
単身赴任の生活費はいくらかかる?内訳や節約のポイントを解説
単身赴任の生活費はいくらかかる?内訳や節約のポイントを解説
仕事の都合で単身赴任をする場合、生活費がどの程度かかるのか、気になる人は多いでしょう。家賃や食費に加えて、光熱費や交通費などの支出も増えるため、事前にきちんと把握しておくことが大切です。単身赴任にかかる生活費の相場や、節約のコツを解説します。
目次
単身赴任の生活費はいくら?

単身赴任の生活費は、家賃や食費・交通費などの要素によって決まります。一般的には住む地域や生活スタイルに応じて変動しますが、大まかな相場を知っておくことで、予算の見通しが立てやすくなります。まずは、単身赴任における生活費の相場を知っておきましょう。
相場は130,000~180,000円
単身赴任における1カ月の生活費は、130,000~180,000円が相場で、個人差が大きいのが特徴です。総務省による2024年の家計調査によれば、単身世帯の1カ月の消費支出は169,547円であり、これは家賃や食費・水道光熱費・通信費・交通費などを含む金額です。
ただし、これはあくまで平均的な金額であり、住む地域や生活スタイル、会社からの手当の有無などによって大きく変動します。例えば、会社の寮や社宅が利用できる場合、生活費の大部分を占める家賃を抑えられるため、単身世帯の平均より生活費を抑えられるでしょう。
また生活スタイルによっても、生活費に大きな差が生じます。自炊中心か外食が多いか、車を所有するかどうかなど、一人一人の選択で毎月の負担が変わってくるので、きちんと支出を管理することが大事です。
地域別の生活費の目安
単身赴任の生活費は、地域によっても大きく異なります。総務省の統計調査によると、単身世帯の地域別の生活費は、関東地方で180,411円、近畿地方では171,483円です。
さらに中国・四国地方は164,171円、北海道・東北地方で160,618円、九州・沖縄地方で159,720円と続きます。全体の平均として、最も生活費が安いのは北陸・東海地方の154,223円です。
東京や大阪などの大都市圏では家賃相場が高く、地方都市と比較すると、生活費全体が増加する傾向があります。東京都心では、ワンルームでも家賃が8万円以上になることが多く、食費や交通費も相対的に高くなります。
一方、地方都市では家賃が5万円程度に収まる場合が多く、生活費全体も比較的抑えられます。ただし地方でも、冬場の暖房費が高くなる地域や車移動が必須の地域では、光熱費やガソリン代が負担になりやすい点は注意が必要です。
単身赴任の生活費の内訳は?

