電気自動車の電気代はいくら?ガソリン車との比較も紹介
電気自動車の電気代はいくら?ガソリン車との比較も紹介
電気自動車への買い替えを検討するとき気になるのが、「電気自動車の充電にはどれくらいの電気代がかかるのか」というポイントです。電気代が高い場合、あえて電気自動車を選ぶ必要はないと考える人もいるでしょう。電気自動車の充電にかかる電気代を解説します。
目次
電気自動車の電気代はいくら?
普段ガソリン車に乗っている人にとって、「電気自動車の充電にかかる電気代」はなかなかイメージしにくいはずです。予測することさえも難しいかもしれません。自宅で充電する場合と出先で充電する場合にかかる、電気自動車の電気代を解説します。
自宅で充電する場合
自宅の充電設備を使って電気自動車を充電する場合の電気代の計算式は、「年間走行距離(km)÷電費(km/kWh・ガソリン車でいうところの燃費)×料金単価(円/kWh)」です。電気自動車のカタログに記載されている「交流電力消費率」から「電費」を計算するには、「1km÷1km走行するのに必要な電力量(kWh)」の式を使用します。
なお料金単価は、公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会が目安として掲げる「31円/kWh」を採用します。想定する年間走行距離は10,000kmです。
日産「リーフ」
・電費:約8.33km/kWh
・年間でかかる電気代:約37,214.89円
日産「サクラ」
・電費:約8.06km/kWh
・年間でかかる電気代:約38,461.54円
日産「アリア」
・電費:約6.02km/kWh
・年間でかかる電気代:約51,495.02円
電気自動車の充電にかかる電気代は、その車種の電費によって大きく左右されることが分かります。
出典:よくある質問 Q&A|公益社団法人 全国家庭電気製品 公正取引協議会
出典:主要装備一覧/諸元表:リーフ
出典:日産:サクラ [ SAKURA ] 軽自動車|価格・グレード
出典:日産アリア主要諸元
外出先で充電する場合
街の急速充電器を使用して電気自動車を充電する場合、かかる電気代には大きな差があります。充電回数や充電時間などの要素によりかかる電気代が変わってくるので、正確な数値を出すのは困難です。
一つの目安を知るために注目すべきは、各社が提供している充電サービスの料金です。街にある充電スタンドを使うには、基本的に充電サービス会社と契約して充電カード(外出先での充電をスムーズに行うためのカード)を持ち、月額料金や充電するたびに求められる都度料金を支払う必要があります。
日産の充電サービス「ZESP3」は、日産が提供する充電費用シミュレーターを使用して月額料金を試算できます。日産リーフで月2回遠出するケースを想定して試算すると、充電費用は月額6,600円(年間79,200円)となります。
ガソリン車とかかるコストを比較
電気自動車の電気代を考えるときに外せないのが、「ガソリン車のガソリン代と比べてどうなのか」という視点です。ガソリン車にかかるガソリン代と、電気自動車およびガソリン車の維持費について解説します。
電気代と燃料代の比較
年間のガソリン代を求める際に使うのは、「年間走行距離(km)÷燃料消費率(km/L)×ガソリン価格(円/L)」という式です。なおガソリン価格は、経済産業省資源エネルギー庁が公表したガソリン価格「175.4円/L」(令和6年12月2日時点)を採用しています。想定する年間走行距離は10,000kmです。
ホンダ「フリード」(6AA-GT5)
・燃料消費率:25.6km/L
・年間でかかるガソリン代:約6,851,5.63円
トヨタ「アルファード」(ハイブリッド Z)
・燃料消費率:17.7km/L
・年間でかかるガソリン代:約99,096.05円
マツダ「CX-5」(20S)
・燃料消費率:14.6km/L
・年間でかかるガソリン代:約120,136.99円
以上の結果から、自宅で電気自動車を充電した場合には、電気自動車の方が低コストであることが分かります。
出典:調査の結果|石油製品価格調査|資源エネルギー庁
出典:主要諸元 – 本田技研工業
出典:トヨタ アルファード 主要諸元表
出典:MAZDA CX-5 Technical Information
維持費の比較
電気自動車とガソリン車をコスト面で比較するなら、電気代とガソリン代に注目するだけでは不十分といわざるを得ません。自動車を維持する費用(ランニングコスト)も考慮し、総合的にコスパの良い車を選ぶ必要があります。
