
ワット数の計算式は?消費電力から電化製品の電気代を計算する方法
ワット数の計算式は?消費電力から電化製品の電気代を計算する方法
電気代の節約を図りたいなら、ワット数の計算を理解することがおすすめです。電化製品の電気代を自分で求められるようになることで、節電を考えやすくなるでしょう。ワット数の計算式や電化製品の電気代の求め方、電力消費量を減らして節約する方法を解説します。
目次
ワット数の基礎知識

ワット数の計算方法を知る前に、まずは電気の基本について理解を深めておきましょう。電気とは何か、ワット・アンペア・ボルトの意味と合わせて解説します。
そもそも電気とは何?
物質を構成する基本的な粒子は原子です。原子は正の電荷を持つ原子核と負の電荷を持つ電子でできています。
通常、電子は原子に束縛されていますが、一部の電子は原子から離れて自由に動き回れます。この自由電子に電圧をかけ、決まった方向に動く流れが電気です。
電気には「静電気」と「動電気」の2種類があります。自由電子が物体中にとどまっている状態が静電気であり、自由電子が一斉に動く状態が動電気です。金属を触ってバチッと感じるのは、体の静電気が一気に解放されたことによるものです。
私たちは普段、静電気ではなく動電気を使っています。動電気において電気を流そうとする力が電圧、一定時間に流れる電気の量が電流です。
ワット・アンペア・ボルトの違いと計算式
電化製品のスペック表には、ワット・アンペア・ボルトといった言葉が見られます。それぞれの意味は次の通りです。
- ワット(W):1秒間あたりの消費電力の単位
- アンペア(A):電気が流れる量(電流)の単位
- ボルト(V):電気を押し出す力(電圧)の単位
ワットは「アンペア×ボルト」の計算式で求められます。
また、1時間で消費される電力量がワットアワー(Wh)です。1000Wh=1kWhであり、電力会社の電気料金は1kWh単位で決められています。2025年6月現在の電気料金の目安単価は、全国家庭電気製品公正取引協議会が定める31円/kWhです。
※出典:よくある質問 Q&A |公益社団法人 全国家庭電気製品 公正取引協議会
消費電力の種類

ワットは電化製品が1秒間に消費するエネルギーの量を表しており、消費電力が大きい電化製品ほど一般的には電気代も高くなります。
電化製品の消費電力を見る際に疑問が生じがちなのが、定格消費電力と年間消費電力量です。それぞれが何を意味しているのかを押さえておきましょう。
定格消費電力
電化製品の電気代は、取扱説明書やカタログに記載されている「消費電力」を使って計算するのが一般的ですが、電化製品によっては「定格消費電力」が記載されているケースもあります。
定格消費電力とは、その電化製品を一定条件下で最大限に使用した場合の消費電力の最大値です。最大出力の目安になるほか、電化製品が安全に動作する範囲を示す指標としても利用されます。
ただし、電化製品を最大出力で使い続けることはほとんどないため、定格消費電力の比較はあまり意味がありません。電気代を計算する際も、定格消費電力ではなく消費電力を用いましょう。
年間消費電力量
年間消費電力量とは、現実的な使用条件を考慮して算出された1年間の消費電力量の目安です。エアコン・冷蔵庫・テレビなど、通年で使い続ける電化製品に設定されており、測定の条件は電化製品の種類ごとに決まっています。
例えばテレビの年間消費電力量は、省エネ法(エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律)に基づき、1日あたり5.1時間の平均視聴時間(18.9時間の待機時間)で算出した消費電力量です。
年間消費電力量を用いて電気代を計算すると、1年間で発生する電気代の目安がわかります。年間消費電力量の前提条件は時代に合わせて見直されるため、古いモデルと最新モデルを年間消費電力量で比較できない場合がある点に注意しましょう。
電化製品の電気代の計算方法