単身赴任の生活費は、以下のように家賃や食費をはじめ、光熱費や通信費・交通費など、さまざまな要素で構成されます。どの費用がどの程度かかるのか、できるだけ正確に把握し、無駄な支出を抑えるように工夫しましょう。
食費
単身赴任では、食費が家計の負担になりがちです。総務省の家計調査によれば、単身世帯の食費の全国平均は43,941円ですが、生活スタイルによって大きく変わってきます。
外食中心の生活を送ると、月に50,000~70,000円以上かかるケースが珍しくありません。一方で自炊中心ならば、30,000~40,000円程度に抑えられる場合も多いので、節約の基本として自炊を考えてみましょう。食材をまとめ買いするのも、節約のポイントです。
水道光熱費
水道光熱費は季節やライフスタイルによって変動しますが、単身赴任の場合、月に10,000~15,000円程度を見込んでおくとよいでしょう。総務省の家計調査によると、単身世帯の全国平均は12,816円です。
水道光熱費には電気代・ガス代・水道代が含まれており、基本的にどういった世帯でも、電気代の負担が大きくなります。電気代は、冷暖房の使用頻度によって大きく変わる傾向があり、特に冬場は暖房費がかさむため注意が必要です。
家具・家事用品にかかる費用
単身赴任を始める際、家具や家事用品の購入が必要な場合も多くあります。基本的に赴任時のまとまった出費となりますが、さらに消耗品の補充やメンテナンス費用として、月に3,000~8,000円程度を見込んでおくとよいでしょう。単身世帯の全国平均は5,822円です。
日常的に必要となる洗剤や日用品、トイレットペーパーなどの消耗品は、定期的に購入しなければいけません。調理器具や食器・寝具なども、適宜メンテナンスや交換が必要です。
被服および履物にかかる費用
基本的に、服や下着などにかかる費用は不定期ですが、毎月の予算として考えると、3,000~6,000円程度を考えておくとよいでしょう。単身世帯の全国平均は4,881円です。ただし、赴任先の気候が自宅とは異なる場合、新たに衣類の購入が必要になることが珍しくありません。
北海道や東北などの寒冷地への赴任であれば、防寒着や冬用の靴など、まとまった出費が求められる場合があります。反対に、沖縄や九州などの温暖な地域への赴任であれば、夏用の衣類を多めに用意する必要があるでしょう。
保険医療費
単身赴任では医薬品の購入や、保健医療サービスを受けるのにかかる費用も、考える必要があります。健康状態で負担額は大きく変動しますが、健康保険料や定期的な通院・医薬品の購入などを含め、月に6,000~10,000円程度を考えておくとよいでしょう。単身世帯の全国平均は8,394円です。
単身赴任中は生活環境の変化によるストレスや、不規則な生活習慣から体調を崩しやすくなる傾向があるので、十分注意しましょう。特に持病がある人は、赴任先の医療環境に関しても、事前によく確認しておく必要があります。
交通費や通信費
交通費や通信費も、単身赴任の生活において重要な項目です。通勤にかかる交通費は、勤務先からの距離や交通手段によって大きく異なります。公共交通機関を利用する場合、定期券の購入が経済的ですが、地方では自家用車が必要になるケースもあります。
総務省の家計調査をみると、単身世帯の交通費の全国平均は4,553円で、自動車にかかる費用は9,486円(維持費は8,833円)です。
一方、通信費には携帯電話(スマホ)の料金やインターネット接続料が含まれ、単身世帯の平均額は月に6,379円です。
ビデオ通話などで家族とコミュニケーションを取る場合には、安定したインターネット環境が必要です。プロバイダの選択をはじめ、できるだけ安く利用できるサービスを探しましょう。スマホは格安SIMを利用すれば、毎月の費用を安く抑えられます。
教育娯楽費
単身赴任中のリフレッシュのために、趣味や娯楽にかかる費用も考慮する必要があります。娯楽全般にかかる費用は、単身世帯の全国平均で19,519円です。映画や飲み会・旅行など、単身赴任中の息抜きは必要ですが、無計画だと家計の大きな負担となるので注意しましょう。
無駄遣いを防ぎながら、仕事以外の時間を有意義に過ごす方法を考えることが大切です。地域のコミュニティ活動や、サークルなどに参加するのもよいでしょう。
単身赴任を始める際にかかる費用は?

単身赴任を始める際には、月々の生活費とは別に初期費用が必要です。最も負担が大きいのは引越し費用であり、単身世帯の場合は45,000~60,000円程度が相場です。ただし、引越しの繁忙期に当たると、80,000円以上の費用がかかるケースもあるので注意しましょう。
また上記のように、家具や電化製品の購入費用もかかります。冷蔵庫や洗濯機・電子レンジに加えて、ベッドやソファなどの家具や、調理器具・食器類なども必要です。これらの物品をまとめて揃える場合、200,000~300,000円程度の出費になる場合も珍しくありません。
そこで、家具付きの賃貸物件を選んだり、レンタル家具やレンタルの電化製品を利用したりすることで、初期費用を抑えることも可能です。赴任期間が短い場合は、購入よりもレンタルの方が経済的な場合が多いので、積極的に検討してみましょう。
なお、引越し費用や家賃に関しては、後述のように会社から手当てが出る可能性があります。
単身赴任で会社からもらえる手当は?

