
電力自由化で賃貸物件でも変更可能?切り替えの注意点を解説
電力自由化で賃貸物件でも変更可能?切り替えの注意点を解説
電力自由化により、消費者は電力会社を自由に選べるようになりました。ただし、賃貸物件の場合は、電力会社を選べるケースと選べないケースがある点に注意が必要です。電力会社の選び方のポイントや切り替えの注意点も併せて詳しく解説します。
目次
電力自由化とは

そもそも電力自由化とはどのようなことを指すのでしょうか。まずは、電力自由化の基本を押さえておきましょう。
電気市場への小売業参入の全面自由化
電力自由化とは、これまで特定の電力会社が独占していた電気の販売に、さまざまな企業が自由に参入できるようにするための法改正や制度改革のことです。
2016年4月1日から電力の小売全面自由化がスタートし、家庭や商店を含むすべての消費者が電力会社を自由に選べるようになりました。
2025年6月30日時点で、電気事業法に基づく登録事業者数は772となっています。ガス・通信・自治体など、さまざまな分野の企業や団体が電気市場に参入している点がポイントです。
※出典:登録小売電気事業者一覧|電気事業制度の概要|資源エネルギー庁
電力自由化の歴史
電力自由化の取り組みは段階的に進められてきました。自由化がスタートしたのは2000年3月、大規模工場やデパートなど「特別高圧」区分の消費者を対象に小売部分が自由化されています。
2004年4月と2005年4月には、中小規模工場や中小ビルなどの「高圧」区分にも自由化の領域が拡大していきました。さらに、2016年4月1日からは家庭や商店などの「低圧」区分も対象となり、現在はすべての消費者が電力会社や料金メニューを自由に選択できるようになっています。
また、2020年には沖縄電力以外の旧一般電気事業者において、送配電部門を発電・小売部門と切り離して子会社化しています。市場の公平な競争を促すためには、送配電ネットワークを共通インフラとして開放する必要があったためです。
電力自由化の目的
電力自由化以前は地域ごとに電力需給を管理していたため、広域での電力網が整備されていませんでした。しかし、電力自由化により他の地域からも電力を融通できるようになり、電力の安定供給が実現しています。
電気料金の抑制も電力自由化の目的です。電力自由化で市場における企業間の競争が促進され、実際に電気料金が安いプランも数多く登場しています。
電力自由化により消費者の選択肢が増えたこともポイントです。参入各社が新たな料金メニューやサービスを生み出すことで、多くの選択肢から電気を選べるようになっています。
電力自由化は賃貸物件も対象になる?

現在は電力会社を自由に選択できるようになっていますが、賃貸物件に住んでいる場合は注意が必要です。賃貸物件で電力会社を選べるケースと選べないケースを見ていきましょう。
賃貸物件で電力会社を選べるケース
電力自由化によって、賃貸や分譲で契約が制限されることは基本的にありません。賃貸物件に住んでいる場合も、基本的には電力会社を選ぶことが可能です。
現在の契約名義が入居者本人であり、入居者自身が電気代を支払っている場合は、原則として電力会社を変更できます。検針票(電気ご使用量のお知らせ)に記載されている契約名義を確認してみましょう。
賃貸物件で電力会社を選べないケース
次のケースに該当する場合、基本的には電力会社を自由に選べません。
- 管理会社や大家が電気代を一括徴収している場合
- 高圧一括受電契約をしている物件の場合
物件全体で電気代を一括徴収しているケースでは、特定の電力会社と一括契約を結んでいます。入居者が個別に電力会社と契約するのは難しいでしょう。
また高圧一括受電契約とは、建物全体でまとめて電気を契約し、各戸に電気を供給する仕組みのことです。この場合も基本的には個別に電力会社を選べません。
自分が住んでいる物件がどのような状況なのかわからない場合は、管理会社や大家に問い合わせてみましょう。
電力会社の選び方