消費電力と年間消費電力量を用いて電化製品の電気代を計算する方法を解説します。どちらでも計算できるようになっておくと、電気代の目安を状況に応じて把握しやすくなるでしょう。
消費電力を用いて計算する方法
電化製品の電気代を消費電力で計算する場合、「消費電力(kW)×使用時間(h)×電気料金単価(円/kWh)」の式で求められます。
パナソニックのルームエアコン「エオリア CS-EX225D(適用畳数:6畳)」を例にとり、消費電力を用いて電気代の目安を計算した結果が以下の通りです。なお、目安単価は31円/kWh、使用時間は1日8時間とします。
- モデル名:CS-EX225D
- 消費電力:冷房520W、暖房450W
<冷房>
- 1日あたりの電気代:0.52kW×8h×31円/kWh=約128.96円/日
- 1カ月あたりの電気代:128.96円/日×30日=約3,868.8円/月
<暖房>
- 1日あたりの電気代:0.45kW×8h×31円/kWh=約111.6円/日
- 1カ月あたりの電気代:111.6円/日×30日=約3,348円/月
※出典:詳細情報 インバーター冷暖房除湿タイプ ルームエアコン CS-EX225D | エアコン | Panasonic
年間消費電力量を用いて計算する方法
電化製品の電気代を年間消費電力量で計算する場合、「年間消費電力量(kWh)×電気料金単価(円/kWh)」の式で求められます。前項と同じ製品を年間消費電力量で計算してみました。
なお、エアコンの場合は年間を通して使わない時期があるため、年間消費電力量ではなく期間消費電力量という言葉を使うのが一般的です。冷房と暖房の期間消費電力量の合計が、1年間で消費する電力量ということになります。
- モデル名:CS-EX225D
- 期間消費電力量:682kWh(冷房時208kWh、暖房時474kWh)
- 1年間あたりの電気代:682kWh×31円/kWh=21,142円/年
※出典:詳細情報 インバーター冷暖房除湿タイプ ルームエアコン CS-EX225D | エアコン | Panasonic
電力消費量を減らして電気代を節約する方法

電気代は「消費電力×使用時間×料金単価」の式で求められるため、電力消費量を抑えられれば電気代の節約につながることがわかります。電力消費量を減らすためのポイントを確認していきましょう。
待機時消費電力の削減を意識する
待機時消費電力を減らすことは節電の基本です。待機時消費電力自体はわずかなものであっても、多くの電化製品で待機時消費電力が発生すれば、それなりの電気代がかかってしまいます。
資源エネルギー庁の資料によると、待機時消費電力が多い電化製品には、エアコン、ガス温水器、テレビ、電話機、レコーダー(BD・HDD・DVD)、温水洗浄便座、パソコンなどがあります。
電化製品を使わない場合は電源をオフにするだけでなく、できるだけコンセントからプラグを抜いておくようにしましょう。
※出典:平成24年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業 (待機時消費電力調査)報告書概要
電化製品の使い方を見直す
電気代を節約するには、消費電力を抑えることと使用時間を短くすることがポイントです。消費電力が大きい電化製品の使い方を見直せば、節約効果をより高められます。
消費電力が大きい電化製品の代表例は、電子レンジ・アイロン・ジャー炊飯器・ドライヤーです。また、エアコン・冷蔵庫・照明は電力の消費割合が大きいため、これらの電化製品の使い方も見直すとよいでしょう。
電化製品の使い方の見直しについてもっと詳しく知りたい方はこちら
省エネ性能が高い電化製品に買い替える
電化製品の省エネ性能は新しいものほど高くなっており、古い電化製品を買い替えるだけで電気代の節約を図れるケースがあります。無理に買い替える必要はありませんが、古い電化製品の調子が悪くなってきた場合は、修理よりも買い替えを検討するのがおすすめです。
修理をしても省エネ性能が向上するわけではなく、古い電化製品の場合はそもそも寿命が近い可能性もあります。買い替えには初期費用がかかりますが、長い目で見ればコスト削減につながるでしょう。
電気代の仕組みを理解して節電に取り組もう

ワット数や消費電力の計算方法を知ることで、電化製品の電気代を具体的に把握できるようになります。また、電気代の仕組みを理解すれば、無駄を見つけて効果的な節電対策を立てることも可能です。
ワット数での計算による電気代の見える化を通じて、効率的かつ賢く節約を進めていきましょう。
-
エネワンでんき編集部
-
エネワンでんき編集部は、電気代の見直しや節約の工夫、電力会社の選び方など、暮らしに役立つエネルギー情報をわかりやすく丁寧に発信し、日々の生活に寄り添う情報をお届けします。
【暮らしのハテナ】エネワンチャンネル