
1kWhあたりの電気料金は?料金の仕組みや計算方法・節約のポイント
1kWhあたりの電気料金は?料金の仕組みや計算方法・節約のポイント
電気代を計算するには、1kWhあたりの電気料金の単価を把握しておく必要があります。電気料金は基本料金と電力量料金で構成されるため、計算方法と合わせて正しく理解しておきましょう。毎月の電気代を節約するポイントとともに、電気料金の仕組みを解説します。
目次
1-3.V(ボルト)・A(アンペア)との違いも理解しておこう
1kWhとは?電気代の基本を理解しよう

電気代の明細や、電化製品の仕様書などで目にする「kWh(キロワットアワー)」の単位は、電気の契約者が実際に使った電力量を示しています。電気代の計算方法を知るうえで、まずはkWhの意味や関連する単位との違いを、きちんと理解することが重要です。
kWh(キロワットアワー)は電気使用量の単位
「kWh(キロワットアワー)」は、電力の使用量(エネルギーの消費量)を表す単位で、1kWhは1000Wの電力を1時間使ったときの電力量です。電気料金の明細や、電化製品のスペック表などでよく見かける単位であり、電気料金は「kWh」に単価を掛けて計算されます。
ご家庭で使用する電化製品の電力使用量を把握しておけば、日常的な節電や電気代の見直しにつながります。以下で説明する電気代の計算方法を含め、kWhの単位や使い方に慣れておきましょう。
kWhとkW(キロワット)の違いは?
「kW(キロワット)」は「瞬間的な電力の量(消費するエネルギーの速さ)」を示す単位です。例えば、1kWのドライヤーは使用中に1000Wの電力を消費しており、これは瞬間的な電力消費量を表します。
一方、kWhは「電気をどれだけ使ったか(電気の使用量)」を示す単位です。「kW × 時間(h)」で求められる値で、電気料金もkWhを基準に算出します。例えば、2kWのエアコンを3時間ほど運転した場合、消費電力量は「2kW×3h=6kWh」です。
kWは電化製品の性能や出力の目安であり、kWhは実際に使った電力の量を示す指標です。両者を正しく区別することが、ご家庭の電化製品の使用状況の理解につながり、電気代の節約にも寄与します。
V(ボルト)・A(アンペア)との違いも理解しておこう
「V(ボルト)」と「A(アンペア)」は、それぞれ電圧と電流の大きさを示す単位です。Vは電気を押し出す力で、Aは流れる電気の量を表します。両者を掛け合わせることで「W(ワット)」が求められ、電力の大きさが分かります。
つまり「W=V×A」の関係で、これが上記「kW」の基本単位であり、さらにkWに時間(h)をかけたものが「kWh」です。
例えば、100V・10Aの電化製品であれば、1000W(1kW)の出力があり、その製品を1時間使用すれば、1kWhの電力を消費することになります。VやAは主に、電化製品の仕様やブレーカー容量の確認時などに使われますが、電気代の計算にはkWhが用いられます。
1kWhあたりの電気代の目安

電気料金は「1kWhあたりいくらか」で計算されるため、この単価を理解することが重要です。実際の単価は契約している電力会社やプランによって異なりますが、一般的な目安を知っておけば、電気代の概算が可能になります。
家電公取協の目安は31円/kWh
電化製品の消費電力量を計算する際の基準として、家電公取協(全国家庭電気製品公正取引協議会)は1kWhあたりの目安単価を31円としています。この数字は、あくまで全国平均的なご家庭の電気料金を想定したものですが、電気代を概算する際に広く使われている値です。
例えば、消費電力500Wの電化製品を2時間使用すると、消費電力量は1kWhとなり、電気代は約31円と計算できます。電力量を基に単純計算ができることから、多くの家電メーカーや比較サイトなどで、電気料金単価「31円/kWh」が使用されています。
ただし、実際の電力単価は契約している電力会社や、電力プランによって異なるため、あくまで目安として利用することが大切です。より厳密に電気代を計算するならば、契約中の電力会社の電気料金単価を確認しておきましょう。
※出典:よくある質問 Q&A|公益社団法人 全国家庭電気製品 公正取引協議会
電力会社ごとの単価の違い
上記のように、一般的に電気代の計算に使われる単価は31円/kWhですが、実際の単価は電力会社によって違いがあります。以下、代表的な電力会社の単価の違いを確認しておきましょう。
電力会社 | 料金プラン | 電力単価 |
東京電力エナジーパートナー | 従量電灯B | 最初の120kWhまで29.80円、120kWh超300kWhまで36.40円、300kWh超過分は40.49円 |
関西電力(KEPCO) | 従量電灯A | 15kWhを超え120kWhまで20.21円、120kWh超300kWhまで25.61円、300kWh超過分は28.59円 |
中部電力ミライズ | 従量電灯B | 最初の120kWhまで21.20円、120kWh超300kWhまで25.67円、300kWh超過分は28.62円 |
このように電力会社ごとに単価が異なるのに加えて、電力の使用量によっても単価が変動するのが一般的です。なお、従量電灯Bとは一般のご家庭や小規模な店舗・事務所などで、広く利用されている料金プランです。
※出典:料金単価表‐電灯|電気料金プラン|東京電力エナジーパートナー株式会社
※出典:電気の基本料金・単価表|電気|関西電力 個人のお客さま
※出典:従量電灯A・B・C|個人のお客さま|中部電力ミライズ
電気料金の構成と電気代の計算方法

