一人暮らしの電気使用量の目安は?電気代を節約するポイントも解説
一人暮らしを始める際、毎月の光熱費が気になる方も多いでしょう。特に電化製品の使い方によって、電気代は大きく変動します。一人暮らしの電気使用量の目安や、電気代を節約するポイントを知っておきましょう。代表的な電化製品の節電方法も紹介します。
目次
一人暮らしにおける電気使用量の現状
一人暮らしの電気使用量は、日々の生活スタイルや、使用している電化製品によって変わってきます。しかし、一人暮らしの平均的な電気代を把握しておくことで、ご家庭の電気使用量が多過ぎないか、どの部分を節約すべきかなどが分かるようになります。
また、季節によっても電気使用量は大きく変動するため、年間を通じて電気代がどのように推移するのか把握しておくことも重要です。一人暮らしの電気代の目安を押さえておきましょう。
一人暮らしの電気代の平均は6,726円
総務省の家計調査(2023年)によると、一人暮らし(単身世帯)の電気代の全国平均は、月に6,726円です。また、電気使用量(kWh)は環境省の調査によると年間4,175kWhとなっており、単純に12ヶ月で割るとひと月当たり約348kWhほど消費している計算となります。
当然、同じ一人暮らしの世帯でも、電化製品の使い方やライフスタイルなどによって、毎月の電気代の負担は異なります。電気代を抑えるには、まずどの製品が多くの電力を消費しているかを把握し、必要に応じて使い方を見直すことが大切です。
※出典:e-Stat 政府統計の総合窓口
※出典:家庭のエネルギー事情を知る
季節ごとの電気使用量の変化
季節によって電気使用量は大きく変わってくるので、大まかな傾向も押さえておきましょう。上記、総務省の家計調査(2023年)によると、一人暮らし世帯の四半期ごとの電気代(電気使用量)の平均は次の通りです。
時期 | 電気代 | 電気使用量 |
1~3月期 | 9,340円 | 約301kWh |
4~6月期 | 5,486円 | 約177kWh |
7~9月期 | 5,842円 | 約188kWh |
10~12月期 | 5,833円 | 約188kWh |
全体として、暖房器具の使用機会が増える冬場に、電力消費が高まる傾向があります。これは一人暮らし世帯だけではなく、二人以上の世帯でも同様です。電気代の負担を効率的に軽減するには、特に電力使用量が大きくなる冬場の電化製品の使い方を、工夫しましょう。
※出典:e-Stat 政府統計の総合窓口
電気料金の仕組みと計算方法
電気代は、単に消費した電力の分だけ請求されるわけではありません。いくつかの要素で構成されているので、ここで理解しておきましょう。
以下のように、電気代は「基本料金」や「従量制料金(電力量料金)」に加え、燃料費調整額や再生可能エネルギー発電促進賦課金などが、加算される仕組みになっています。
基本料金
電気料金は主に「基本料金」と「従量制料金(電力量料金)」で構成されています。基本料金は、契約しているアンペア数に応じて決まるケースが多く、たとえ電気を使わなくても、毎月固定でかかる料金です。例えば、30Aの契約ならば、基本料金は月々約800~1,000円程度です。
一方で、関西・中国・四国エリアなどでは「最低料金制」が採用されています。この契約形態では、一定の使用電力量分までを最低料金として計算し、使用量が最低料金分を超える場合、その分の料金が追加されます。
従量料金(電力量料金)
従量制料金とは、実際に使用した電力量に応じて課される料金で、次の計算式で算出されます。
1カ月の電力の使用量×電力量の料金単価(円/kWh)
電力量の料金単価は、契約している電力会社の料金プランによって変わってきます。
一般的には、使用量によって3段階に分かれており、使用量が増えるにつれて料金単価も上がる仕組みを採用していることが多いですが、近年では市場価格に連動したプランなども登場しています。詳細は契約中の電力会社の公式ページで確認してみましょう。
燃料費調整額
燃料費調整額は、主に発電に使われる燃料(石油、石炭、LNGなど)の価格変動を調整するため、電気料金に加算される項目です。これは、国際的な燃料価格や為替レートの変動などによって決まるため、電力会社ごとに異なる場合があります。
ただし、いわゆる新電力の場合、燃料費調整額が採用されていないケースもあります。燃料費調整額が電気代に含まれるかどうか、事前に各電力事業者の料金プランをチェックしておきましょう。
再生可能エネルギー発電促進賦課金
再生可能エネルギー発電促進賦課金は、再生可能エネルギーの導入を促進するために設けられた制度で、電気代に上乗せされる形で課されます。これは国が定めた基準に基づき、すべての電力会社が全国共通の単価で電気代に加算する金額です。
