風力発電のメリットとは?仕組みや種類、日本における課題をわかりやすく解説

風力発電のメリットとは?仕組みや種類、日本における課題をわかりやすく解説

風力発電のメリットとは?仕組みや種類、日本における課題をわかりやすく解説

近年、地球温暖化対策やエネルギーの自給自足を目指す動きのなかで「再生可能エネルギー」への関心が高まっています。なかでも「風力発電」は、時間や季節を問わず風があれば発電できるため、安定した電力供給源として期待され、導入が進んでいる分野です。この記事では、風力発電の基本的な仕組みから種類、日本における現状と今後の課題について、わかりやすく解説します。

【目次】

1.風力発電の概要

 1-1.風力発電とは?

 1-2.風力発電の仕組み

2.風力発電の種類

 2-1.陸上風力発電

 2-2.着床式洋上風力発電

 2-3.浮体式洋上風力発電

 2-4.小型風力発電

3.風力発電のメリット

 3-1.発電時に温室効果ガスを排出しない

 3-2.エネルギー変換効率が高い

 3-3.時間を選ばず発電できる

 3-4.燃料を必要としない

4.風力発電のデメリット

 4-1.発電量が安定しない

 4-2.設置場所が限られている

 4-3.騒音が発生する

 4-4.整備・点検などメンテナンスが必要になる

5.日本にとっての風力発電

 5-1.日本における風力発電の普及率

 5-2.日本における風力発電の課題

6.今後より注目度が高まる風力発電

風力発電の概要

風力発電という言葉を耳にしたことはあっても、具体的にどのようなメカニズムで発電されているのか、実はよく知らない方もいるでしょう。ここでは、風力発電の基本的な知識を紹介します。

風力発電とは?

風力発電は、再生可能エネルギーである「風」を動力源とする発電方法です。一定の強さの風が吹く広い場所でエネルギーを活用して電気を生み出せるのが特徴です。             

風力発電の仕組み

風を受けて風車の羽根が回転すると、その運動エネルギーが発電機に伝わり、電気を生み出す仕組みです。ただし、このときの回転速度だけでは不十分なため、風車と発電機の間にある増速機という装置で回転を早めます。これにより、風車の運動エネルギーを効率よく電気エネルギーへと変換しているのです。

風力発電の種類

風力発電は、設置場所や規模によってさまざまな形態に分類されます。ここでは、代表的な4種類を紹介します。

陸上風力発電

陸上風力発電とは、その名のとおり陸上に風力発電設備を設置する発電方法です。一般的に、年間を通じて一定以上の強さの風が安定して吹いている広い土地に設置されます。

着床式洋上風力発電

洋上風力発電とは、海上や湖面に風力発電設備を設置し、水上に吹く風を利用する発電方法です。なかでも着床式洋上風力発電は、発電機の土台を海底に直接据え付けるため非常に頑丈で、大型の発電機を設置できる特徴があります。

浮体式洋上風力発電

浮体式洋上風力発電は、浮力のある土台に設置した風車を利用して電力を生み出します。水深が深い場所にも設置可能なため、場所の制約が少なく、より広範囲に多くの発電機を導入できるのが特徴です。設備の大きさや発電効率には一定の制約があるものの、着床式では設置が難しかった海域での導入が期待されています。

小型風力発電

小型風力発電は、一般の大規模風力発電とは異なり、家庭や小規模施設での利用を想定して設計された発電方法で、主に屋外の庭や建物の屋根に設置されます。なかにはベランダに設置可能なものもあり、再生可能エネルギーを身近に活用できる方法として注目されています。

風力発電のメリット

風力発電は地球環境に優しく、持続可能な社会の実現に欠かせない発電方法の一つです。ここでは、具体的にどのようなメリットがあるのか、詳しく見ていきましょう。

発電時に温室効果ガスを排出しない

石油や石炭などの化石燃料を使用する発電方法は、燃焼時に温室効果ガスが発生します。一方、風力発電は自然のエネルギーを利用するため、発電時に温室効果ガスが一切排出されず、環境への負荷が低いのが特徴です。エネワンでんきが提供する「カーボンニュートラルでんき」では、再生エネルギーの環境価値を100%付加することにより、二酸化炭素の排出量を実質ゼロにする仕組みを取り入れています。申し込みだけで使い始められて、家の電気の使い方は今までと変わらないため、環境に配慮しつつ電気代も抑えたい方に適した選択肢です。

