床暖房・エアコンの電気代を比較。電気代を抑えるポイントを解説

床暖房・エアコンの電気代を比較。電気代を抑えるポイントを解説

床暖房・エアコンの電気代を比較。電気代を抑えるポイントを解説

床暖房とエアコンは、どちらも部屋全体を暖められる暖房器具ですが、毎月かかる電気代をはじめ、多くの違いがあります。床暖房とエアコンのそれぞれのメリットや注意点、電気代を節約するためのポイントなどを解説します。ぜひ、参考にしてください。

目次

1.床暖房とエアコンの電気代はどちらがお得?

 1-1.床暖房の電気代の目安

     1-1-1.電気式床暖房システムのランニングコスト

     1-1-2.温水式床暖房システムのランニングコスト

    1-1-3.温水式の方がランニングコストが安い理由

 1-2.エアコンの電気代の目安

 1-3.電気代はエアコンの方が安い

2.床暖房を導入するメリット

 2-1.足元から部屋を効率的に暖められる

 2-2.部屋の空気を綺麗なまま保つことができる

 2-3.お手入れや部屋の掃除がしやすい

3.床暖房のデメリットや注意点

 3-1.導入に時間と費用がかかる

 3-2.部屋の暖まり方にムラが出る場合がある

4.床暖房とエアコンのどちらを選ぶべき?

 4-1.床暖房がおすすめの家庭

 4-2.床暖房とエアコンの併用を考えるのがおすすめ

5.床暖房の電気代を節約するには?

 5-1.床の上に物を置かずに使う

 5-2.電源のオン・オフのタイミングに注意する

 5-3.ほかの暖房器具と使い分ける

6.床暖房とエアコンをうまく使い分けよう

床暖房とエアコンの電気代はどちらがお得?

近年は、国内でも床暖房の人気が高まっています。エアコンはリビングなどに標準装備されている家庭が多いため、どちらをメインの暖房器具にすべきか悩む方も多いのではないでしょうか?床暖房の導入を検討されているならば、まずは電気代を比較してみるのがおすすめです。

床暖房の電気代の目安

床暖房は大きく分けて、電気式と温水式に分かれます。電気式は床下に熱源(電気を直接通し発熱するヒーター等)を設置して部屋を暖める方式で、温水式は床下に温水パイプを設置し、温水を通して部屋を暖めます。

両者のランニングコストの目安を、代表的な電気製品メーカーであるPanasonicの床暖房システムを例に比較してみましょう。条件は、いずれも「10畳用で1日8時間使用、電気料金単価は31円/kWh、年間165日使用」としています。

電気式床暖房システムのランニングコスト

電気式床暖房システムのランニングコストは、月々約8,400円です。

床下に設置された電気ヒーターが直接発熱し、部屋全体を温める仕組みのため、消費電力が高くなりがちです。

電気料金単価31円/kWhを基に計算しており、1日あたりの電気代は約280円となります。

出典:電気式床暖房 | 床暖房システム | 室内ドア・フローリング・収納 | Panasonic

温水式床暖房システムのランニングコスト

温水式床暖房システムのランニングコストは、月々約4,500円程度です。

床下のパイプに通す温水を作り出す際にヒートポンプ技術(エコキュート)を使用するため、電気を効率的に使って床を温めることができ、電気式に比べると電気代を抑えられるのが特徴です。

こちらも電気料金単価31円/kWhで計算し、日あたりの電気代は約150円です。

出典:温水式床暖房 | 床暖房システム | 室内ドア・フローリング・収納 | Panasonic

温水式の方がランニングコストが安い理由

温水式床暖房の方がランニングコストが安い理由は、お湯を作る際にヒートポンプ技術を使用することで、電力を効率的に活用できるためです。電気式は床下のヒーター自体が直接発熱するのに対し、温水式は熱効率が高く、同じ温度を維持する際のエネルギー消費が少なくて済みます。

ただし、温水式は初期費用が高い点や、設置場所の確保が必要な点を考慮する必要があります。使用する環境や条件に応じて、どちらの方式が最適かを検討することが重要です。

エアコンの電気代の目安

エアコンの電気代の目安も確認しましょう。Panasonicの人気モデル、10畳用ルームエアコン(CS-284DFL)の消費電力は870W(125~1,390W)で、消費電力量の目安(JIS C9612:2013)は暖房時に648kWhです。

こちらをベースにPanasonicが参考情報として提示している、エアコン(暖房機能)の電気代の計算方法を用いて、1カ月あたりの電気代を導き出してみましょう。

  • 1カ月あたりの電気代(円)=1カ月あたりの暖房の消費電力量(kWh/月)×電気料金単価(31円/kWh)
  • 1カ月あたりの暖房の消費電力量(kWh/月)=暖房期間の総消費電力(kWh)÷160日(暖房期間:11月8日~4月16日)×30日

