電子レンジの消費電力はどのくらい?電気代の計算方法や節約するコツ
電子レンジの消費電力はどのくらい?電気代の計算方法や節約するコツ
電子レンジには500Wや600Wの表示がありますが、そのまま消費電力として電気代を計算してよいのか気になる方もいるでしょう。電子レンジの消費電力の正しい見方を解説し、電気代の節約方法も併せてご紹介します。
目次
電子レンジの消費電力はどのくらい?
電子レンジの電気代は消費電力を用いて計算できます。ただし、500Wや600Wの表示がそのまま消費電力ではない点に注意が必要です。
出力ワット数=消費電力ではない
電子レンジに表示されている500Wや600Wは、定格高周波出力と呼ばれる数値です。定格高周波出力は庫内の食品を温めるために使われるエネルギーを指し、数値が大きいほど温める力が強くなります。
電子レンジは温め以外でも電力を使用していますが、定格高周波出力で表示されている出力ワット数には、温め以外で使用する電力が含まれていません。表示されている数値より大きな電力が消費されています。
電子レンジの実際の消費電力は、表示されている出力ワット数の1.5~2倍です。出力ワット数が500Wの場合、実際には約750~1,000Wの電力が消費されます。
電子レンジの電気代の計算式
電子レンジの電気代を知りたい場合は、表示されているワット数をもとに計算するのではなく、カタログや取扱説明書に記載されている消費電力を用いて計算しましょう。電化製品の電気代は次の式で求められます。
電気代=消費電力(kW)×使用時間(h)×料金単価(円/kWh)
電気料金の目安は31円/kWh(全国家庭電気製品公正取引協議会より)です。
パナソニックの電子レンジ「NE-FL1A」を例に取り、Webサイトに記載の消費電力1.40kWを用いた電気代の計算を確認しましょう。
- 1分あたりの電気代:1.40kW×(1分/60分)×31円/kWh=約0.72円/分
- 3分使用した場合の電気代:0.72円/分×3分=約2.16円
- 5分使用した場合の電気代:0.72円/分×5分=約3.6円
※出典:詳細情報 単機能レンジ NE-FL1A | オーブンレンジ・単機能レンジ | Panasonic
電子レンジの消費電力をほかの電化製品と比較
電子レンジでの温め・解凍とほかの電化製品での処理は、どちらの電気代が高くなるのでしょうか。代表的な3つのパターンで検証します。
炊飯器でごはんを保温する場合
炊飯器で炊いたごはんを保存する方法には、炊飯器での保温と冷凍保存の2種類があります。
保温と冷凍を電気代で比較する場合、保温の目安は4時間です。一般的には、保温時間が4時間を超えると、電子レンジで解凍するほうが電気代を抑えることができます。
炊飯器での保温時間を短くしたい場合は、ごはんをまとめて炊いて冷凍保存しましょう。また、食べる直前に炊き上がるようにタイマーを設定するのもおすすめです。
オーブンでピザを焼く場合
冷凍ピザの調理方法には、オーブンで焼く方法と電子レンジで温める方法の二つがあります。パナソニックのオーブンレンジ「NE-MS4B」を使い、オーブン機能でピザを焼いた場合の電気代を見てみましょう。
NE-MS4Bのオーブン機能の消費電力:1.22kW
- 1分あたりの電気代:1.22kW×(1分/60分)×31円/kWh=約0.63円/分
- 5分使用した場合の電気代:0.63円/分×5分=約3.15円
電子レンジ「NE-FL1A」と比較すると、オーブン機能でピザを焼いたほうが経済的です。ただし、実際にかかる電気代は製品や加熱時間などにより異なります。
※出典:詳細情報 オーブンレンジ NE-MS4B | オーブンレンジ・単機能レンジ | Panasonic
電気ケトルでお湯を沸かす場合
電子レンジで水を温めてお湯にするケースと、電気ケトルでお湯を沸かすケースでは、どちらが経済的なのでしょうか。タイガー魔法瓶の電気ケトル「<5SAFE+> PCM-A061/A081」を例に取り、検証します。
<5SAFE+> PCM-A061/A081の消費電力:1,300W
- コップ1杯のお湯を沸かす時間:約1分(Webサイトに記載あり)
- 1分あたりの電気代:1.3kW×(1分/60分)×31円/kWh=約0.67円/分
電子レンジで水を1分間温めた場合でも、電気ケトルのほうが経済的です。
※出典:電気ケトル<5SAFE+> PCM-A061/A081 – タイガー魔法瓶
電子レンジの電気代を節約する方法
電子レンジは毎日のように使う電化製品であるため、節約を意識して使えば年間の電気代に少なくない影響を与えられるでしょう。電子レンジの電気代を節約する方法をご紹介します。
食品を置く位置を工夫する
電子レンジで食品を温める際は、食品の置く位置を工夫しましょう。加熱ムラを抑えられる置き方を意識すれば、何度も温め直すことがなくなります。
ターンテーブルがある電子レンジでは、中央からやや外よりの位置に食品を置くのがポイントです。ターンテーブルが回転しながら食品にバランスよくマイクロ波が当たるため、加熱ムラを抑えられます。