電力会社の選択肢は豊富にあるため、さまざまな視点から比較することが重要です。電力会社選びで見るべきポイントをご紹介します。
自分のライフスタイルに合っているか
「電力会社を切り替えれば電気代が安くなる」と思っている方も多いのではないでしょうか。確かに電気代の節約につながるケースもありますが、単純に電気料金を比較するだけで電気代が安くなるとは限りません。
各社の電気料金プランには特徴があり、ライフスタイルに合っていないプランを選ぶと節約につながらない恐れがあります。例えば、昼間に家にいることが多いライフスタイルで夜間料金が安いプランを選ぶと、昼間の料金が割高になって電気代が安くならないのです。
電力会社の電気料金プランを比較する際は、世帯人数やライフスタイルに合っているかどうかチェックしましょう。
エネワンでんきは、電力使用量に合わせた最適なプランを選べるほか、さまざまな特典がついたプランも用意しています。電力会社の変更を考えるなら、ぜひエネワンでんきをご検討ください。
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電気以外のサービスにメリットがあるか
電力自由化後に市場に参入した企業の多くは、電気以外の分野でも事業を展開しています。各社の強みを電気以外のサービスとして提供しているケースも多いため、電気以外のサービスにメリットがあるかも確認するとよいでしょう。
電気以外のサービスの代表例は次の通りです。
- 電気とガス・携帯電話・インターネットのセット
- 電気代の支払いに応じたポイント付与
- 旅行の回数に応じて電気料金が割引される
自分や家族にとってメリットになりそうなサービスがあるなら、電気代がそれほど下がらなくても電力会社を変更する価値があるといえるのではないでしょうか。
環境に配慮した電気を使えるか
電力会社によっては、再生可能エネルギー由来の電気を供給しているケースもあります。再生可能エネルギーとは、太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスなど、自然界に存在し枯渇することなく繰り返し利用できるエネルギーのことです。
再生可能エネルギーは化石燃料とは異なり、発電時に二酸化炭素をほとんど排出しないため、環境に優しいエネルギーとして注目されています。環境問題への意識が高い場合は、環境に配慮した電気を使えるかどうかも電力会社選びで考慮するのがおすすめです。
賃貸物件における電力会社の切り替え手続き

賃貸物件で電力会社を切り替えたことがない方は、切り替え手続きの大まかな流れを知っておくとよいでしょう。基本的には一戸建てで切り替える場合の手続きと同じです。
切り替え先の電力会社に申し込みをする
電力会社を比較して切り替え先を決めたら、切り替え先の電力会社に申し込みましょう。Webサイトや電話で簡単に申し込むことが可能です。
電力会社の契約申し込みの際は、氏名・住所・電話番号・現在契約中の電力会社とお客様番号などが必要になります。検針票(「電気ご使用量のお知らせ」)を用意しておけば、申し込みがスムーズです。
申し込み後に切り替え先の電力会社から連絡が来るため、切り替え日時や電気料金プランの詳細を確認しておきましょう。
なお、現在の電力会社の解約手続きは原則不要です。切り替え先の電力会社が解約手続きを行ってくれます。
アナログメーターをスマートメーターに交換する
スマートメーターとは、従来型の電力メーターに通信機能を搭載した、次世代型の電力メーターのことです。毎月の検針業務の自動化や電気使用状況の見える化を可能にし、省エネや災害時の対応などさまざまなメリットをもたらします。
現在はスマートメーターへの切り替えが全国で進んでおり、アナログメーターが設置されている場合は、スマートメーターへの交換が行われることがあります。メーターの交換や設置工事にかかる費用は無料、立ち会いや管理会社・大家への連絡が不要な場合が多いとされています。
電力会社を切り替える際の注意点

電力会社の切り替えでは、いくつか気をつけておくべきポイントがあります。切り替え時の注意点を確認し、スムーズに手続きを進めましょう。
新規契約時にアンペア数を変更できない場合がある
自宅のアンペア数が低い場合、同時に多くの電化製品を使うと停電しやすくなります。また、逆にアンペア数が高い場合は、下げることで電気代が安くなることがあります。
このように、適切なアンペア数を見極めて変更を検討することは重要です。ただし、電力会社によっては新規契約時にアンペア数を変更できない場合があります。
新規契約とアンペア変更を同時にできない場合は、現在契約している電力会社でアンペア数を変えておき、あらためて切り替え先の電力会社に申し込まなければなりません。
電気の即日開通は電力会社により対応が異なる
アナログメーターが設置されている場合は、契約の有無にかかわらずブレーカーを上げれば電気が開通します。一方、スマートメーターの場合は基本的に事前連絡が必須です。
引越し先の賃貸物件で引越し当日から電気を使いたいなら、早めに電力会社へ申し込んでおく必要があります。電力会社によっては即日開通に対応しているケースもありますが、申し込みが遅れると当日中に開通できない場合もあるため、早めの手続きが重要です。
電力会社によって供給エリアは限定されている
電気の供給エリアは電力会社により異なります。全国に電気を供給している電力会社ばかりではないため、電力会社を選ぶ際は供給エリアを確認することが大切です。
魅力的な料金プランやサービスを提供している電力会社を見つけても、自宅がその電力会社の供給エリア外であれば利用できません。供給エリアは事前にチェックしておきましょう。
契約期間や違約金が設定されている場合がある
一部の電力会社や料金プランには最低契約期間が設定されており、契約期間中に解約すると違約金が発生することがあります。電力会社の切り替えを検討する際は、申し込み前に契約期間や解約条件を確認しましょう。
違約金や契約縛りがないプランもあるため、自由度を重視するならそういったプランを選ぶのもおすすめです。
電力自由化で賃貸物件も電力会社を選択可能

電力自由化により、現在はすべての消費者が多くの電力会社から自由に選択できるようになっています。賃貸物件でも条件が合えば電力会社の切り替えが可能です。
ライフスタイルや料金プランを踏まえて選べば、節約や環境配慮にもつながります。注意点を確認し、無理なく賢く電力会社を見直しましょう。
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エネワンでんき編集部
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