電気自動車はランニングコストが抑えられます。バッテリー交換には費用が発生するものの、近年の技術進歩により、車体の寿命前にバッテリー交換が必要となるケースは減少しています。維持費として大きな出費を強いられることはまずないでしょう。
一方ガソリン車は、ややランニングコストがかかりがちです。オイルやラジエーター液の交換に年間数万円程の費用がかかります。
電気自動車を選ぶメリット
ガソリン車ではなく電気自動車を選ぶメリットは、「ガソリン車よりもコストがかからないから」だけではありません。電気自動車にはガソリン車にはないさまざまなメリットがあります。電気自動車を選択するメリットを解説します。
環境に優しい
電気自動車のメリットとしてまず挙げられるのが、環境に与えるダメージが最小限に抑えられている点です。
ガソリン車の排ガスには、地球温暖化の原因の一つとされる「二酸化炭素」が大量に含まれています。そればかりか、光化学スモッグの原因といわれている「炭化水素」や「窒素酸化物」も含まれています。つまり、ガソリン車はただ走っているだけで環境に負荷を与えているのです。
一方電気自動車は、走っているときに排ガスを出さないクリーンな乗り物です。エコを意識して自動車を選ぶなら、電気自動車一択といえるでしょう。
非常用電源としても使える
自宅に充電設備を設置すれば、災害時に非常用電源として活用できるのも電気自動車のメリットです。
例えば60kWhのバッテリーを積んでいる「日産リーフe+」であれば、一般家庭の約4日分の電力を蓄えておくことができます。停電が起こる災害時は節電することを考えれば、もっと長い期間を耐えしのげるといえるでしょう。
災害時には、水や食料の不足とともに、ライフラインの寸断が被災者の生活に大きな打撃を与えます。特に停電は、生活の質を維持するために大切なエアコンを被災者から奪ってしまいます。
被災時にしっかり充電した電気自動車があれば、家電に電力を供給できるため、被災時も日常生活に近い生活を維持できる可能性が広がるでしょう。
出典:日産:リーフ[LEAF]電気自動車(EV)|蓄電池として何日間?
走行音が静か
電気自動車のメリットとしては、発進から走行に至るまで走行音が最小限に抑えられている点も挙げられます。エンジンではなくモーターで走る電気自動車は、走行音が驚くほど静かです。
夜間や早朝に運転する人にとって気になるのが走行音です。近隣住民が寝静まっている時間帯だとエンジン音が迷惑となっていないか心配になる人もいるでしょう。
走行音がほとんどない電気自動車なら、周囲の環境に配慮して車を発進させられます。夜勤や早朝からの仕事に出かけるために自動車を使っている人には、大きなメリットになりうるでしょう。
自宅に充電設備を設置する場合にかかるコスト
電気自動車の充電にかかる電気代を節約する上で欠かせないのが、自宅に設置する充電設備です。電気自動車を選択するときは、自宅に充電設備を作るためにかかるコストも頭に入れておく必要があります。
充電設備の設置にかかる工事費用の相場は40,000円~120,000円です。これに加えて本体の購入費用がかかります。自宅に設置可能な充電設備の種類と設置コストを解説します。
コンセントタイプ
コンセントタイプとは、自宅の壁に電気自動車充電用のコンセントを設置するタイプの充電設備です。
コンセントタイプを選ぶメリットは、設置工事が簡単なことです。工事が簡単な分、工事費用も割安に設定されています。また設備がコンパクトなので、設置場所を選ばないこともコンセントタイプのメリットです。
コンセントタイプの本体価格は1台3,500円~5,000円程度です。本体価格が割安なので、充電設備にあまりお金をかけたくない人に向いています。
壁かけタイプ
壁かけタイプとは、自宅の壁に箱のような形をした充電設備を取り付けるタイプの充電設備です。
壁かけタイプのメリットは、充電ケーブルが一体になっているタイプを選ぶことで、充電するたびに車から充電ケーブルを取り出し、充電設備に取り付ける手間が省けることです。ボックスタイプを選べばケーブルを収納できるので、利便性がさらにアップします。
また高出力タイプを選べば、充電にかかる時間を節約できるのもメリットです。ただ、電気自動車の中には高出力充電器に対応していない車種もあるため、設置する際には車の仕様をしっかり確認しましょう。
壁かけタイプの充電設備の本体価格は150,000円からとなっています。
スタンドタイプ
スタンドタイプとは、駐車場に充電設備が内蔵されたポールを立てるタイプの充電設備です。商業施設や公共施設でよく見られるタイプがスタンドタイプに当たります。
スタンドタイプのメリットはケーブル一体型の形にあります。充電のたびに充電ケーブルを出して接続する手間がかからないので、ストレスフリーで充電が可能です。
