
エアコンの風量を変えても電気代は変わらない?節約のポイントを解説
エアコンの風量を変えても電気代は変わらない?節約のポイントを解説
エアコンの節電を考えている方の中には、風量の強さが電気代に大きく影響していると考えている方もいるのではないでしょうか。本記事では、エアコンの風量と電気代の関係や、風量以外でエアコンの節電をはかる方法をご紹介します。
目次
エアコンの風量は電気代にどう関係する?

エアコンの風量を「強」にすると、吹き出し口から強い風が出てくるため、電気代も高くなると思いがちです。しかし、エアコンの電気代には風量がそれほど大きな影響を与えるわけではありません。まずは、エアコンの電気代と風量の関係について詳しく解説します。
「弱」より「自動」のほうが節電
エアコンが最も多くの電力を消費するのは、電源を入れてから設定温度に達するまでの間です。この時間が短くなればなるほど、電気代の削減につながります。
エアコンの風量設定を「自動」にすると、最初から強い風が出るため、電気代が無駄になっていると感じる人もいるかもしれません。消費電力を抑えようとして、最初の風量を「弱」に変えてしまう方も多いのではないでしょうか。
しかし、「弱」で運転を始めると、設定温度に達するまで時間がかかります。結果的に電気代が余計にかかってしまうことになるため、「自動」に設定して風量調整をエアコンに任せたほうが節電につながるのです。
確かに「弱」より「強」のほうがファンの消費電力は大きくなりますが、全体の電気代への影響はごくわずかです。エアコンの節電を考えるなら風量を自分で調整するのではなく、「自動」に設定して、風量調整はエアコンに任せましょう。
設定温度を変えるより「強」のほうが節電
エアコンの冷房を使っていても暑さを感じる場合は、設定温度を変えて暑さをしのごうとするのが一般的です。しかし、設定温度を下げると圧縮機の運転が強くなり、電力消費量も大きくなってしまいます。
冷房使用時に室内をもっと涼しくしたいなら、設定温度を変えるのではなく風量を「強」にするのがおすすめです。風が強くなるとファンが使う電力も大きくなりますが、設定温度を下げた場合に圧縮機が消費する電力ほど大きくはなりません。
体感温度は、室温だけでなく気流によっても変わるため、風量を強くすれば設定温度を下げなくても涼しく感じられるようになるのです。
一般財団法人省エネルギーセンターの情報によると、エアコンの設定温度を1℃緩和した場合、冷房時には約13%の電力消費量を削減できます。エアコンの電気代を節約したいなら、設定温度を変える以外の方法で快適さを求めることが大切です。
※出典:エアコンの使い方について | 家庭部門のCO2排出実態統計調査
エアコンの電気代の計算方法
エアコンの電気代が気になるなら、電気代の計算方法を理解しておくのがおすすめです。実際の製品を例に取り、エアコンの1時間・1年間あたりの電気代を計算します。
エアコンの1時間あたりの電気代
エアコンの1時間あたりの電気代は、消費電力を使って計算することが可能です。消費電力は取扱説明書やWebサイトを見ればわかります。
消費電力を用いたエアコンの電気代の計算式は、「消費電力(kW)×電気料金単価(円/kWh)」です。電気代の目安を計算する際は、全国家庭電気製品公正取引協議会が定める目安単価の31円/kWhを用いるのが一般的です。
日立のルームエアコン「白くまくん」シリーズの製品を例に取り、1時間あたりの電気代を計算した結果は以下のようになります。
製品名:RAS-DR2225S(日立)
消費電力:暖房470W、冷房635W
暖房の1時間あたりの電気代:0.47kW×31円/kWh=14.57円/時間
冷房の1時間あたりの電気代:0.635kW×31円/kWh=19.69円/時間
※出典:よくある質問 Q&A |公益社団法人 全国家庭電気製品 公正取引協議会
エアコンの1年間あたりの電気代
エアコンの1年間あたりの電気代は、期間消費電力量を用いて計算するのがおすすめです。期間消費電力量とは、エアコンを1年間使用した場合に消費する電力の目安を意味します。
期間消費電力量を用いた電気代の計算式は、「期間消費電力量(kWh)×電気料金単価(円/kWh)」です。前項で紹介した製品の1年間あたりの電気代を見てみましょう。
製品名:RAS-DR2225S(日立)
期間消費電力量:717kWh
1年間あたりの電気代:717kWh×31円/kWh=22,227円/年
製品によっては、冷房と暖房それぞれの期間消費電力量を示しているケースもあります。これを用いて同様に計算すれば、シーズンごとの電気代の目安を知ることも可能です。
風量以外でのエアコンの節電ポイント

