電気メーターにおける「スマートメーター」とは?従来のアナログメーターとどう変わった?新型メーターの見方を解説
電気メーターにおける「スマートメーター」とは?従来のアナログメーターとどう変わった?新型メーターの見方を解説
ひと昔前までは、電気メーターと言えばアナログ式で、円盤のようなものが内部で回転し、数字盤が回って使用量を示しているものでした。今は液晶表示のデジタル式、スマートメーターに変わっています。
スマートメーターとは何か。なぜスマートメーターになったのか。知っておくといざという時に役立つ、スマートメーターの見方などを解説します。
目次
5. スマートメーターに関する知識を得て、自宅の設備の把握に努めよう
電気メーターとは
まずは電気メーターについての基礎知識をおさらいしていきます。
電気メーターは私たちの土地の敷地内にあり、家屋に付随して設置されていますが、土地・家屋の所有者の所有物ではありません。電気メーターは販売する電気を計量するためのもので、主に一般送配電事業者と呼ばれる電力会社の所有物です。一般送配電事業者は以下の10社があります。
・北海道電力ネットワーク株式会社
・東北電力ネットワーク株式会社
・東京電力パワーグリッド株式会社
・中部電力パワーグリッド株式会社
・北陸電力送配電株式会社
・関西電力送配電株式会社
・中国電力ネットワーク株式会社
・四国電力送配電株式会社
・九州電力送配電株式会社
・沖縄電力株式会社
電力自由化により新電力の契約者も増えていますが、電気メーターはこの送配電事業者が所有しており、検針しています。その検針結果を共有して、小売電気事業者は需要家に電気代を請求しています。
なお例外として、建物の所有者が電力会社と契約し電気代を支払っており、入居者は建物所有者に電気代を支払っている場合などがあります。こういった場合の「子メーター」の所有は建物の所有者、ということになります。
電気メーターはどこについているか
電気メーターは一戸建て住宅であれば屋外の家屋壁面についている場合がほとんどです。電柱から引かれている電線をたどっていけば一目瞭然です。
ビルやマンション・アパートの場合はメーターボックス内などに設置されておりわかりにくいこともありますが、基本的には需要場所の近くにあることが原則ですので、近くにメーターが格納されていそうな扉などがあれば見つかるでしょう。
電気は人が住む建造物だけとは限りません。メーターを設置できる建造物が存在しない場合などは、引込柱と呼ばれる敷地内の柱に設置されている場合もあります。
電気メーターには有効期限がある
電気メーターには必ず有効期限表示があります。料金を徴収するためのすべての計量器には、計量法にて検定を受けることが義務付けられており、検定後の有効期限を経過したものでは計量の証明に使用できません。 有効期限前に電気メーターは交換され、検定を受けて他の場所で再利用されていきます。家庭用のスマートメーターであれば検定有効期間は10年です。その際は事前に案内文が投函され交換がされていきますが、前項のとおりメーターの所有権は電力会社にありますので、費用を請求されることはありません。
スマートメーターとは
電気メーターは現在、ほとんどがデジタル式(スマートメーター)となりました。なぜそうなったのか、背景などを解説します。
スマートメーターの普及率
スマートメーターは2024年度末までに全国で導入を完了する計画となっており、送配電事業者各社では現在、国内ほぼすべてのスマートメーター化が完了しています。
一部の送配電事業者所有ではない電気メーター等ではアナログ式も残っていますが、今後は製造自体がされなくなっていくと考えられます。
電気メーターのデジタル化の理由
電気メーターがスマートメーターとなった理由は、第一に社会全体の省エネ化につながるというものです。
HEMS等を通じて個々の電気使用状況を見える化して省エネを促し、また全体の需要を電力会社が分析することで、発電量の適正化や設備投資の抑制が期待できます。
そのため、スマートメーターには通信機能が備えられており、無線通信で送配電事業者は細かく30分ごとの電力使用量を取得しています。またこれにより検針業務の自動化や正確化が実現し、送配電事業者と新電力会社との取引に利用されています。
また太陽光発電など、需要場所で発電し利用されなかった余剰分を売電する需要に関しても、スマートメーターは1台で買電/売電の両方の計量に対応できるようになっています。
出典:電力データの有効活用について | 資源エネルギー庁(2020年3月)
スマートメーターの見かた
では、スマートメーターはアナログ式からどのように変わったのでしょうか。普段見ることはありませんが、世帯主として自宅の設備を把握しておく必要はありますし、いざという時のために知識として知っておきましょう。
アナログメーターとどう変わったか
通信機能が搭載されたほか、大きく外見や計量方法が変わりました。計量のための円盤がなくなり、文字盤が液晶表示となりました。また買電/売電の切替表示などが異なっています。この計器盤面の見方は次項にて解説します。
知っておくと良い、メーターの見どころ
電力量の数値
電力量の表示は2種類あり、10秒ごとに切り替わります。数字の単位はkWhです。
通常表示では、そのメーターが稼働してからの累積使用量の数値が示されています。検針を行った際に、前回値と今回値の差分がその期間の使用量ということになります。
