
一人暮らしの始めるのに費用はどれくらいかかる?知っておきたい相場を解説
一人暮らしの始めるのに費用はどれくらいかかる?知っておきたい相場を解説
一人暮らしを始めるうえで必ずチェックしておかなくてはならないのが、一人暮らしにかかる費用です。先立つものがなければ、夢の一人暮らしも実現が難しくなります。一人暮らしをスタートするために必要な資金の相場を解説します。
目次
賃貸契約にかかる費用

一人暮らしに必要な資金の筆頭が、賃貸契約関連の費用です。賃貸契約にかかる費用は、契約する部屋の家賃によって左右されます。平均的な一人暮らしの家賃として50,000円を想定し、賃貸契約にかかる資金を解説します。
物件を借りるとかかる「家賃」や「共益費」
賃貸契約に関する費用としてまず挙げられるのが、家賃と共益費です。
家賃とは、賃貸物件を借りるときに毎月かかる費用です。賃貸契約時には、入居していた日数に応じて支払う「日割り家賃」と、入居する月の翌月分の家賃である「前家賃」がかかります。家賃は翌月分を当月に支払うのが一般的であるため、賃貸契約を結ぶ際には前家賃が発生します。
共益費とは、入居者たちが共同で使用する設備の運営や維持にかかる費用です。共用部分の照明の交換費用やごみ置き場の清掃費用などが共益費にあたります。共益費は家賃の5~10%が相場であるため、家賃が50,000円であれば2,500~5,000円程度を負担することになります。
原状回復に備える「敷金」
敷金とは、家賃の滞納や物件の破損に備えて貸し主に預けておくお金のことです。物件を退去するときに借りていた部屋を本来の状態に戻す(原状回復)際、預けていた敷金から費用を捻出します。原状回復を行った後、余った敷金は返還されます。
家賃の滞納も物件の破損もない状態で退去すれば、理論上、敷金は全額返還されることになるでしょう。しかし実際には、何かと理由を付けて原状回復にかかる費用を差し引かれるのが一般的です。
敷金の相場は家賃1カ月分です。ペット可の物件の場合、家賃2カ月分の敷金を求められるケースもあります。
物件を貸してくれたお礼として支払う「礼金」
礼金とは、物件を貸してくれる大家に対し、貸主への謝礼として支払う費用です。物件の貸し主に対して支払われる費用という面では敷金と似ていますが、礼金は敷金と違って返還されることはありません。
礼金の目安は家賃の1カ月分です。新築物件の場合には、家賃2カ月分の礼金が求められることもあるので、留意しておきましょう。一方で、近年では礼金がかからない物件も登場しています。
不動産会社に支払う「仲介手数料」
仲介手数料とは、不動産会社を通じて物件を借りた場合にかかる費用のことです。賃貸契約を成立させてくれた対価として不動産会社に支払います。
不動産会社が請求する仲介手数料の上限は、家賃の1カ月分プラス消費税(すなわち家賃の1.1カ月分)です。仲介手数料は貸し主と借り主から50%ずつ受け取っても、貸し主または借り主から100%受け取っても問題ないとされているため、仲介手数料の相場は家賃0.55~1.1カ月分(家賃50,000円の場合、相場は27,500~55,000円程度)となります。
なお、仲介手数料の額・家賃の1.1カ月分はあくまでも上限であり、中には仲介手数料を無料にしている不動産会社もあります。
万が一に備えるための「火災保険料」
火災保険料とは、火災や台風などに備える保険に加入するための費用です。火災保険への加入は任意であるものの、賃貸契約を結ぶ際には、入居時に火災保険への加入が義務付けられている場合が多いといえます。
賃貸物件における火災保険では、建物を補償対象とする保険に貸し主である大家が加入し、家財を補償対象とする保険に借り主である入居者が加入するのが一般的です。
火災保険料の相場は2年間で20,000円前後です。選択するプラン・契約する物件の状態・物件の立地などによって支払う保険料の額が変わってきます。
セキュリティを高める「鍵の交換費用」
鍵の交換費用とは、物件の玄関に設置されている鍵を交換するための費用です。鍵の交換は、以前その物件に入居していた方とは異なる鍵を設置し、セキュリティを高める目的で実施される作業です。
鍵の交換にかかる費用は、鍵の種類によって変動します。例えば、最もメジャーなディスクシリンダータイプの鍵に交換する場合には16,500~22,000円、ピッキングに強い構造をしているディンプルキータイプの鍵に交換する場合には27,500~38,500円の費用がかかります。
※出典:玄関ドアの鍵交換の費用は?料金相場と鍵を交換する方法 | 鍵屋の鍵猿
保証会社を活用する場合に必要な「保証会社利用料」
保証会社利用料とは、賃貸契約時に保証会社を利用した場合にかかる費用です。
保証会社とは「賃貸保証会社」「家賃保証会社」などと呼ばれる会社です。賃貸物件の借り主が何らかの事情で家賃が払えなくなったときに、借り主に代わって家賃を立て替える会社を指します。
一昔前までは親や親戚を連帯保証人として物件を借りるケースが多かったのですが、現代ではさまざまな事情により保証会社を利用する方が増えています。
保証会社利用料の目安は月額総額(家賃と共益費の合計)の50~100%です。家賃が50,000円だった場合には、25,000~50,000円です。
引越しにかかる資金

