネルギーの普及を推し進める上で必要なお金ですが、工夫次第で負担を軽減することは可能です。再エネ賦課金の負担を抑える方法を解説します。

太陽光発電を導入する

支払う再エネ賦課金の額を少なく抑えるには、太陽光発電の導入が効果的です。太陽光発電の導入により、電力会社から購入する電気の量が減れば、電力使用量を基に計算する再エネ賦課金の負担を抑えられると考えられます。

理論上、自宅で消費するすべての電気を自宅に設置した太陽光発電システムで賄えるようになれば、電力会社に支払う電気代をゼロにできるため、再エネ賦課金の負担もゼロにできるといえるでしょう。

太陽光発電は日中しか発電できないため、ご家庭で消費するすべての電気を太陽光発電で賄うのは困難です。しかし、蓄電池を導入したり節電を実施したりすることにより、電気の自給率を100%に近づけることも可能です。

節電を実践する

再エネ賦課金の負担を軽減するには、使用する電気の量を減らす取り組みが効果的です。再エネ賦課金は電力使用量が多いほど負担が大きくなる仕組みであるため、節電を実施して使用する電気の量を抑えられれば、再エネ賦課金の負担を軽減できます。

具体的には、下記のような取り組みを行うのがおすすめです。

・使用していない電化製品は主電源から切る:「待機電力」を減らすことで節電につながる
・エアコンを付けるときはサーキュレーターを併用する:部屋の温度ムラをなくしてエアコンの効率を高める
・冷蔵庫には食材を詰め込まない:庫内に冷気の通り道を作ることで冷却効率を維持する

小さな工夫が再エネ賦課金の負担軽減につながると心得ておきましょう。

再エネ賦課金はすべての電気契約者が支払う費用

再エネ賦課金は、再生可能エネルギー普及のために全国の電気契約者が公平に負担するお金です。脱炭素社会の実現に寄与する重要なお金といえるでしょう。電気代の一部として支払う再エネ賦課金は、年々上昇傾向にあります。単価の推移や計算方法を把握しておけば、「なぜ電気代が上がったのか」を正しく理解することができるはずです。再エネ賦課金の仕組みや意義を理解することが、賢く家計を管理する第一歩となるでしょう。

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