太陽光発電や風力発電といった、クリーンエネルギーの普及に必要なコストを賄うもので、再生可能エネルギーの発電量やコストに応じて変動します。賦課金の増減により、電気代の負担額が変わるケースがあるので注意しましょう。
※出典:再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度における2024年度以降の買取価格等と2024年度の賦課金単価を設定します (METI/経済産業省)
電気代が高くなってしまう原因
一人暮らしで電気代が高くなってしまう原因として、主に以下の点が挙げられます。電化製品の使用頻度や種類、使い方によって電気代が大きく変わるだけでなく、無意識のうちに発生している電力消費も影響します。
また、古い家電製品はエネルギー効率が悪く、最新の省エネ家電に比べて多くの電力を消費してしまうケースも珍しくありません。こうした原因を理解し、日常生活における電気使用量を見直すことが、電気代の負担を軽減するための第一歩です。
電化製品を頻繁に使っている
一人暮らしでも、テレビや電子レンジなどの電化製品を頻繁に使用していると、毎月の電気代が高くなってしまいます。仕事や趣味などで、パソコンを長時間使用しがちな方も、電気代の負担が大きくなりやすいので注意しましょう。
特に、毎日のように長時間使用する電化製品については、使用時間を短縮したり、設定温度を見直したりして、消費電力を抑えることが重要です。定期的に使用状況をチェックし、無駄な使い方をしないように心掛ける必要があります。
待機電力の消費が多い
スタンバイ状態で、常に待機電力を発生させている電化製品が多い場合も、電気代の負担が増えてしまいます。電化製品の中には使用していない間でも、電力を消費し続ける待機電力が発生する製品が少なくなりません。
例えば、テレビや電子レンジ・パソコンなどは、電源を切ってもスタンバイ状態の場合、待機電力を消費してしまうので注意しましょう。長時間使用しない場合は、コンセントから抜くか、スイッチ付きの電源タップを利用するのが有効です。
なお、待機電力に関しては以下の記事で詳しく解説しています。こちらも参考にしてください。
古い電化製品を使い続けている
古い電化製品は消費電力が大きい傾向にあるため、長く使い続けていると、新しい製品を使うのに比べて電気代の負担が大きくなります。近年の電化製品は省エネ性能に優れたものが多いため、特に10年以上使用している電化製品については、買い替えを検討してみましょう。
エアコンや冷蔵庫、洗濯機などは、最新モデルに買い替えることで、電気代を大幅に削減できる可能性があります。
一人暮らしで電気代を節約するには?
一人暮らしでも、ちょっとした工夫で電気代の節約が可能です。以下のように、日常的に使用する電化製品の使い方や、選び方に気を配ることで、無駄な電力消費を抑えるように工夫しましょう。また、電力会社の料金プランや、契約内容を見直すことも節約に繋がります。
電化製品の使い方を工夫する
まずは、電力消費量の大きい電化製品の使い方を工夫することで、電気代を節約するのが基本です。エアコンの温度設定を調整したり、冷蔵庫の扉を開ける時間を短くするなど、日々の電化製品の使い方を少し工夫するだけで、電気代を効果的に節約できます。
また、電化製品のタイマー機能を活用して、必要な時間だけ使用するのもおすすめです。さらに、家電を使用しないときには、節電モードを積極的に活用しましょう。例えば、テレビやパソコンなどの節電機能を使用することで、消費電力を抑えつつ快適に利用できます。
省エネ性能の高い電化製品を導入する
省エネ性能の高い製品にすることで、使い方を変えなくても電気代を安くできます。上記のように、購入後10年以上経過している電化製品は、積極的に買い替えを検討しましょう。
省エネ性能の高い電化製品は、購入費用は高い傾向にあるものの、長い目で見ると電気代の節約につながります。特に、エアコンや冷蔵庫などは、省エネ性能の違いが電気代に大きく影響します。購入の際には、製品の省エネラベルを確認し、消費電力量の少ないものを選ぶとよいでしょう。
契約アンペア数を変更する
一人暮らしの場合、電力会社との契約アンペア数を適切に見直すことで、電気代の節約が可能です。例えば、契約中のアンペア数を30Aから20Aに変更すると、基本料金が安くなるため、それだけで毎月の電気代の負担を抑えられます。
ただし契約するアンペア数を低くしすぎると、ブレーカーが落ちやすくなるため、自分のライフスタイルに合った契約にすることが大事です。毎月の電気使用量を確認した上で、適切なアンペア数を検討してみましょう。適切なアンペア数の目安に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。
