エコキュートとは?基礎知識からメリット・デメリットまで詳しく解説
エコキュートとは?基礎知識からメリット・デメリットまで詳しく解説
節約に興味がある方なら、「エコキュート」という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。言葉を知っていても、その仕組みが分かりづらいと感じる方も多いでしょう。ここでは、「エコキュート」の基礎知識について詳しく解説します。
目次
エコキュートとは
エコキュートは、導入を検討している人でなければ聞いたことがない方も多いでしょう。「何となくエコなんだろうな」くらいの知識しかない方が大半でしょう。エコキュートとは何なのかを解説します。
空気の熱を使ってお湯を沸かす給湯システムのこと
エコキュートの正式名称は「自然冷媒ヒートポンプ給湯機」であり、一般的には登録商標である「エコキュート」という名称が使われています。
エコキュートは、空気中の熱を活用して水を温め、沸かす給湯器のことです。夜間にお湯を沸かして貯め、日中はキッチンや浴室、洗面所に供給する仕組みです。
最大の特徴は、わずかな電気でお湯を沸かすことができる点にあります。お湯をつくるために電気の力を使うものの、空気中の熱も利用してお湯を沸かすので、結果的に消費電力が少なくなるのです。
エコキュートの仕組み
エコキュートを形作る要素は「ヒートポンプユニット」および「貯湯ユニット」の2つです。ヒートポンプユニットとは水を温めて沸かす部分を指し、貯湯ユニットは沸かしたお湯を溜めておく部分を指します。
エコキュートでお湯をつくり出す仕組みは下記の通りです。
1.外気をヒートポンプユニットの内部に取り込み、熱交換器内の冷媒に熱を取り込ませる
2.加温された冷媒をコンプレッサーで圧縮し、約90℃の高温にする
3.高温になった冷媒を使ってタンク内に溜められた水を温める
4.沸かしたお湯を貯湯ユニット内に蓄えておく
5.冷媒を再び膨張させて低温に戻す
6..貯湯ユニット内のお湯に水を混ぜ、設定温度に調節してから、洗面所や浴室などに送る
冷媒の熱を利用して水を温めるのがエコキュートの大きな特徴です。
ほかの給湯システムと何が違う?
エコキュートに対する理解を深めるには、ほかの給湯システムとの違いを知っておくことが有効です。ほかのシステムとの違いを知ることで、エコキュートが持つ特徴がより際立つでしょう。ガス給湯器・電気温水器との違いを解説します。
ガス給湯器との違い
ガス給湯器との相違点は、どのような燃料を使ってお湯をつくり出すかにあります。まずエコキュートは、電気の力と空気の熱を使ってお湯を沸かすシステムです。
一方ガス給湯器は、プロパンガスや都市ガスを燃焼したときに生まれる熱の力でお湯を沸かします。配管を加熱して、配管を通る水を温めます。ガスに加えて、給湯器自体を動かすための電気も必要です。
火災リスクの有無も、両者の大きな違いといえます。そもそもエコキュートは火を使わないため、火災の心配は低減します。一方、ガス給湯器は、お湯を沸かす際にガスを燃焼させるので、不完全燃焼や火災が起きる可能性は否定できません。
電気温水器との違い
電気温水器とはお湯をつくる仕組みが異なります。
エコキュートは、空気中の熱と電気の力を使ってお湯を沸かします。圧縮した冷媒の熱を活用し、タンクに入った水を加熱する仕組みです。
電気温水器は、金属に電気を通す「電熱ヒーター」から発せられる熱のパワーを利用して、タンク内の水を直接温めます。
同じ電気を使用する給湯システムであっても、エコキュートは最初に空気中の熱を利用する分だけ、沸かすまでに必要な電気の量が少なくて済みます。電気を使う量が少ない分だけ、エコキュートの方が省エネといえるでしょう。
エコキュートのメリット
エコキュートは節約志向やエコ志向を持っている方におすすめの給湯システムです。設置することで、さまざまなメリットが期待できます。エコキュートを設置すると得られるメリットを3つ解説します。
光熱費を節約できる
最も注目すべきメリットは、光熱費の節約につながることです。
東京電力エナジーパートナーエリアにあるご家庭で、Panasonicの「HE-JPU37LQS」を設置した場合にかかるランニングコストの目安は、年平均約37,200円です。
同じご家庭でガス給湯器(都市ガス)を使っていた場合には約76,800円、電気温水器を使っていた場合には約157,200円のコストがかかると試算されています。
光熱費をさらに節約するには、夜間の電気料金が割安なプランへの変更が必要です。エコキュートは夜間にお湯を沸かすため、適切なプランに変更することで、さらなる光熱費の節約がかないます。必ず「エコキュートの設置と電気料金プランの変更はセットで考えるべき」と心得ておきましょう。