右側に左矢印が出ているときの数字は、売電量の累積数値となります。太陽光発電やエネファームで発電し、余った電力を売る契約をしている場合、これが売った電力の累積値となり、検針を行った際に前回値と今回値との差分がその期間の売電量となります。
なお、検針は30分ごとに行われており、毎月の電気料金の請求はその30分ごとの使用量の1か月分の合算値を用いています。
順動作・逆動作表示
数値の右側に「順動作」「逆動作」「無計量」という表示があります。それぞれ、「順動作」に●が点滅している場合は、今現在電気を使っていることを示しています。「逆動作」に●が点滅している場合は、今現在太陽光発電などの発電分が使用分を上回り、電力会社に売電していることを示しています。
「順動作」「逆動作」の両方に●が点滅している場合は、ブレーカー機能にて電気を遮断していることを示しています。これは、分電盤に契約ブレーカー(アンペアブレーカー、サービスブレーカー)が無く、送配電事業者がスマートメーターのブレーカー機能を従来のアンペアブレーカーとして使用している場合に限ります。
最後に「順動作」「逆動作」の両方に●が点灯している場合は、まったく電気を使用していない状態を示しています。アナログメーターでは円盤が回転が視認できましたが、スマートメーターではそれがないため、これらの表示により表現しています。
すべての電気を消したのに順動作で●点滅している場合は、まだ何か消していない電気機器(待機電力など)がある、ということになります。
計器No.
メーター番号は各メーター固有の番号で、電力会社はどこに何番のメーターが設置されているかを把握し、需要家の使用量と紐づけています。
メーター前面に比較的大きな文字で、「No.」の後に3桁+4桁+3桁のアルファベット・数字の組み合わせが表示されています。電力会社にメーターのことで問い合わせる場合は、お客さま番号の他にこの番号もあると話が伝わりやすくなります。
有効期限
盤面の外にシールで貼ってある場合が多いです。需要家である私たちにはあまり関係はありませんが、示されている年月の前にはメーターの交換作業が行われると推測できます。このメーター交換については、他コラムで解説しています。
参考:電気メーターの交換とは?交換を受けるのは義務?詐欺ではないか心配!電気メーターに関する疑問を解決
引越のときに役立つ、新居のメーター確認方法
特に新築の場合に多いですが、新しく入居する場合にはお客さま番号がまだ無いため、住所だけで電力会社に伝わらないことがあります。そのような時に、計器No.が役立ちます。
自分の家のメーターの場所を把握する
世帯主としては、自分の家のどこに何があるかの把握はしておきたいところです。とはいえ、普段必要になる設備ではないことから、新入居の時が確認しておくのに一番良いタイミングと言えます。
メーターの位置がわからない場合は建築会社や不動産会社に聞いてみましょう。
通電の有無を確認
集合住宅の場合に、メーターがたくさん並んでおり、どれが自分の部屋のメーターか判断がつかない場合があります。この場合に便利なのが、無計量状態の確認という方法です。
分電盤のブレーカーを落とした状態では、電気は流れません。この状態で「順動作」「逆動作」の両方に●が点灯しているメーターを探します。1つしか無ければ、そのメーターが自分の部屋のメーターと推測できます。
このような場合、メーターを設置した人、点検した人などがわかりやすいように表示をしている場合もあるので、メーターの表面、側面などに部屋番号と思わしき記載やシールが無いかよく確認してみることも重要です。
引越当日に電気を開通するために
空き家においては通電が止められていることが多く、その場合ブレーカーを上げてもそもそも電気が来ておらず使用できません。電気の開通手続きを忘れていると、すぐに電気が使用できず、その日お湯が出ずに掃除ができなかったり、冷暖房が使用できなかったり、時間帯によっては夜に照明が使えなかったりという不都合が生じます。
そうならないためにも、引越が決まったら遅くとも1週間前には電力会社に連絡しましょう。そうすればその間に通電作業がなされていますので、引越当日にはブレーカーを上げるだけで電気が使用できます。
特に引越前後は何かと忙しいものです。できることはすべて事前に余裕をもって済ませておくことが重要です。
電力自由化の今、電力会社を選ぶというプロセスも重要です。日程に余裕があれば、その分検討に時間を使うことができます。
電力会社を選ぶなら、自分に合った電力会社を選ぶことが有効です。
エネワンでんきは、家族の人数など電気使用量にあわせて最適なプランが選べるほか、さまざまな特典のついたプランも用意しています。
電力会社を検討するなら、ぜひエネワンでんきをご検討ください。
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スマートメーターに関する知識を得て、自宅の設備の把握に努めよう
本記事では、スマートメーターの見方を中心に、電気メーター全般について解説しました。
普段関わることは少ない電気メーターですが、世帯主として自宅の設備の把握をしておくことは重要であり、また引越の際などにも役立つことがあります。
これを機会に電気の利用に興味をもち、節電などにも目を向けてみてはいかがでしょうか。