エネルギー変換効率が高い

風力発電は、ほかの再生可能エネルギーを利用した発電方法と比べて、エネルギー変換効率が高い特徴があります。エネルギー変換効率とは、自然界のエネルギーをどれだけ無駄なく電気エネルギーに変えられるかを示す割合のことです。太陽光発電や地熱発電の変換効率が約20%とされるのに対し、風力発電は約30〜40%といわれています。

時間を選ばず発電できる

太陽光発電が日中しか電力を生み出せない一方で、風力発電は風さえあれば時間帯を問わず発電が可能です。この特性により、夜間でも安定した電力供給に貢献できると期待されています。

燃料を必要としない

先述のとおり、風力発電は発電時に石炭や石油、天然ガスなどの化石燃料を必要としません。そのため、資源の枯渇や、国際情勢の変動による燃料価格の高騰といったリスクを回避し、安定した供給が期待できます。

風力発電のデメリット

風力発電には多くのメリットがありますが、導入には考慮すべき課題もあります。ここでは、そのおもなデメリットについて見ていきましょう。

発電量が安定しない

風力発電は、一定の強さの風が安定して吹いていないと、十分な発電効果を得られません。そのため、季節や天候によっては発電量が不安定になりやすい点がデメリットです。また、風が強すぎると、安全のために運転を停止することもあります。このように発電量が変動しやすい点は、安定的な運用にとって大きな課題となっています。

設置場所が限られている

風力発電の効率を高めるには、適切な設置場所の選定が不可欠です。風が弱い場所では十分に発電できないため、高原や海岸沿いなど、安定して多くの風を受けられる広い場所を確保する必要があります。これにより、設置可能な場所が限られる点が課題です。

騒音が発生する

風車が稼働する付近では、電車が通過する際の鉄道のガード下と同程度の騒音が発生するとされています。そのため、住宅地とは一定の距離を置いて設置されるのが一般的です。ただし、距離を確保しても住民に騒音が届き、問題となるケースもあります。

整備・点検などメンテナンスが必要になる

風力発電設備は、屋外に設置するため常に雨や風、紫外線にさらされています。そのため、部品の摩耗や劣化は避けられず、定期的な点検や修理が不可欠です。しかし、これらの作業は基本的に高所で行なわれるうえ、専門的な技術が必要になるため、メンテナンス費用がかさみやすい傾向があります。特に洋上風力発電では、海上での作業となるため陸上よりも作業が難しく、メンテナンスコストがさらに高くなるという課題もあります。

日本にとっての風力発電

環境負荷の低いクリーンエネルギーとして注目される風力発電ですが、日本ではどのような現状にあるのでしょうか。ここでは、日本での普及状況と今後の課題について解説します。

日本における風力発電の普及率

2025年現在、日本で稼働している風力発電設備は2,700基を超えています。しかし、電力供給の中心は依然として火力発電であり、2023年度の実績では全体の約70%以上を占めています。一方で、同年度の風力発電の割合はわずか1.1%程度にとどまっており、主要な発電方法として普及するには、まだ時間がかかると見られます。

出典:2024年12月末時点日本の風力発電の累積導入量|一般社団法人 日本風力発電協会

出典:2025年、日本の洋上風力発電~今どうなってる?これからどうなる?|資源エネルギー庁

日本における風力発電の課題

日本の風力発電に関する研究や開発は、着実に進んでいます。一方で、国外と比較すると、発電コストが高いという課題を抱えています。また、山地の多い日本では、風速や風向きが安定している場所が限られているため、陸上風力発電を導入しにくいのが現状です。これらの課題を克服し、導入をさらに加速させることが、日本における風力発電普及のカギとなるでしょう。

今後より注目度が高まる風力発電

風力発電は、温室効果ガスを排出しないクリーンな発電方法です。風という再生可能エネルギーを利用するため燃料コストがかからず、近年では家庭で導入できる小型風力発電にも注目が集まっています。地球温暖化対策が喫緊の課題となるなか、今後さらに風力発電への注目度は高まっていくことでしょう。

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    エネワンでんき編集部

  • エネワンでんき編集部は、電気代の見直しや節約の工夫、電力会社の選び方など、暮らしに役立つエネルギー情報をわかりやすく丁寧に発信し、日々の生活に寄り添う情報をお届けします。

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