
30アンペアから40アンペアへ変更する工事費は?与える影響や手続きの流れも
30アンペアから40アンペアへ変更する工事費は?与える影響や手続きの流れも
自宅のアンペア数を30アンペアから40アンペアに変更したい方の中には、工事費が気になる方もいるのではないでしょうか。アンペア数の基礎知識やアンペア変更でかかる工事費、30アンペアから40アンペアに変えた場合の電気代について解説します。
目次
3.30アンペアから40アンペアに変えると電気代はどうなる?
アンペア数の基礎知識

ご家庭で電気を効率的に使うためには、適切なアンペア数の設定が不可欠です。そもそもアンペア数とは何か、まずは基本を理解しておきましょう。
アンペア数とは
ご家庭の電気契約におけるアンペア数は、一度に使える電気の量の上限を決める重要な指標です。
アンペア数が大きいほど、電子レンジやドライヤーなど多くの電化製品を同時に使えるようになります。逆にアンペア数が小さいと、同時に使える電気の量が少なくなり、ブレーカーが落ちる原因になります。
電力量の計算式は「ワット(W)=アンペア(A)×ボルト(V)」です。一般家庭の100V電圧でアンペア数が30アンペアに設定されている場合、ブレーカーを落とさないためには30A×100V=3,000Wを超えない範囲で電力を使用する必要があります。
自宅のアンペア数がわからない場合は、検針票(「電気ご使用量のお知らせ」など)や電力会社のWebサイトのマイページで確認できます。また、電力会社によっては、アンペアブレーカーの色をアンペア数で分けているケースもあります。
※出典:ご契約アンペアの選び方│ご契約内容の変更│東京電力エナジーパートナー
適切なアンペア数の決め方
自宅に適したアンペア数がわからない場合は、以下に挙げる世帯人数別の目安を参考にするとよいでしょう。一般的には、世帯人数が多くなるほど一度に使う電気の量が増えるため、アンペア数の目安も大きくなります。
1人世帯 | 20~30A |
2人世帯 | 20~40A |
3人世帯 | 40~50A |
4人世帯 | 40~50A |
5人以上世帯 | 50~60A |
また、電化製品の同時使用量でアンペア数を決めるのもおすすめです。同時に使う可能性が高い電化製品のアンペア数がわかれば、適切なアンペア数を見極めやすいでしょう。主な電化製品のアンペア数の目安は次の通りです。
IHクッキングヒーター | 15A |
アイロン | 14A |
電子レンジ | 13A |
炊飯器 | 13A |
食器洗い乾燥機 | 13A |
掃除機 | 12A |
ドライヤー | 12A |
電気ケトル | 11A |
電気ヒーター | 10A |
エアコン | 6A |
こたつ | 6A |
洗濯機 | 3A |
冷蔵庫 | 2A |
テレビ | 2A |
自宅にある電化製品の取扱説明書を見れば、製品ごとの具体的なアンペア数がわかります。
アンペア数の変更方法
現在のアンペア数を変更したい場合、まずは契約内容を確認しましょう。契約状況によってはアンペア数を変更できないことがあります。また、賃貸や分譲の場合もアンペア変更ができるかの確認が必要です。
アンペア数を変更できる場合、契約している電力会社のWebサイトやカスタマーセンターに連絡し、アンペア数の変更を希望する旨を伝えましょう。電力会社の指示に従い、アンペア変更の申し込み手続きを進めていけば大丈夫です。
30アンペアから40アンペアへの変更でかかる工事費

アンペア数を変更するにあたり、気になりがちなのが工事費です。どのくらいの費用がかかるのかをケース別にご紹介します。
基本的にアンペア変更工事は無料
従来型のアナログメーターが設置されている場合は、アンペア変更の際に屋内にある分電盤のブレーカーを交換することがあります。
新しいブレーカーの費用や工事費用は電力会社が負担するため、基本的にアンペア変更工事は無料です。工事にかかる時間も通常は1時間以内で済みます。
追加工事が必要なら費用がかかることも
アンペア変更でかかる工事費は基本無料ですが、状況によっては費用が発生するケースもあります。例えば、設備や配線が劣化している場合は、別途交換費用が必要になるでしょう。
また、電動車の充電器や大型のオーブンを導入する場合は、アンペア数を増やすための工事が必要なケースがあります。この場合も、ブレーカーの交換費用以外に、追加工事の費用が発生しかねません。
アンペア変更における追加費用は、状況によっては10万円〜20万円程度かかるケースもあります。事前に電力会社へ連絡し、追加費用に関する見積もりを取るのがおすすめです。
スマートメーターが設置済みなら工事自体が不要
近年は多くのご家庭でスマートメーターの設置が進められています。スマートメーターとは、通信機能を備えた電力メーターのことです。電気の使用量を30分ごとに計測・記録し、遠隔で検針できます。
スマートメーターが設置済みなら、アンペア変更の際の工事自体が不要となる場合があります。アンペアブレーカーがスマートメーターに内蔵されているほか、アンペア数の変更も遠隔操作で行うことができる場合もあり、その場合は工事がないため立ち会いも必要ありません。
資源エネルギー庁の資料によると、スマートメーターの総設置台数は、2023年度末時点で約8,150万台です。大半のご家庭でスマートメーターが導入されていることになるため、アンペア変更の手続きもスムーズに進むケースが多いでしょう。
※出典:スマートメーターのオプトアウトについて | 資源エネルギー庁
30アンペアから40アンペアに変えると電気代はどうなる?

