
車庫証明の取得に住民票は必要?必要書類や取得までの流れを解説
車庫証明の取得に住民票は必要?必要書類や取得までの流れを解説
車庫証明とは、自動車の保管場所がきちんと確保されていることを示す書類です。取得手続きをするにあたり、住民票は必要なのでしょうか?引越しをする場合や単身赴任先で自動車を使用する場合など、手続きのポイントをパターン別に解説します。
目次
車庫証明の手続きに住民票は必要?

新たに自動車を取得したときは、警察署で「車庫証明」を申請し、運輸支局に提出しなければなりません。車庫証明の取得は、警察署で行います。「住民票は必要?」「全体の流れを知りたい」という方のために、手続きの基本を解説します。
車庫証明の基本
車庫証明の正式名称は、「自動車保管場所証明書」です。自動車の保管場所(以下、車庫)が確保されていることを証明する書類で、公道や他人の敷地内への違法駐車をなくす目的があります。
新車・中古車を問わず、自動車(登録自動車)を新たに購入したときは、警察署で車庫証明を取得し、運輸支局に提出するのがルールです。
これらは「自動車の保管場所の確保等に関する法律(車庫法)」で義務付けられており、ルールを守らない者には罰則が科せられます。
なお、軽自動車は車庫証明が不要ですが、一部の地域では「自動車保管場所届出」が必要です。
※出典:保管場所手続とは 警視庁
手続きの流れ
車庫証明の手続きは、車庫の所在地を管轄する警察署で行います。申請書類の入手から車庫証明の発行までの大まかな流れは以下の通りです。軽自動車の場合も手続き内容はほとんど変わりません。
- 申請に必要な書類を集める
- 申請書の内容を作成する
- 警察署で申請をする
- 証明書が発行される
申請に必要な書類は、自動車を購入した販売店、警察署で入手できるほか、警視庁のWebサイトでもダウンロードできます。
申請と受け取りのために、少なくとも2回は警察署に行く必要があります。申請から発行までに要する日数は、長くても1週間程度とみておきましょう。申請時および受け取り時には、手数料がかかります。
※出典:保管場所手続に係る手数料 警視庁
手続きに必要な書類
申請書類には、車種・サイズ・車台番号などを記入する欄があるため、手続きは自動車の売買契約の後に行うのが基本です。売買契約からナンバー取得までの間に速やかに手続きを済ませましょう。
車庫証明申請(普通車)では、以下のような書類が必要です。
- 自動車保管場所証明申請書
- 保管場所標章交付申請書
- 権原書面(保管場所使用権原疎明書面または保管場所使用承諾証明書)
- 所在図及び配置図
「権原書面」とは、車庫の使用権原を証明するものです。車庫が自己所有であれば「保管場所使用権原疎明書面(自認書)」、他人所有であれば「保管場所使用承諾証明書(契約書の写しでも可)」を提出します。
車庫証明の取得手続きに住民票は不要ですが、運輸支局で行う自動車の新規登録では、住民票が必要になるケースがあります。
また、都道府県によっては申請時に「県収入証紙」で手数料を納付する必要があります。県収入証紙は、取り扱いのある金融機関や窓口が限られており、在庫状況によっては入手に時間がかかることもあるため、事前の確認が推奨されます。
一方で、すでに収入証紙を廃止している都道府県もあり、東京都、大阪府、京都府、広島県、鳥取県、埼玉県、岡山県、富山県、福井県、島根県、新潟県などが該当します。制度は変更される可能性があるため、最新の納付方法については各都道府県の公式サイトをご確認ください。
車の購入時以外で手続きが必要なケース

