エアコンの送風機能の使い方。効果的なシーンや扇風機との電気代の違いを解説

エアコンの送風機能の使い方。効果的なシーンや扇風機との電気代の違いを解説

エアコンの送風機能の使い方。効果的なシーンや扇風機との電気代の違いを解説

エアコンには冷暖房機能以外に除湿・送風機能などがついています。送風機能をうまく活用することで、冷暖房の効率を高め、カビの発生を防ぎ、電気代を大幅に抑えることができます。本記事では、送風機能の基本概要や電気代の違い、具体的な活用シーン、さらには注意点まで詳しく解説します。エアコンの送風機能を適切に使いこなして、賢く節電しながら快適な環境を保ちましょう。

目次

1. エアコンの「送風」はどんな機能?

 1-1. 送風機能の基本概要

 1-2. 除湿モードとの違い

2. 送風機能の電気代

 2-1. 送風機能の消費電力

 2-2. 冷暖房機能との比較

 2-3. 扇風機やサーキュレーターとの比較

3. 送風機能の活用シーン

 3-1. 冷房前の換気として

 3-2. 冷房後の運転でカビを予防する

 3-3. 冷房では寒すぎるときに使う

 3-4. 冬場の暖房効率アップ

4. 送風機能がついていない場合はどうする?

 4-1. 空気清浄運転で代用

 4-2. 内部洗浄・内部クリーン機能を使う

5. 送風機能に関する注意点

 5-1. 室温調整ができない

 5-2. 除湿にはドライ機能の方がおすすめ

6. カビ対策では特に注意が必要

 6-1. カビを完全に防ぐことは難しい

 6-2. かえってカビを拡散させてしまうことも

 6-3. 定期的なクリーニングも大切

7. 送風機能の活用で電気代の節約と快適な暮らしを

エアコンの「送風」はどんな機能?

送風機能は、冷暖房に比べて電気代が安く、様々なシーンで活用できます。以下では、送風機能の基本概要と除湿モードとの違いについて詳しく解説します。

送風機能の基本概要

エアコンの送風機能は、空気を循環させるための機能です。冷暖房や除湿とは異なり、温度や湿度を調整せず、単に風を送るだけの役割を果たします。

送風機能で作動するのは、室内機にあるファンだけです。このファンは回転すると、部屋の中の空気を室内機に取り込み、それをまた部屋の中に戻します。

したがって、送風機能は空気の温度は変わらず、単に部屋の空気を循環させること、体表面に風が当たることによる体感温度の低下を役割としています。

除湿モードとの違い

除湿モードは、エアコンのもう一つの便利な機能であり、湿度を下げる役割を果たします。特に梅雨の時期や蒸し暑い夏の日には、除湿モードを使うことで快適な室内環境を保つことができます。

しかし、送風機能とは異なり、除湿モードではエアコン内部のコンプレッサーが動作し、温度も多少下がるため、消費電力は送風よりも高くなります。

除湿には大きく分けて二つの方法があります。ひとつは「弱冷房除湿」で、もうひとつは「再熱除湿」です。弱冷房除湿は、軽く冷房をかけながら湿度を下げる方法で、消費電力は少なめです。再熱除湿は、一度冷やした空気を再び温めることで室温を変えずに湿度を下げる方法で、こちらはやや電力を多く消費します。 送風機能と除湿モードをうまく使い分けることで、季節や状況に応じた最適な室内環境を維持しながら、電気代も抑えることができます。

送風機能の電気代

エアコンの送風機能は、冷暖房や除湿機能に比べて非常に低い消費電力で運転できます。そのため、適切に活用することで大幅な電気代の節約が期待できます。

以下は、送風機能の消費電力や冷暖房との電気代比較、扇風機・サーキュレーターなどとどちらがお得かなどを解説します。

送風機能の消費電力

送風機能の消費電力はエアコンによって異なりますが、平均的には10~20Whとなります。参考までに、SHARPの14畳用エアコンを利用した場合、送風の消費電力は15Whです。

また、エアコンの電気代は「1時間あたりの消費電力(kWh)×使用時間(時間)×料金単価(円/kWh)」で求められます。

公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会が制定している電力料金単価の目安は、31円/kWhです。