電気料金は単純に「使った分だけ払う」わけではなく、複数の要素で構成されています。電気料金の内訳や計算方法、消費電力から電気代を求める方法を確認しておきましょう。
電気料金に含まれる要素
電気料金は、大きく分けて「基本料金」「電力量料金」「再生可能エネルギー発電促進賦課金」の3つの要素から構成されています。基本的には、これらを合算したものが、毎月請求される電気代の総額です。
それぞれの要素を理解することで、電気代の仕組みを理解でき、効果的な節約対策を立てられるので、詳しくみていきましょう。なお、電気代の計算式の内訳に関しては、以下の記事でも詳しく解説しています。こちらも参考にしてください。
電気代の計算式の内訳について、もっと詳しく知りたい方はこちら
基本料金
基本料金とは、電気の使用量に関係なく毎月定額で発生する料金で、主に契約アンペア数に応じて設定されます。例えば、東京電力エナジーパートナーの従量電灯Bでは、30A契約なら935.25円で、50A契約ならば1,558.75円です。原則として契約アンペア数が上がるほど、基本料金が高くなります。
また契約アンペア数は、同時に使用できる電化製品の量に影響します。大きな冷蔵庫や電子レンジ・エアコンなどを同時に使うご家庭では、高めの契約が必要ですが、電力の使い方を見直すことでアンペア数を下げ、基本料金を削減できる可能性もあります。
なお一部の電力会社のプランでは、特定の地域において基本料金がなく、完全な従量制を採用しているプランも少なくありません。ご家庭の電気の使用状況を正しく把握することで、契約内容の見直しによる電気代の削減が可能です。
※出典:従量電灯B・C|電気料金プラン|東京電力エナジーパートナー株式会社
電力量料金(燃料費調整額を含む)
電力量料金は、実際に使用した電力量(kWh)に応じて支払う変動費です。多くの電力会社では、使用量に応じて、単価が段階的に上がる「3段階料金制」を採用しています。
例えば、上記のように東京電力エナジーパートナーの従量電灯Bでは、第1段階(最初の120kWhまで)は29.80円/kWhで、第2段階(120kWh超300kWhまで)は36.40円/kWhです。さらに、第3段階(300kWh超過分)は40.49円/kWhといった具合に、設定されています。
さらに、電力量料金には「燃料費調整額」が加算または減算されます。これは火力発電の燃料となる石油・石炭・LNGなどの輸入価格に連動して、変動するものです。国際情勢や為替の影響を受けやすく毎月見直されるため、同じ電力使用量でも、請求額が月ごとに変動する可能性があります。
再生可能エネルギー発電促進賦課金
再生可能エネルギー発電促進賦課金は、太陽光や風力などの再生可能エネルギーの普及を支えるために、電気の使用量に応じて全国一律で課される費用です。電力会社が再エネで発電された電気を一定価格で買い取る費用を、契約者全体で公平に分担する仕組みです。
毎月の電気使用量(kWh)に、経済産業省が年度ごとに定める単価を掛けて計算されるため、使用量が増えるほど負担額も増加します。再エネの普及を支えるための、社会的な負担金といえるでしょう。
kWhを用いた電気代の計算方法
電気代は使用した電力量(kWh)に、電力量料金の単価を掛けることで計算できます。基本的な計算式は「使用量(kWh) × 単価(円/kWh)」です。
例えば、1カ月で300kWhの電力を使用し、平均単価が31円/kWhであれば、電力量料金は9,300円になります。
これに基本料金や燃料費調整額、再生可能エネルギー発電促進賦課金が加わり、最終的な請求額が決まります。電力会社が発行する電気料金明細を確認し、請求額の内訳を確認してみましょう。
消費電力から電気代を計算するには?
電化製品ごとの電気代を把握したい場合は、その機器の消費電力(W)と使用時間から、使用電力量(kWh)を求めることで計算できます。以下の式を用いて、ご家庭にある電化製品にかかる電気代を計算してみましょう。
電気代 = 消費電力(kW)× 使用時間(h)× 電力料金単価 (円/kWh)
例えば、1200Wのドライヤーを1日10分間(0.167時間)使用した場合、電気料金単価を31円/kWhとすると、約6.21円の電気代がかかります。
電気代 = 1200W÷1000×0.167時間×31円 ≒ 6.21円
このように、日常的に使う電化製品にかかる電気代を計算し、日々の節電に活かしましょう。
毎月の電気代を節約するポイント

電気代の節約に最も効果的なのは、まず消費電力の大きな電化製品の使い方を見直すことです。エアコンは全体の電気使用量の多くを占めるため、設定温度や使用時間を工夫しましょう。定期的なフィルターの清掃や断熱対策により、運転効率を向上させるのもポイントです。
また冷蔵庫は24時間稼働するため、こちらも設定温度の調整に加えて、扉の開閉回数を減らす、庫内の整理整頓といった点を意識することが大切です。待機電力をカットするために、使わない電化製品の主電源は、できるだけ切っておくのもよいでしょう。
こうした日常的な工夫を積み重ねることで、毎月の電気代を着実に削減できます。
電気代を節約するなら電力会社の乗り換えも検討

1kWhあたりの電気料金を知っておくことは、日々の電気代を見直す第一歩です。料金の仕組みや電気代の計算方法を理解し、消費電力の大きいものを中心に、電化製品の使い方を見直してみましょう。
また、電気料金プランや電力会社の乗り換えも効果的です。近年は新電力をはじめ、契約できる電力会社が増えています。ご家庭に合った電力会社のプランを選択することで、すぐに電気代を削減できる可能性があるので、この機会に検討してみることをおすすめします。
多くのご家庭において、電気代は家計の固定費として大きな割合を占めるので、一度見直すことで長期的に大きな節約効果を得られます。
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エネワンでんき編集部
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