代表的な電化製品の節電方法
代表的な電化製品の節電方法も押さえておきましょう。日常生活でよく使う電化製品の節電方法を知ることで、電気代の効果的な節約が可能です。以下のように、エアコンや冷蔵庫・パソコン・照明器具は工夫次第で電力消費を抑えられるので、この機会に使い方を見直してみましょう。
エアコン
エアコンは適切な温度設定にするのが、節電の重要なポイントです。環境省によるとエアコンの設定温度は、夏は28度・冬は20度前後に設定するのがよいと推奨しています。
ただし、快適性が損なわれる可能性もあるので、この基準にこだわらず、心地よい温度に設定するように心掛けましょう。重要なのは暑過ぎたり寒過ぎたりしないように、適宜設定を変更することです。
また、こまめなフィルターの掃除も、エアコンの効率的な運転を可能にするので、節電につながります。2週間に1度、少なくとも1カ月に1度は掃除するようにしましょう。
それに加えて、扇風機やサーキュレーターなどとエアコンを併用すれば、効率的に室内に冷風・温風を循環させられるので、快適な室温を保ちやすくなり、全体の電力消費の削減につながります。
冷蔵庫
冷蔵庫は温度設定を中程度で利用し、物を詰め込み過ぎないようにしましょう。さらに、扉を開ける回数をできるだけ減らすことで、冷気が外部に逃げるのを防げるため、電力消費を抑えられます。日常的に細かい部分に気を遣うことが、節電のポイントです。
また、冷凍庫の場合は、物を詰め込んだ方が効率よく冷やせるため、空きスペースをなるべく減らすと効果的です。冷蔵庫・冷凍庫ともに設置場所は壁から適度な距離を保ち、通気を良くして運転効率を向上させる点も忘れないようにしましょう。
パソコン・テレビ
パソコンやテレビの場合、未使用時は電源を完全に切り、待機電力を発生させないことが大事です。これらは他の電化製品に比べて、待機電力が多く消費される傾向にあるため、長時間使用しないときは、電源をコンセントから抜いておくとよいでしょう。
また、ライトの明るさをできるだけ抑えて利用することも大事です。画面の明るさを標準以下に調整することで、無駄な電力消費を減らせます。また、パソコンの使用中はバックグラウンドで不要なアプリの稼働やプロセスを停止させ、CPUの負荷を軽減することで省エネにつながります。
照明器具
照明の節電には、LED電球の導入がおすすめです。LED電球は、従来の白熱電球や蛍光灯に比べて消費電力が少なく寿命も長いため、初期費用は高めでも、長い目で見れば大きな節電効果を得られます。
また、照明を使用しない部屋の電気はこまめに消し、調光機能や人感センサー付きの照明器具を取り入れることで、無駄な電力の消費を抑えられます。照明に限らず、必要な時にのみ電気を使う生活習慣を付けることが大切です。
料金プランや電力会社の見直しも検討しよう
電気代を節約するには、料金プランや電力会社の見直しも検討しましょう。1度契約した料金プランや電力会社を長く利用し続ける方も多くいますが、適宜見直しを図ることで、電気代の負担軽減につながります。
特に電力の小売自由化以降、さまざまな電力会社が多様な料金プランを提供しているため、自分の生活スタイルや電気使用量に合ったプランを選ぶことで、無駄なコストを減らせます。
電力会社を乗り換えるメリット
2016年の電力の小売完全自由化により、さまざまな電力事業者が市場に参入しており、消費者は多様な料金プランを選べるようになりました。
電力会社を乗り換えることで、ご家庭の電気使用量やライフスタイルに合ったプランを選択しやすくなり、毎月の電気代を安くできる可能性があります。電力消費の少ない時間帯にお得なプランや、ポイント還元が受けられるプランなどもあるので、複数の電力会社のプランを比較・検討してみるとよいでしょう。
電力会社の選び方のポイント
電力会社を選ぶ際のポイントは、上記のように、まず自分のライフスタイルに合った料金プランを見つけることです。
また、契約期間や解約金の有無、ポイント制度などの有無などもチェックして、総合的にお得なプランを選ぶことが大事です。さらに、電力会社独自のキャンペーンや、特典などもうまく活用することで、電気代をさらに節約できる可能性があります。
一人暮らしの電気使用量を賢く管理
一人暮らしの電気使用量は、ちょっとした工夫で抑えられるので、賢く電気を利用して電気代を節約しましょう。特に、消費電力の大きい電化製品の使い方を見直し、省エネ製品の導入や待機電力の削減を心がけましょう。
また、定期的に料金プランや電力会社の契約を見直してみましょう。これから一人暮らしを始める方は、本記事で紹介した節電ポイントを早い段階から取り入れれば、無駄な光熱費の出費を効率的に抑えられます。細かい節電対策を積み重ねて、毎月の電気代を少しずつ減らしていくことが重要です。