これをもとに計算すると、消費電力は15Whの送風機能を1時間あたり使用した場合の消費電力は以下の式で求めることができます。

(15÷1,000)kWh×1時間×31円 =0.465円

参考:仕様 / 寸法 | R-Xシリーズ | エアコン:シャープ

冷暖房機能との比較

SHARPの14畳用エアコンを利用した場合、冷暖房機能との消費電力と電気代の差は以下になります。

(1日8時間、30日間稼働した場合の計算)

運転方法消費電力 (W)1時間の電気代1ヶ月の電気代
送風15W約0.46円約112円
冷房940W約29.1円約6,984円
暖房1,010Wh約31.3円約7,512円

電気代が1番高いのが暖房、続いて冷房です。その2つの機能と比較すると、送風機能の電気代はかなり低くなります。

扇風機やサーキュレーターとの比較

扇風機とサーキュレーターの消費電力は、実は大きくは変わりません。およそ20~30Wとなります。

消費電力22Wの扇風機・サーキュレーターの場合、1時間あたりの電気代は以下です。

(22÷1,000)kWh×31円=約0.7円

上記の計算で1時間あたり約0.7円の電気代がかかることがわかります。1日8時間使用すると約5.6円、1ヵ月30日換算で約168円の電気代です。

送風の消費電力は、上記の例では112円となっています。

比較的送風機能の方が電気代は安いと言えますが、扇風機やサーキュレーター、エアコンの送風機能とは用途がやや異なるため、使用用途と目的からどれを使うのかを判断することも大切です。

送風機能の活用シーン

エアコンの送風機能は単に空気を循環させる以上の役割を持っています。この機能を利用することで、エネルギー効率を向上させたり、快適な室内環境を保ちやすくなります。

以下では、送風機能を効果的に使う具体的なシーンを紹介します。

冷房前の換気として

冷房機能をいきなり使うとエアコンがフル稼働する時間が長くなり、電気代もあがり、部屋が冷えるまでにも多くの時間がかかってしまいます。

また、暖かい空気は上に行き、冷たい空気は下にたまる性質があります。

冷房機能を使う前に、送風機能を使って室内の空気を循環の流れを作ることで、室内の温度を均一化するとともに、エアコンが冷たい空気をより効率的に広げることができます。

冷房後の運転でカビを予防する

冷房を使用した後は、エアコン内部に結露が生じ、カビや雑菌が繁殖しやすい環境になってしまいます。

冷房停止後に送風機能を活用することで、内部を乾燥させ、カビや雑菌の発生を防ぐことにつながります。

カビや雑菌は人間の健康に被害を及ぼすこともあります。冷房の使用後は1~2時間ほど送風機能を使用し、カビや雑菌の繁殖を防ぎましょう。

冷房では寒すぎるときに使う

真夏の暑い日でも、冷房が効きすぎて寒く感じることがあります。

そのような場合、送風機能を利用すると、室内温度を適度に保ちながら快適な空気の循環が得られます。

また、外が涼しく室内が暑いといった場合は、窓を開けてから送風機能を使うことで、空気を入れ替えることも可能です。新鮮な空気を部屋に取り込みたいときにも送風機能を使いましょう。

冬場の暖房効率アップ

冬場にエアコンの暖房を使用する際も、送風機能が役立ちます。

夏場と同じように、部屋の空気が均一でない場合に送風機能を使うことで、部屋の空気を循環させ、温度を均一化します。

ストーブなどとの暖房器具と併用するのも効果的です。温かい空気を循環し、暖房効率をアップします。

送風機能がついていない場合はどうする?

エアコンに送風機能がない場合があります。その場合にはどんな代替手段が考えられるでしょうか?