この計算式に、上記エアコンのスペックを当てはめてみます。すると、1カ月あたりの暖房の消費電力量(kWh/月)は「648kWh÷160日×30日=121.50」となります。これに電気料金単価31円/kWhを乗じた約3,767円が、1カ月の電気代の目安です。

※出典:詳細情報 インバーター冷暖房除湿タイプ ルームエアコン CS-284DFL | 住宅設備用エアコン | Panasonic

エアコンの電気代はいくら? 暖房1時間ごとの電気代や節約方法を解説 | エアコン | Panasonic

電気代はエアコンの方が安い

上記のように床暖房と、エアコンのランニングコストを比較した場合、単純に電気代のみを比較すると、エアコンの方が安い傾向にあります。

一方、床暖房は空気が汚れず、部屋が乾燥しにくいというメリットがあり、快適な居住環境を整える上で重要です。また、設定温度や使い方によっては、エアコンよりもコストを抑えられる可能性もあります。

詳しくは後述しますが、床暖房もエアコンもそれぞれメリットや注意点があるので、電気代の負担を含めて、家庭の環境やライフスタイルに応じて選択しましょう。

なお、電気代の計算方法については、以下の記事でも詳しく解説しています。こちらも参考にしてみましょう。

電気代の計算方法についてもっと詳しく知りたい方はこちら

床暖房を導入するメリット

床暖房を導入するメリットを具体的に確認していきましょう。ほかの暖房器具に比べて、床暖房は足元を効率的に暖められる点や、部屋の空気を綺麗に保てる点、日常的なメンテナンスが不要な点などがメリットです。

足元から部屋を効率的に暖められる

室内を足元からじっくりと暖められるのが、床暖房の特徴であり、最大のメリットです。部屋は床付近が冷えやすいため、温度の低い部分から暖める床暖房は、エアコンよりも短時間で部屋を最適な温度にできる傾向があります。

また輻射熱を利用しているので、エアコンのように風が直接当たる不快感がありません。エアコンの風が苦手な方には、ありがたい特性といえるでしょう。

部屋の空気を綺麗なまま保てる

床暖房は風を出さないため、部屋の空気の乾燥を抑えられるのもメリットです。エアコンとは異なり、空気を循環させる必要がなく、ホコリやアレルギー物質を巻き上げません。室内の空気をクリーンなまま暖められるのが特徴です。

乾燥が気になる季節にも、健康的で快適な環境をつくりやすいでしょう。加湿器を用意する手間なども省けます。

お手入れや部屋の掃除がしやすい

床暖房は使用する度に器具を出し入れする必要がなく、床をそのまま掃除できるので、手入れが簡単です。エアコンやファンヒーターなどと異なり、フィルターの掃除や定期的なメンテナンスもほとんど必要ありません。

日常的に床を掃除していれば事足りるケースが多く、収納の必要がないのは、大きなメリットといえるでしょう。部屋のスペースを占有せず、家具の配置やインテリアの自由度が高まる点も魅力です。無駄なスペースを使わずに、快適な生活空間を維持できます。

床暖房のデメリットや注意点

床暖房は多くのメリットがある一方で、以下のようなデメリットや注意点もあります。どちらの点もよく理解した上で、ご家庭の環境に合っているか判断することが大事です。

導入に時間と費用がかかる

床暖房は、エアコンや石油ファンヒーターなどの暖房器具と比較すると、導入コストが高くなる傾向があります。特に、広い部屋全体をカバーする本格的な床暖房システムを設置する場合、30万円以上の費用がかかることも少なくありません。導入前にしっかりと予算を見積もり、必要な費用を把握しておくことが大事です。

また、床暖房の施工には相応の時間がかかり、設置する場所によってはその間リビングやキッチンなどが使用できなくなることもあります。そのため、施工期間中は他の部屋を生活空間として確保するなどの計画も併せて検討しましょう。

部屋の暖まり方にムラが出る場合がある

床暖房は部屋を均一に暖められるのが理想ですが、施工の仕方や部屋の間取りによって、暖まり方にムラが生じる場合があります。たとえば、床全体に電熱線や温水パイプを均等に配置していないと、一部のエリアが十分に暖まらず、部屋の場所によって温度差が発生することもあります。

特に、広いリビングや形状が複雑な間取りの場合、床暖房だけでは十分な暖房効果が得られないこともあります。そのため、エアコンやファンヒーターなどの補助暖房器具と組み合わせることで、効率的な温度調整ができるように工夫しましょう。

床暖房とエアコンのどちらを選ぶべき?