一人暮らしを始めるには引越しを行う必要もあります。引越しにかかる費用は、引越しを実施する時期によって大きく変わってきます。引越し費用を抑制したいのであれば、通常期に引越しを実施するのが望ましいといえるでしょう。引越しにかかる資金の目安を解説します。
繁忙期の費用相場
引越しの繁忙期は2~4月です。入学や就職が多くなるこの時期は、依頼が集中するため、引越し費用が高騰しやすくなります。
繁忙期における荷物が少ない場合(軽トラック程度)の引越し費用の目安は以下のようになっています。
同一県内(50km圏内) | 約50,000円 |
同一地方(50~200km圏内) | 50,000〜60,000円 |
近隣地方(200~500km圏内) | 60,000〜70,000円 |
遠距離(500km以上) | 70,000〜80,000円 |
荷物が多い場合(1.5~2トントラック程度)の平均費用の目安は以下の通りです。
同一県内(50km圏内) | 60,000〜70,000円 |
同一地方(50~200km圏内) | 80,000〜90,000円 |
近隣地方(200~500km圏内) | 90,000〜100,000円 |
遠距離(500km以上) | 120,000〜130,000円 |
通常期の費用相場
引越しにおける通常期とは5~1月を指します。通常期であっても、9月のように転勤が増えることで引越し費用が高くなる時期もあるので、注意しましょう。
通常期における平均的な引越し費用は、荷物が少ない場合(軽トラック程度)、下記のようになります。
同一県内(50km圏内) | 35,000〜40,000円 |
同一地方(50~200km圏内) | 45,000〜50,000円 |
近隣地方(200~500km圏内) | 50,000〜60,000円 |
遠距離(500km以上) | 60,000〜70,000円 |
荷物が多い場合(1.5~2トントラック程度)の平均費用は以下の通りです。
同一県内(50km圏内) | 約50,000円 |
同一地方(50~200km圏内) | 60,000〜70,000円 |
近隣地方(200~500km圏内) | 80,000〜90,000円 |
遠距離(500km以上) | 90,000〜100,000円 |
家具や電化製品の購入資金

一人暮らしを始めるには、生活に必要な家具や電化製品をそろえる必要があります。一人暮らしに必要な家具や電化製品は何か、またそれらを新調した場合に必要な資金はどれくらいかを解説します。
最低限必要な家具と購入資金
一人暮らしをする上で最低限必要な家具と購入資金の相場は以下の通りです。
・ベッド一式:10,000円~
・カーテン:3,000円~
・テーブル:5,000円~
・収納家具:3,000円~
これらの家具をそろえた上で、必要に応じてソファやイスなどの家具を買い足すと良いでしょう。
家具の新調にかかる費用を抑えたいのであれば、中古やアウトレットをうまく活用するのがおすすめです。運良く新居にぴったりなサイズのものが見つかれば、新品の家具を買うよりも、大幅に資金を節約できます。
最低限必要な電化製品と購入資金
生活に最低限必要な電化製品とその購入資金の相場は以下の通りです。
・冷蔵庫:30,000円~
・電子レンジ:10,000円~
・洗濯機:30,000円~
・エアコン:40,000円~
・掃除機:5,000円~
・照明器具:5,000円~
これらの電化製品をそろえれば、不自由なく一人暮らしを楽しめるでしょう。
電化製品をそろえる費用を抑えたいのであれば、中古品やアウトレットを上手に活用するのがおすすめです。中古の電化製品を購入するときは、使用感や付属品の有無などをしっかり確認し、使用に耐えられるものを厳選しましょう。
一人暮らしを始めた後にかかる生活費