自動車の購入時以外でも車庫証明の手続きが必要なケースがあります。引越しをした場合と自動車の名義が変わった場合の2パターンについて解説します。引越しの前後は何かと慌ただしいため、スケジュールをしっかり立てるようにしましょう。
引越しをする場合
引越しでは、「車庫の場所が変わるケース」と「住所は変わるが車庫の場所は変わらないケース」の2パターンがあります。
車庫の場所は「自動車を使用する本拠地(住所)から直線距離で2km以内」と決められているため、いずれの場合でも「車庫証明の住所変更手続き」が必要です。
引越し後、車庫の所在地を管轄する警察署で、15日以内に手続きを済ませましょう。必要な書類は、車庫証明の取得時と変わりません。引越しの後片付けなどで忙しいときは、代理人による申請も可能です。
引越しせずに保管場所だけ変えた場合は?
所有者の住所は変わらず、車庫の場所だけを変えた場合は、車庫証明の住所変更手続きは不要です。ただし、車庫の所在地を管轄する警察署にて「保管場所届出手続き(窓口申請)」を行わなければなりません。
手続きに必要な書類は、車庫証明の取得時と同様です。保管場所標章番号通知書と保管場所標章の交付時には、500円の標章交付手数料を支払う必要があります。
手続きの期限は、変更から15日以内と決まっているため、忘れずに足を運びましょう。
車の名義人が変わる場合
自動車をオークションで購入したり、知人から譲り受けたりする場合も、車庫証明の取得が必要です。運輸支局で名義変更(移転登録)を行う際に、車庫証明の提出が義務付けられているためです。
例えば、東北運輸局の場合は「申請・証明の日から40日以内の車庫証明」を提出しなければなりません。車庫の所在地を管轄する警察署にて、取得手続きを行いましょう。
なお、旧所有者と新所有者の住所が同じで、車庫の場所が変わらない場合は、車庫証明の提出が不要になるケースもあります。
※出典:Q10.知人から車を購入することにしました。相手からどんな書類を出してもらう必要があるのでしょうか? – 東北運輸局
住民票を移さない単身赴任者の手続き

引越しをする際は、車庫証明の住所変更手続きが必要ですが、単身赴任者の場合は、どのような手続きが生じるのでしょうか?本記事では、「住民票を移さない単身赴任者」のケースを取り上げます。
車庫証明の手続きが必要な方と不要な方がいる
車を所有している単身赴任者のうち、赴任先に自動車を持っていかず、引き続き自宅の車庫で保管する場合は、車庫証明の手続きは必要ありません。
手続きが必要になるのは、赴任先で自分の自動車を使う方です。短期間の単身赴任なら住民票を移さない、というケースもあります。
この場合、赴任先で車庫を確保した上で、住民票を移さずに車庫証明の手続きを行う流れとなります。赴任先によっては車庫証明が不要な場合もあるため、必ず事前に確認をしましょう。
「使用の本拠地の位置」を証明する書類が必要
車庫証明の手続きでは本来、「申請者欄の住所」と「自動車の使用の本拠の位置」が一致している必要があります。使用の本拠の位置とは、使用者(個人)が実際に居住している場所です。
住所地と使用の本拠の位置が違う単身赴任者の場合、赴任先の住所が使用の本拠の位置であることを証明する「所在証明書類」の提出を求められます。以下は、所在証明書類の一例です。
- 公共料金の領収書
- 消印のある郵便物
- 運転免許証
- 自動車検査証(軽自動車の場合のみ)
※出典:自動車の使用の本拠の位置とその位置を確認できるもの 警視庁
車庫証明の手続きに関するQ&A

「手続きを忘れた場合の罰則は?」「車庫証明が不要な地域は?」など、車庫証明の手続きに関するよくある質問をまとめました。不明点があれば、車庫の所在地を管轄する警察署に確認することをおすすめします。
手続きを忘れたらどうなる?
引越し後は、住所の変更から15日以内に手続きをしなければなりません。引越し直後は、自動車関連以外にもさまざまな手続きをしなければならず、車庫証明まで気が回らない方もいるようです。
期限内に手続きをしないと、車庫飛ばしを疑われ、10万円以下の罰金が科される場合があります。
車庫飛ばしとは、車庫証明に記載された場所以外に車を保管する行為です。「他地域のナンバープレートを取得する」「ディーゼル車規制条例を逃れる」などの目的で、違法行為が行われているのが現状です。
車庫証明が不要な地域とは?
車庫証明の手続きが不要な地域は、「適用除外地域」と呼ばれます。人口が多くて、路上駐車の問題が起こりやすい都心部は車庫証明が必須ですが、人口が少ない一部の地域では、車庫証明を必要としません。
東京で自動車(普通車)の車庫証明が不要な地域は、桧原村・利島村・新島村・神津島村・三宅村・御蔵島村・青ヶ島村・小笠原村で、いずれも離島に該当します。
車庫の場所が適用除外地域に該当するかどうかは、警察署の窓口やWebサイトで確認しましょう。
車庫証明に必要な書類は早めに準備を!

新たに自動車を取得した際は、車庫証明の手続きを行うのがルールです。購入時だけでなく、引越しや名義変更でも手続きが発生し、定められた期限を過ぎるとペナルティーが科せられる可能性があります。
特に、引越し後はやるべきことが多くて忘れやすいため、あらかじめスケジュールに組み込んでおくことをおすすめします。
手続きには多くの書類が必要です。書類の入手方法や作成方法をしっかりと調べ、二度手間にならないように準備をしましょう。