エアコンの電気代はさまざまな方法で節約できます。風量調整以外でのエアコンの節電ポイントを見ていきましょう。
室温を適切に保つ
エアコンの設定温度を変えると電気代が高くなる恐れがあることは前述の通りです。夏は28℃、冬は20℃を室温の目安とし、この温度をできるだけ保つようにしましょう。
また、体感温度は室温だけでなく湿度からも大きな影響を受けます。快適に過ごせる湿度の目安は、夏が45〜60%、冬が55〜65%です。湿度計を設置したうえで加湿器や除湿器をエアコンと併用し、湿度も常に意識するとよいでしょう。
風向きを調整する
エアコンは風向きの調整が可能です。冷気は下に、暖気は上にたまりやすいという性質を考慮して風向きを決めましょう。
例えば冷房を使う場合、風向きは「水平」にするのがおすすめです。冷たい風が床方向に自然に下りていくため、電力消費を抑えながら部屋全体が涼しくなります。
サーキュレーターとエアコンを併用すれば、サーキュレーターが室内の空気を循環させることで、冷暖房の効果をより高めることができます。
フィルターを定期的に掃除する
フィルターが目詰まりすると冷暖房効果が下がり、電気代も高くなってしまいます。2週間に1回の頻度を目安に、エアコンのフィルターを掃除しましょう。
自動お掃除機能が備わっている場合も、フィルターに付着した油汚れやたばこのヤニ汚れは取れません。フィルターを取り外して水洗いすれば、不快なにおいの予防にもつながります。
短時間の外出ならつけっぱなしにする
エアコンの電気代は、設定温度に達するまでの間が最も高くなります。外出中にエアコンを消すと室温が変化し、帰宅後に再び設定温度に戻さなければならなくなるため、短時間の外出ならつけっぱなしにしておきましょう。
ただし、外気温と室温の差がそれほど大きくない場合は、外出中にエアコンを消しても室温が大きく変化しないケースがあります。この場合は短時間の外出でもエアコンを消したほうが節電につながる可能性があるため、状況に応じて判断しましょう。
最新の省エネモデルに買い替える
近年はエアコンの省エネ化が進んでおり、最新機種に買い替えることで節電につながりやすくなります。買い替えの際に費用はかかるものの、長い目で見ればお得になるため、古くなったエアコンの調子が悪い場合は修理ではなく買い替えを検討しましょう。
東京都では、省エネ性能が高い電化製品の購入時にポイントを付与する「東京ゼロエミポイント事業」を実施しています。エアコンを買い替える予定があるなら、東京ゼロエミポイントの利用を検討してみるのもよいでしょう。
※出典:東京ゼロエミポイント事業が新しくなります|10月|都庁総合ホームページ
室外機の環境を整える
室外機は空気の熱を交換する重要な設備です。室外機の周辺に物が置いてあると、熱交換の効率が悪くなるため、きれいに片付けておきましょう。
また、直射日光や積雪から室外機を守り、室外機自体の不要な温度変化を防ぐことも大切です。室外機専用のカバーなどを活用して対策しましょう。
エアコン以外で電気代を節約する方法

エアコンは節約効果が高い電化製品ですが、電気代の節約を図るならエアコン以外で節電に取り組むことも大切です。以下に挙げる節約術を確認し、可能な範囲で検討しましょう。
カーテンを工夫する
窓は外気が入り込んだり室内の空気が逃げたりしやすい部分です。窓の遮熱・断熱対策を講じることで、室温の変化を抑えられるため、結果的に電気代の節約につながります。
厚手のカーテンに変えたり、丈の長いカーテンを取り付けたりすれば、窓を通した熱移動を抑えることが可能です。カーテンを重ねて空気の層をつくることでも、室内の保温効果を高められます。
また、窓の隙間を断熱材で埋めたり、窓に断熱シートを貼ったりするのもおすすめです。暑すぎる日や寒すぎる日は、雨戸やシャッターを閉める方法も高い効果を発揮します。
契約アンペア数を下げる
契約アンペア数とは、ご家庭で同時に使用できる電力量の上限です。アンペア制を採用している電力会社と契約しているなら、契約アンペア数を下げれば基本料金が安くなるため、電気代を節約できます。
電力会社のWebサイトや検針票(電気ご使用量のお知らせ)を見れば、契約アンペア数を確認できます。自宅の契約アンペア数に余裕があるなら下げるのがおすすめです。
電力会社を見直す
現在は消費者が電力会社を自由に選べる時代です。電力会社の供給対象エリアであれば、基本的にどの電力会社にも切り替えが可能です。
今より安い電力会社に乗り換えれば、それだけで電気代が安くなる可能性があります。また、電気以外のサービスを提供している電力会社も増えています。
エネワンでんきでは、ご家庭の電気の使い方に合わせて適切なプランを選べます。さまざまな特典のついたプランも用意しているため、電力会社の見直しを検討しているなら、ぜひエネワンでんきをご検討ください。
エネワンでんきで電気代をいくら抑えられるかシミュレーションする
エアコンの風量と電気代の関係を正しく理解しよう

エアコンの風量設定は、意外にも電気代に影響する重要な要素です。風量は「自動」や「強」をうまく活用しつつ、温度設定やフィルター掃除などほかの節電ポイントも組み合わせることで、より効果的に電気代を抑えられます。
また、最新モデルへの買い替えや契約アンペア数の見直しも有効です。電気代を根本的に見直したいなら、電力会社の変更も検討してみましょう。
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エネワンでんき編集部
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