一人暮らしを始めるときは、「一人暮らしを維持するにはどれくらいの生活費がかかるのか」を知っておかないと、後から生活が苦しくなってしまう恐れがあります。総務省統計局が公表する「家計調査」に見る、一人暮らしの生活費を解説します。
一人暮らしの生活費の平均値
2024年における一人暮らしの生活費は下記の通りです。
食費 | 43,941円 |
水道光熱費 | 12,816円 |
被服費 | 4,881円 |
医療費 | 8,394円 |
交通費 | 4,553円 |
通信費 | 6,379円 |
教養娯楽費 | 19,519円 |
交際費 | 13,897円 |
合計 | 169,547円 |
消費支出の合計額は169,547円となっています。
また、2020~2024年における消費支出の推移は下記の通りです。
2024年 | 169,547円 |
2023年 | 167,620円 |
2022年 | 161,753円 |
2021年 | 155,046円 |
2020年 | 150,506円 |
一人暮らしにかかる生活費は、右肩上がりに上昇していることがわかります。
※出典:家計調査 家計収支編 単身世帯 詳細結果表 <用途分類>1世帯当たり1か月間の収入と支出 2 男女,年齢階級別 単身世帯・勤労者世帯 年次 2024年 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口
※出典:家計調査 家計収支編 単身世帯 詳細結果表 <用途分類>1世帯当たり1か月間の収入と支出 2 男女,年齢階級別 単身世帯・勤労者世帯 年次 2023年 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口
※出典:家計調査 家計収支編 単身世帯 詳細結果表 <用途分類>1世帯当たり1か月間の収入と支出 2 男女,年齢階級別 単身世帯・勤労者世帯 年次 2022年 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口
※出典:家計調査 家計収支編 単身世帯 詳細結果表 <用途分類>1世帯当たり1か月間の収入と支出 2 男女,年齢階級別 単身世帯・勤労者世帯 年次 2021年 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口
※出典:家計調査 家計収支編 単身世帯 詳細結果表 <用途分類>1世帯当たり1か月間の収入と支出 2 男女,年齢階級別 単身世帯・勤労者世帯 年次 2020年 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口
一人暮らしの費用を抑える方法

一人暮らしを始めるのであれば、できる限り費用を抑えて新生活をスタートさせたいと思うものです。一人暮らしにかかる資金を抑制できれば、趣味や交際費にお金を回せるため、生活が豊かになります。一人暮らしの資金を抑える方法を解説します。
「ゼロゼロ物件」を探す
ゼロゼロ物件とは、敷金と礼金がかからない賃貸物件のことです。ゼロゼロ物件を見つけられれば、敷金と礼金を節約できます。
ゼロゼロ物件の特徴は下記の通りです。
・立地があまり良くない
・築年数が古い
・魅力的な設備が備わっていない
これらの物件は借り主がなかなか見つかりにくいため、敷金と礼金をゼロにしないと、空室の期間が長くなってしまう可能性があります。
このような条件にあてはまる物件以外にも、物件の供給過多による入居者獲得競争の激化により、敷金と礼金をゼロに設定している物件もあります。たくさんの物件の中から選んでもらうため、入居者が負担する初期費用を抑えているのです。
家具家電付き物件を探す
一人暮らしのスタートに伴う家具と電化製品の購入費用を抑えたいのであれば、家具家電付きの物件を探すのがおすすめです。
学生や新社会人をターゲットにしているワンルームの中には、必要な家具や電化製品が始めから備え付けられている「家具家電付き物件」があります。このような物件を活用すれば、家具や電化製品を新調することなく、快適な一人暮らしをスタートできます。
ただし、家具家電付き物件はそうでない物件よりも家賃が高く設定されている場合があります。長期間入居する予定であれば、賃貸契約中にかかる費用の総額を試算し、総合的にお得になるかどうか考えることが大切です。
引越しの荷物の量を減らす
引越しにかかる費用を抑えたいのであれば、引越し業者に運搬を依頼する荷物の量を減らすのが有効です。
引越し費用はトラックの大きさに比例して増えるため、荷物を減らして小型のトラックに抑えると、費用を抑えやすくなります。荷物の量を減らして、借りるトラックを2トントラックから軽トラックにランクダウンできれば、引越し費用がぐっと安くなると予測されます。
新生活に必要のないものを処分する際には、リサイクルショップやフリマアプリを有効活用しましょう。不用品を売ってお金を作れれば、新生活を始めるための費用の一部を賄えます。
月々かかる固定費を見直す
一人暮らしにかかる資金を抑えたいのであれば、固定費の見直しを行って生活費を抑えることも有効です。固定費とは、毎月ほぼ同じ額が出ていく支出のことです。家賃・水道光熱費・通信費・保険料などが該当します。
一人暮らしで見直すべき固定費の代表例が通信費です。月々使用しているデータ容量を精査してスマホの契約プランを見直したり、格安SIMと呼ばれる、低価格が特徴の携帯会社へ乗り換えたりすれば、通信費をぐっと抑えられます。
また、固定費を安く抑えるには、水道光熱費を見直すのも有効です。電気やガスの使い方に合った料金プランを選択したり、会社の乗り換えを行ったりすることで、月々の水道光熱費を節約できます。
ポイントを押さえれば一人暮らしの費用は抑えられる

一人暮らしを始めるには、まとまった額の初期費用と月々の生活資金が必要です。相場を把握した上で計画的に準備を進めれば、無理なく新生活をスタートできるでしょう。加えて、費用を抑える工夫も実践していけば、必要最低限の資金で一人暮らしを開始できます。自分の貯金や収入と照らし合わせながら、一人暮らしの実現に向けて、具体的に考えていきましょう。