アンペア数を上げると、プランによっては基本料金が高くなるため、電気代に影響する場合があります。アンペア変更と電気代の関係について見ていきましょう。
電力会社によっては基本料金が上がる
電気料金の基本料金が決まる仕組みは、アンペア制または最低料金制の2種類です。アンペア制ではアンペア数が上がると基本料金も高くなりますが、最低料金制ではアンペア数に関係なく基本料金が決められます。
大手電力会社のうち、アンペア制を採用している電力会社は、北海道電力・東北電力・東京電力・北陸電力・中部電力・九州電力です。これらの電力会社では、「従量電灯プラン」がアンペア制の電気料金プランに該当します。
アンペア数の変更で電気代の節約につながるといわれるのは、アンペア制を採用している電力会社の基本料金がアンペア数を減らすことで下がるためです。アンペア数に応じた基本料金は、各電力会社のWebサイトで確認できます。
電気代全体に大きな変化はない
東京電力の従量電灯Bプランを例にとり、アンペア数と基本料金の関係をまとめました。2025年7月時点の情報です。
契約アンペア数(A) | 10 | 15 | 20 | 30 | 40 | 50 | 60 |
基本料金(月額、税込) | 311.75円 | 467.63円 | 623.50円 | 935.25円 | 1,247.00円 | 1,558.75円 | 1,870.50円 |
東京電力の従量電灯Bプランでは、アンペア数を30アンペアから40アンペアに変更すると、基本料金が約300円高くなります。
ただし、基本料金はあくまでも電気料金の一部です。電気料金の計算式を見てもわかる通り、基本料金以外の部分が電気料金の大半を占めています。
電気料金=基本料金+電力量料金+燃料費調整額+再生可能エネルギー発電促進賦課金
契約前に自宅の使用状況とプラン内容を確認し、電気代がどのように変わるのか、事前に調べておくとよいでしょう。
※出典:ご契約アンペアの選び方│ご契約内容の変更│東京電力エナジーパートナー
アンペア数を変更できない場合の対処法

30アンペアから40アンペアに変更したくても、状況によっては変更できないケースがあります。アンペア数を変えられない場合の対処法として、どのようなものがあるのでしょうか。
古い電化製品を最新機種に買い替える
古い電化製品を使っている場合は、最新機種への買い替えを検討しましょう。電化製品の種類によっては、新しい機種のほうが省エネ性能に優れています。
省エネ性能が高い電化製品は消費電力を削減できるため、今までと同じように電気を使っても30アンペアを超えず、ブレーカーが落ちなくなる可能性があるのです。
自治体によっては、電化製品の買い替えで補助金が支給される場合があります。東京都に住んでいる方は、省エネ性能が高い電化製品の購入時にポイントがもらえる「東京ゼロエミポイント」をチェックしてみましょう。
※出典:東京ゼロエミポイント事業が新しくなります|10月|都庁総合ホームページ
電気の使い方を見直す
アンペアブレーカーが落ちないようにするためには、電気の使い方を見直すことも大切です。どのような状況でブレーカーが落ちるのかを確認し、電化製品を使うタイミングをずらせばブレーカーは落ちなくなるでしょう。
また、電子レンジやドライヤーなど消費電力が大きい電化製品を使う場合は、ほかにどのような電化製品が稼働中なのかを確かめることが重要です。家族全員でアンペア数に対する高い意識を持ち、お互いに協力しながら生活しましょう。
消費電力が大きい電化製品についてもっと詳しく知りたい方はこちら
アンペア数の変更に関するよくある質問

アンペア数を変更する際は、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。アンペア変更に関する注意点を見ていきましょう。
変更後のアンペア数はすぐに戻せる?
アンペア数を変更する際は、電気料金プランを変えることになります。電気の契約は年間契約が基本とされており、アンペア数を一度変更すると1年間は再変更できないことがあります。
アンペア数の短期間での再変更を許してしまうと、夏や冬など電気を使う時期はアンペア数を上げて、それ以外の時期はアンペア数を下げるといった行為が横行しかねません。こうした事態を防ぐために、契約期間に一定の縛りが設けられているのです。
電力会社の切り替えと同時にアンペア数を変えられる?
アンペア数の変更と同時に電力会社を切り替えたいと考えている方もいるのではないでしょうか。電力会社の切り替えは電気代の削減につながる可能性がありますが、切り替え先の電力会社によっては、アンペア数との同時変更ができないケースがあります。
この場合は、現在契約中の電力会社にアンペア数の変更を申し込み、アンペア変更が行われた後に電力会社を切り替えなければなりません。電力会社によっては、アンペア数を変更した直後に解約すると、解約金が発生する場合があるため注意が必要です。
30アンペアから40アンペアへ変更する工事費は基本無料

30アンペアから40アンペアへの変更は、基本的に無料でできるケースが多く、必要に応じて見直す価値があります。ただし、電気代や工事の有無など注意点もあるため、事前に確認して計画的に進めましょう。
また、アンペア変更ができない場合の対処法としては、電化製品の買い替えや電気の使い方の見直しなどが挙げられます。アンペア変更により電気代がどのように変わるのかも、併せて理解しておきましょう。
また、電気代の節約を考えているなら、電力会社を変更するのもおすすめです。電気料金が安い電力会社に乗り換えれば、それだけで電気代を抑えられる可能性もあります。
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エネワンでんき編集部
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