※出典:低ランニングコスト|はじめてのエコキュート|エコキュート|給湯・暖房|Panasonic
災害が起きてもお湯を使える
エコキュートは、夜の間につくったお湯を蓄えておき、日中にキッチンや洗面所にお湯を送るシステムです。そのため災害が起きて電気やガスが止まったとしても、貯湯ユニットに蓄えられたお湯が底を突かない限り、自由にお湯を使えます。
万が一、災害の二次被害として断水が起こったとしても、貯湯ユニットに蓄えられたお湯を生活用水として使用可能です。被災後も水に困る場面は少なくなるでしょう。
ただし、エコキュートで作られるお湯は飲用できないため注意が必要です。災害に備えるには、飲用水の備蓄が不可欠といえるでしょう。
二酸化炭素の排出量削減につながる
環境に配慮した生活ができるのも、メリットの1つです。電気の力のみでお湯をつくる電気温水器と比べ、エコキュートはわずかな電気でお湯をつくることが可能です。
「消費する電気の量が少ない」ということは、結果的に空気中に放出される二酸化炭素の量を少なくすることにつながります。
電気を生み出す際には、どうしても二酸化炭素が発生してしまうのが現状です。太陽光発電や風力発電であっても、設備を設置する際や作った設備を運用する際に二酸化炭素が発生します。排出される二酸化炭素を根本から減らすには、まさしくエコキュートのように、使用する電力の量を減らすのが有効といえるのです。
エコキュートのデメリット
光熱費の節約が期待できるエコキュートには、デメリットも存在します。設置を少しでも考えているのであれば、しっかりデメリットも把握しておきましょう。エコキュートのデメリットを6つ紹介します。
初期費用が高額
エコキュートを設置する際、大きなハードルとなるのが「高額な初期費用」です。
エコキュートの設置にかかる初期費用としてまず挙げられるのが「本体価格」です。本体価格の相場は180,000円~380,000円程度で、200,000円~300,000円程度の価格帯の製品が人気の傾向があります。
エコキュートの設置にかかる第二の初期費用が「工事費用」です。工事費用の相場は100,000円~350,000円程度で、壁貫通や配管延長などが必要な場合、より一層高くなるケースもあります。
総額で300,000円~700,000円程度の費用負担は覚悟しておく必要があるといえるでしょう。
※出典:エコキュートの交換や設置にかかる費用はいくらくらい? | 【クラシアンの給湯器 販売・取付】
補助金が使える可能性あり
初期費用の高さに二の足を踏んでいる方におすすめなのが「補助金の活用」です。
経済産業省資源エネルギー庁では、2023年から「給湯省エネ事業(高効率給湯器導入促進による家庭部門の省エネルギー推進事業費補助金)」と呼ばれる補助制度を展開しています。
給湯省エネ2025事業は令和6年度補正予算で成立し、2025年度の事業実施が決定しています。2024年11月22日以降に着工した工事が対象となり、2025年12月31日までの完工が条件です。
予算が成立すれば、エコキュート導入の場合、1台あたり60,000円が補助されます。インターネットに接続できたり、二酸化炭素の排出量が5%以上少なかったりする条件を満たすと、補助額が上乗せされる仕組みです。
※出典:給湯省エネ2025事業(令和6年度補正予算案「高効率給湯器導入促進による家庭部門の省エネルギー推進事業費補助金」)について|資源エネルギー庁
設置スペースが必要
エコキュートは、空気中の熱と電気の力を使ってお湯を沸かすヒートポンプユニットと、つくったお湯をいつでも使えるように溜めておく貯湯ユニットとの2つの機器で構成されているため、ガス給湯器や電気温水器と比べて広い設置スペースが必要です。
屋外にエコキュートを設置できるスペースがない場合、設置自体を諦めざるを得ない可能性があります。エコキュートの導入を検討しているのであれば、設置可能なスペースが敷地内にあるか、しっかりチェックすることが重要です。
湯切れを起こすとお湯が出なくなる
湯切れとは、貯湯ユニット内に溜められていたお湯を使い果たしてしまうことを指します。湯切れが起きると、再度お湯を沸かすまで使用できなくなります。
日常使いする分には、湯切れを心配する必要はほぼないでしょう。しかし正月やお盆など、お湯を使う方が増えると、湯切れを起こしてしまう可能性があります。
湯切れを起こさないようにするためには、大容量のタンクがついている機種や、お湯が少なくなると自動でお湯を沸かしてくれる機能がついた機種を選ぶのがおすすめです。
ヒートポンプユニットから音が出る