単身赴任の場合、多くの企業が社員の生活費の負担を軽減するため、さまざまな手当を支給しています。会社の制度によって金額や支給の条件は異なりますが、うまく活用すれば単身赴任にかかる費用を大幅に抑えられます。
単身赴任手当の相場
民間企業が社員に支給する単身赴任手当の相場は、46,000~50,000円程度です。赴任に伴う生活費の増加分を補助する目的の手当であり、家族を自宅に残す場合の精神的・経済的負担を、軽減する役割も担っています。
手当の支給額や条件は会社によって異なり、例えば「赴任期間が1年以上であること」や、「扶養家族が本拠地に残ること」といった要件が設けられている場合もあります。
家賃補助が受けられる場合も多い
単身赴任の場合、企業によっては家賃補助(住宅手当)を受けられる場合も、少なくありません。主に赴任先の家賃の一部、または全部を会社が負担してくれるため、毎月の生活費を抑えられます。
2020年(令和2年)の厚生労働省の調査によると、企業が社員に支給している家賃補助の額は、平均で17,800円です。家賃の3割・5割といった割合で補助するのが一般的ですが、全額支給している企業もあります。
補助の適用条件や、割合・上限額などは企業によって異なるので、事前によく確認しておきましょう。
単身赴任で生活費を節約するポイントは?

単身赴任では、生活費をしっかり管理することが重要です。特に家賃や食費・通信費などの固定費を見直すことで、毎月の支出を抑えられます。無駄な出費を減らし、生活費を安くするためのポイントを押さえておきましょう。
できる限り家賃を安くする
家賃は生活費の大部分を占めるため、できるだけ安く抑えることが大事です。赴任先の住居を自分で選べるならば、家賃相場が低めのエリアを検討するのがよいでしょう。少し郊外に住むことで、家賃を抑えつつも、比較的広めの部屋を確保できる可能性があります。
ただし実際に物件を選ぶ際には、家賃の安さだけではなく、通勤距離や周辺環境・セキュリティなどを、総合的に考慮しなければいけません。
なお、家具や電化製品付きの物件を選択すれば、赴任時の出費を大幅に抑えられます。住む期間が短い場合は、無理に広い部屋を選ばず、最低限の快適さを確保する視点も大切です。
自炊を基本とする
食費を節約するには、外食の回数を減らし、自炊を基本にしましょう。単身赴任の場合、外食に頼りがちな人は多くいますが、無計画だと毎月の食負の負担が増えるため、十分注意する必要があります。
食材をできるだけまとめ買いし、自炊の回数を増やすことで節約につながります。冷凍食品を活用したり、週末に作り置きをしたりすれば、手間をかけずに自炊を続けやすくなります。食材を無駄にしないように、買い物前に冷蔵庫の中身をチェックし、計画的に食材を購入しましょう。
通信費や光熱費を抑える
通信費や光熱費など、毎月発生する固定費をできるだけ抑えるのも、節約のポイントです。まずはスマホの料金プランを見直し、利用状況に合ったものに変更できないか検討しましょう。
大手キャリアよりも格安SIMにすれば、利便性を失うことなく、料金を半額以下に抑える場合もあります。自宅のインターネットサービスも同様で、割引のあるプランやスマホとのセット契約を利用すれば、通信費を安くできる可能性があります。
また光熱費についても、料金単価の安いプランを選んだり、省エネ家電を使用したりすることで、毎月のコストを抑えられます。特に、消費電力の大きい電化製品の使用時間を制限したり、待機電力を減らしたりなどの工夫により、無駄な出費を防ぐ工夫が大切です。
なお一人暮らしの電気代の目安や、節約のポイントに関しては、以下の記事で詳しく解説しています。こちらも参考にしてください。
単身赴任にかかる生活費を最適化する

単身赴任の生活費は月に130,000〜180,000円程度が相場ですが、個人によって大きく異なります。会社からの手当や家賃補助などを活用しつつ、生活費の最適化を図ることで、毎月の負担を抑えるようにしましょう。
家賃の安い物件を選ぶのに加えて、自炊を基本にしたり、光熱費や通信費を見直したりすることで、効率的な節約が可能です。単身赴任は慣れない環境での生活となるため、できるだけ経済的な負担を減らしつつ、徐々に自分に合った暮らしを実現することが大事です。無駄を減らしながら、快適な生活を目指しましょう。