床暖房のメリット・デメリットを解説してきましたが、結局のところ床暖房とエアコンとでは、どちらを選択すべきでしょうか?床暖房がおすすめのご家庭の特徴を紹介します。

床暖房がおすすめの家庭

床暖房とエアコンのどちらを選ぶべきかは、室内環境や予算によって変わってきます。導入コストは一般的にエアコンの方が安く、上記のように電気代も安い傾向にあります。

ただしエアコンからの風が苦手な方や、定期的な清掃を含め、メンテナンスに手間をかけたくない方などは、床暖房がおすすめです。家族の健康や快適さを重視する場合、長期的には床暖房の方がメリットが大きいこともあります。

床暖房とエアコンの併用を考えるのがおすすめ

部屋の環境に合わせて、床暖房とエアコンを併用するのもおすすめです。例えば、部屋全体が暖まるまではエアコンを使い、十分に温度が上がったら床暖房に切り替えることで、効率よく快適な室内温度を保てます。

どちらか一方だけを使用するよりも短時間で済むため、全体の電気代を抑えられる可能性があります。短時間のみ部屋を使う場合は、エアコンのみを使うことで、無駄な電気代を避けられます。両者の性質をよく理解した上で、うまく使い分けることが大切です。

床暖房の電気代を節約するには?

床暖房は快適な暖房効果を提供しますが、特に電気式の場合は使い方によって電気代が大きく変わることがあります。

ここでは、床暖房の電気代を節約するためのポイントをご紹介します。日常の工夫を取り入れ、賢く床暖房を使いましょう。

また、温水式の場合にも共通する注意点や効果的な使用方法も併せて解説します。

床の上に物を置かずに使う

床暖房を効率よく使うには、床の上にできるだけ物を置かないようにすることが重要です。特に電気式の場合、物が熱源を遮ると暖房効率が下がり、部屋全体に熱が行き渡りにくくなることがあります。その結果、部屋が暖まるまでに余分な電力を消費し、電気代が高くなる原因となります。

また、温水式の場合でも、床の上に物を置くと熱の伝わり方にムラが生じることがあるため、できる限り床面は開放しておくのが基本です。床暖房を効果的に使用するために、定期的に床の状態を確認し、物の配置にも気を付けましょう。

電源のオン・オフのタイミングに注意する

床暖房の電源のオン・オフに関しては、電気式と温水式で注意点が異なります。

電気式の場合、部屋の温度を急激に上げる際には大きな電力を消費するため、頻繁に電源をオン・オフするよりも、適切な温度設定でつけっぱなしにしておくほうが効率的なこともあります。こまめに電源を切ると、再び室温を上げる際に余分なエネルギーを消費してしまい、かえって電気代が増える可能性があるので注意しましょう。

一方、温水式の場合は、電気ヒーターほどの急激な消費電力は発生しませんが、ポンプやボイラーを頻繁に動かすことはシステムに負荷がかかりやすくなります。そのため、短時間だけの使用ではなく、ある程度まとまった時間を設定し、計画的に運転することが重要です。

どちらの場合も、部屋全体の温度を安定させるように、外出時は温度を下げるなど、効率的な運転を心がけることが大切です。

ほかの暖房器具と使い分ける

床暖房を単独で使用するのではなく、ほかの暖房器具とうまく組み合わせることも電気代節約に役立ちます。たとえば、電気式床暖房は立ち上がりが早いですが、消費電力が高いため、短時間の使用であれば石油ファンヒーターやパネルヒーターを併用するのが効果的です。

一方、温水式床暖房は部屋全体をじんわりと均一に暖めるため、広いリビングなどの長時間使用に向いています。寒さが厳しい時間帯には、エアコンを併用することで、効率よく室内を快適な温度に保つことができます。

このように、部屋の状況や使用シーンに応じて暖房器具を使い分けることが、結果的に電気代の節約につながります。最適な組み合わせを見つけて、快適かつ経済的な暖房環境を整えましょう。

床暖房とエアコンをうまく使い分けよう

一般的に床暖房とエアコンの暖房機能では、後者の方が電気代が安い傾向にあります。しかし、床暖房は足元から効率的に部屋を暖められる点や、部屋の空気が汚れにくい点など、多くのメリットがあります。使い方次第では、エアコンよりも電気代を抑えられる可能性もあるので、ぜひ導入を検討してみましょう。

ただし、ほかの暖房器具に比べて費用が高く、設置に時間がかかる機器も多いので、計画的に導入を進める必要があります。部屋の広さや環境などによって、ほかの暖房器具との使い分けも検討しましょう。

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