エコキュートのデメリットの1つが「騒音問題」です。エコキュートはお湯を沸かしているときにヒートポンプユニットから音が出ます。
エコキュートから出るのは40dB程度の低周波音です。「ブーン」という音が出るのが特徴です。決して大きな音ではないものの、エコキュートが稼働する夜間は周囲の方が寝静まっている時間のため、耳につく可能性があります。
エコキュートによる騒音トラブルを避けるには、なるべく隣の家に隣接していない場所にヒートポンプユニットを設置したり、ヒートポンプユニットに防音シートを貼ったりするなどの配慮が不可欠です。
お湯を飲むことができない
エコキュートから出たお湯を直接飲むことはできません。蛇口から出た水をそのまま飲む習慣がある場合、大きなデメリットとなる可能性があります。
エコキュートの中でつくられるお湯はしっかり沸かしているため、たとえ前日の夜からタンクに溜まっている水だとしても、雑菌の繁殖を気にする必要はありません。
ただし、エコキュートでつくられたお湯からは塩素(カルキ)が抜けています。塩素が抜けている水は、国が定めた水質基準(塩素濃度)を満たしていない可能性があるため、飲用は推奨されません。
Panasonicや三菱電機などのエコキュートのメーカーでは、エコキュートのお湯を飲む場合は、一度やかんやポットなどで沸騰させることを勧めています。
寒冷地では効率が落ちることがある
寒さが厳しい寒冷地に住んでいる場合、エコキュートを設置しても光熱費の節約効果が期待できない可能性があるため、注意が必要です。
寒冷地はそうでない地域と比べ、冬場における空気中の熱が少ないといえます。エコキュートは空気中の熱を活用してお湯を沸かすシステムのため、利用できる空気中の熱がそもそも少ないと、エコキュート自体の効率が下がってしまいます。
場合によっては、厳しい寒さによって配管内部を通る水が凍ってしまったり、ヒートポンプユニットが故障してしまったりする恐れもあるため、寒冷地に住む方は「寒冷地仕様のエコキュート」を検討しましょう。
エコキュートの選び方
エコキュートを検討するとき、多くの方の頭を悩ますのが「機種選び」です。エコキュートにはさまざまな機種があるため、自分の家庭に合う1品を見つけ出すのは大変な作業といえるでしょう。エコキュートを選ぶときに欠かせない2つの視点を解説します。
使うお湯の量で選ぶ
エコキュートを選ぶときは「日常的に使用するお湯の量」に注目して機種を決めましょう。使用するお湯の量でエコキュートを選ぶときの基準となるのが「家族構成」です。お湯を使用する人数が多くなるほど、使用するお湯の量も多くなります。
家族構成別のタンク容量の目安は以下の通りです。
・1~2人:180L程度
・2~4人:370L程度
・4~5人:460L程度
お湯を使う場面が多いご家庭は、上記の目安よりも大きなサイズのタンクがついているエコキュートを選びましょう。
なお、お湯の使用量は季節によっても左右されるため、タンクの容量を選ぶときは、お湯の使用量が最も多くなる時期を想定することが大切です。
機能で選ぶ
エコキュートは、お風呂に関する機能の充実度によって3種類に分けられます。予算や必要性を考慮して、家庭に最適な種類を選ぶことが大切です。
「フルオート」は、お湯張りや足し湯をボタン1つで自動的に行えるタイプです。全自動ですべてのステップを完結させられるタイプもあります。各メーカーの主力商品なので、選択肢が多いのも特徴です。
「セミオート」は、自動でお湯張りと足し湯が可能ですが、保温や追いだきはできません。追いだきや保温はできないため、お湯がぬるくなったら足し湯をすることになります。フルオートタイプよりも安価なのが特徴です。
「給湯専用」は湯沸かしに特化したタイプです。お湯張りは手動で行います。搭載されている機能が限られているため、初期費用は安く済みます。主力商品ではないため、ラインアップは少なめです。
省エネを意識するならエコキュートがおすすめ
エコキュートは、光熱費削減と省エネを実現する「次世代型給湯システム」といえます。設置にはまとまった費用がかかりますが、補助金を活用すれば自己負担を軽減できます。デメリットについても、工夫次第で解決できる点が多いといえます。家計にも地球にも優しいエコキュートをぜひ検討してみてください。
エコキュートの導入は、家庭の光熱費削減だけでなく、効率的なエネルギー活用を促進する重要な一歩です。特に、夜間の割安な電力を利用することで電気料金の節約につながる点は大きな魅力といえます。また、電力会社を見直して、電気料金に適したプランを選ぶことで、さらにランニングコストを抑えることが可能です。
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