ターンテーブルがない電子レンジの場合は、庫内の中央に食品を置きましょう。センサーは中央にある食品を感知して加熱するため、加熱ムラを抑えた温めが実現しやすくなります。
庫内をこまめに掃除する
電子レンジの庫内に汚れが付着していると、加熱効率が低下し温めに時間がかかりやすくなるため、電気代も高くなります。庫内は常にきれいな状態を保つようにしましょう。
庫内の汚れは発煙や発火を引き起こす恐れがあることも注意点です。マイクロ波が汚れに当たることによる発煙や発火は、電子レンジの故障を引き起こす恐れがあります。
冷凍食品はある程度解凍しておく
冷凍食品を使いたい予定がある場合は、あらかじめ冷蔵庫に移しておき、自然解凍するのがおすすめです。加熱時間を短縮できるため、電子レンジの節電効果が期待できます。
食品によっては解凍に半日から1日かかることもあります。翌日分の献立も考慮し、できるだけ早めに冷蔵庫へ移しておくとよいでしょう。
大きな塊は小分けにして解凍する
大きな塊になっている冷凍食品を電子レンジで解凍すると、内部まで熱が伝わりにくく、何度も解凍することになりかねません。加熱時間が長くなり電気代も上がってしまいます。
大きな塊の食品はあらかじめ小分けにして冷凍しましょう。食べる量ごとに分けて冷凍すれば、調理の時短にもつながります。
新しい機種に買い替える
古い電子レンジを使い続けていると、経年劣化により熱効率が下がり、余計な電力を消費しているケースがあります。長年使い続けていると安全性も低下するため、新しい機種に買い替えるのがおすすめです。
1999年の省エネ法改正により、メーカーや輸入業者を対象としたトップランナー制度が導入されています。トップランナー制度とは、対象機器におけるエネルギー消費効率の向上を促すとともに、エネルギー消費効率の表示を求める制度です。
トップランナー基準の対象となっている32種類の機器の中には、電子レンジも含まれています。
また、製品ごとに表示されている省エネルギーラベルを見れば、トップランナー基準の達成率がわかります。新しい機種に買い替える際には、省エネルギーラベルもチェックするとよいでしょう。
※出典:機器の買換で省エネ節約 | 家庭向け省エネ関連情報 | 省エネポータルサイト
電力会社を変更する
2016年の電力小売自由化をきっかけに、新電力と呼ばれる電力会社が電力市場へ続々と参入しました。現在は電力会社の選択肢が大幅に増えており、消費者は料金プランやサービスを比較して契約先を自由に選べるようになっています。
今まで大手電力会社(旧一般電気事業者)しか利用したことがない方は、ほかの電力会社の料金プランやサービスも確認してみましょう。現在契約中の電力会社より電気料金が安い電力会社に変更すれば、それだけで電気代を抑えられる可能性があります。
電力会社を変更しても電気の品質が低下することはありません。電気の提供エリアは電力会社ごとに決まっているため、電力会社を比較する際は、自分が住んでいる地域が対象エリアかどうかを最初に確認しましょう。
エネワンでんきでは、使用量に合わせたプランと特典が選べます。電力会社の乗り換えを検討しているなら、ぜひエネワンでんきをご検討ください。
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電子レンジのよくある疑問
電子レンジの消費電力や電気代を考える際に生じやすい疑問と回答をまとめました。今後の生活の参考にしましょう。
お弁当を温める際のワット数がない場合は?
スーパーやコンビニで購入したお弁当には、電子レンジで温める際のワット数の目安が表示されていることがあります。ご家庭の電子レンジにはないワット数が表示されている場合、温める時間を悩みがちです。
このようなケースでは、お弁当に表示されているワット数と加熱時間を掛け合わせ、ご家庭の電子レンジのワット数で割りましょう。実際に温めるべき時間を求められます。
「1,500Wで3分」のお弁当を600Wで温める場合、実際に温める時間の計算は以下の通りです。
1,500×3分÷600W=7.5
この計算式から、600Wで7分30秒温めればよいことになります。
電子レンジとオーブンレンジは何が違うの?
電子レンジとオーブンレンジの最大の違いは加熱方法です。電子レンジがマイクロ波で食品を内側から加熱するのに対し、オーブンレンジはヒーターによる熱で食品を外側から加熱します。
電子レンジとオーブンレンジはできることも違います。単機能レンジとも呼ばれる電子レンジでできるのは、基本的に温めと解凍のみです。一方、オーブンレンジは温めと解凍に加え、オーブンやグリルでのヒーター加熱による焼き調理もできます。
蒸気を使って調理するスチームオーブンレンジなら、蒸す・煮る・揚げるといった調理も可能です。オーブンレンジを導入すれば、料理の幅が広がるでしょう。
電子レンジの消費電力を理解しよう
電子レンジに表示されているワット数は、実際に消費する電力を示すものではありません。電気代を計算する際は、取扱説明書やカタログに記載されている消費電力を用いましょう。
電子レンジの電気代は工夫次第で安く抑えることが可能です。電子レンジ以外にかかる電気代も節約したい場合は、電力会社の変更も検討してみましょう。