また設置場所の自由度が高いのもメリットです。建物と駐車場の間に距離がある場合でも問題なく設置できます。
スタンドタイプの本体価格は250,000円からとなっています。自宅に設置する充電設備としてはやや高価格といえるでしょう。
V2Hタイプ
V2Hタイプとは、電気自動車を非常時の電源として使用可能にするタイプの充電設備です。
V2Hタイプのメリットは、電気自動車に蓄えた電気を自宅で利用できる点です。停電に備えられるため、防災力を強化したい人に適しています。
また高出力充電が可能なのもV2Hタイプのメリットです。対応している電気自動車なら、充電にかかる時間を短縮できます。
V2Hタイプの本体価格は500,000円~1,400,000円です。高機能な充電設備なので本体価格も高額になります。工事費用も含め、最低でも800,000円以上の出費は覚悟しておきましょう。
集合住宅に充電設備を設置するには
充電設備のないマンションに住んでいて、敷地内に充電設備を設置するには、同じマンションに住む住人たちの合意が必要です。
マンションに設置されている駐車スペースはマンションの共有施設であるため、たとえ自分が使っている駐車スペースであっても、勝手に充電器を設置することは許されません。
マンションに充電設備を作ってほしい場合には、設置場所の候補や設置にかかる費用などをまとめた資料を用意し、マンションの管理組合や理事会にかけ合うことをおすすめします。
電気自動車の電気代を安く抑える方法
電気自動車の充電にかかる電気代は、工夫次第で節約が可能です。節電を意識しながら電気自動車を使えば、愛車がさらにエコな乗り物に進化します。電気自動車の充電にかかる電気代を抑える方法を解説します。
自宅の電気料金プランを変更する
電気自動車の充電にかかる電気代を安くするには、自宅の電気料金プランを電気自動車の充電に合ったものに変更する方法が有効です。
電気自動車ユーザーの多くは、日中に運転し、夜間に充電するスタイルをとっていることが多いでしょう。そこで深夜帯の電気代が安くなるプランに変更すれば、電気自動車の充電にかかる電気代を効率的に節約できる可能性があります。
ただし、深夜帯の電気代が安くなるプランでは、日中の電気代が高く設定されている場合がほとんどです。自宅で仕事をしたり家事をしたりしている人がいる場合、昼間にかかる電気代が上がり、全体的なお得度が下がってしまう可能性があるので、注意しましょう。
充電カードのプランを変更する
電気自動車の充電にかかる電気代を節約するためには、契約する充電カードのプランを車の使い方に合ったものに変えるのもおすすめです。日産の充電サービス「ZESP3」を例に、充電カードのプランについて考えてみましょう。
ZESP3では、目安走行距離に応じて「プレミアム100」「プレミアム200」「プレミアム400」の3プランと、自宅で充電することが多い人向けの「シンプル」の計4プランを展開しています。
プレミアムプランでは、急速充電と普通充電について充電できる分数が決められています。もし実際に充電設備を使っていて、プランごとに用意されている充電分数を大幅に下回るのであれば、より基本料金が安い下位のプランへの変更を検討すべきです。
日頃からエコドライブを意識する
電気自動車に優しい走り方を心がけるのも、電気自動車の充電にかかる電気代を節約する方法の一つです。電気自動車は下記のような場面で電費が悪くなります。
・速度を上げる
・上り坂を登る
・急加速する
・急ブレーキをかける
このような走り方を極力避けることで、電気自動車の電費を上げ、充電を行う時間や回数を減らせます。
どのような運転が電気自動車のエコドライブにつながるかは、ガソリン車とあまり変わりません。急発進や急停止を控え、滑らかで一定の速度を保つ運転を心がけましょう。
また、電気自動車は速度が上がるほど消費する電力が増える特性があります。そのため、法定速度を守り、無理のない速度で走行することが、電気代節約のポイントとなります。
電気自動車でエコなカーライフを始めよう
電気自動車は、走るために必要なコストや車を維持するためのコストがガソリン車よりも安く抑えられています。「電気料金プランを見直す」「エコドライブを心がける」など、節電を意識した工夫を実践すれば、さらにコストを抑えてカーライフを楽しむことも可能です。それでいて環境にも優しい電気自動車は、経済的なメリットと環境保護の両方を実現できる賢い選択肢といえるでしょう。
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