以下では、空気清浄運転や内部洗浄機能を使った代替手段について解説します。

空気清浄運転で代用

エアコンの一部の機種には、「空気清浄運転」機能が搭載されています。この機能は、エアコン内部のカビやホコリを除去し、部屋の空気を清潔に保つ役割を果たします。

空気清浄運転を利用することで、エアコン内部の湿気を乾燥させ、送風機能の代わりとして使用できます。

内部洗浄・内部クリーン機能を使う

エアコンには、冷房や除湿運転後に内部を乾燥させる「内部クリーン」機能が搭載されている場合があります。

この機能は、自動または手動で作動し、エアコン内部のカビや雑菌の繁殖を抑制します。

内部クリーン機能を活用することで、送風機能がなくてもエアコン内部を乾燥させ、カビ対策を行うことができます。

送風機能に関する注意点

エアコンの送風機能は使用する際にはいくつかの注意点があります。以下の中見出しで、送風機能を利用する上での具体的な注意点を解説します。

室温調整ができない

エアコンの送風機能を使うことで、エアコンの運転後に残る冷気や暖気を部屋全体に広げることができますが、送風機能自体が温度を大きく変えるわけではありません。

冷暖房機能のように室温を下げたり上げたりすることはできません。したがって、暑い夏の日や寒い冬の日には、送風機能だけでは十分な快適性を提供できない場合があります。

そのため、冷暖房と併用することで、エアコンの効率を高めるとともに、電力消費を抑えることが必要です。例えば、エアコンを停止した後に送風機能を使うことで、室内に冷気や暖気を均等に行き渡らせ、快適な状態を長時間保つことができます。

除湿にはドライ機能の方がおすすめ

エアコンの送風機能とドライ(除湿)機能は混同しがちですが、これらは全く異なる機能です。送風機能は空気を循環させるだけで、湿度を下げる効果はありません。

一方、ドライ機能は湿度を下げるために設計されており、特に湿気の多い季節に効果を発揮します。

送風機能を使っても部屋の湿度は変わらないため、湿度が高い状態が続くと、カビの発生リスクが高まります。

カビは健康に悪影響を与えるため、湿度管理は非常に重要です。ドライ機能を使うことで、室内の湿度を適切に管理し、快適な環境を維持することができます。

特に梅雨時期や夏場の高湿度の日には、送風機能ではなくドライ機能を積極的に利用することをおすすめします。

ドライ機能は冷房よりも電力消費が少ないため、電気代の節約にもつながります。

使用状況に応じて最適な機能を選びましょう。

カビ対策では特に注意が必要

エアコンの送風機能はエアコン内部のカビ対策にも重要な役割を果たします。しかし、正しく使わなければ逆効果になることもあります。ここでは、エアコンの送風機能を利用する際のカビ対策の注意点について詳しく説明します。

カビを完全に防ぐことは難しい

エアコン内部は高湿度と温度の変化が激しいため、カビが発生しやすい環境です。

カビは湿度80%以上、温度20~35度の条件で繁殖しやすく、エアコンの内部はこれらの条件を満たしてしまいます。

送風機能を使うことでエアコン内部を乾燥させ、カビの発生を抑えることができますが、完全に防ぐのは難しいです。

定期的にフィルターを掃除し、エアコンの運転後には送風運転を行うことでカビ対策の効果を最大化できます。

さらに、エアコン内部のクリーニングを専門業者に依頼することで、より効果的なカビ防止が可能になります。

かえってカビを拡散させてしまうことも

送風運転はエアコン内部を乾燥させる効果がありますが、既にカビが発生してしまっている場合は、そのカビの胞子を室内に拡散させてしまう可能性があります。

特にフィルターが汚れていると、カビの胞子が空気中に飛散し、健康被害を引き起こすリスクが高まります。

また、送風機能では部屋の除湿はできないため、湿気が部屋に残留し、カビが発生してしまうリスクも高まります。

湿気が高いときは除湿機能を使う、部屋を先に外気と換気するなどの対策を行いましょう。

定期的なクリーニングも大切

送風機能を活用してエアコン内部のカビ対策を行うだけでなく、エアコン本体は定期的なクリーニングも不可欠です。

フィルターの掃除は自身の手で月に一度程度、エアコン内部のクリーニングは年に一度程度業者に依頼するのが理想的です。

クリーニングを行うことで、エアコンの性能が維持され、電気代の節約にも繋がります。 さらに、クリーニング後の送風運転は、エアコン内部の乾燥を促進し、カビの発生を予防する効果が高まります。送風機能と定期的なクリーニングを組み合わせて、エアコンを清潔に保ち、快適な生活環境を維持しましょう。

送風機能の活用で電気代の節約と快適な暮らしを

エアコンの送風機能を活用することで、電気代の節約と快適な室内環境の維持が可能です。

送風機能は冷暖房に比べて消費電力が非常に低く、冷暖房までを必要としない室温であれば、電気代を抑える効果があります。また、冷暖房の効率を上げるための前後に使用することで、エアコンの運転時間を短縮し、更なる節電が期待できます。

さらに、送風機能はエアコン内部の乾燥を促し、カビの発生を防ぐ効果もあるため、健康面でもメリットがあります。

定期的なフィルター掃除や内部クリーン機能を併用しながら、送風機能を上手に取り入れて、経済的で健康的な生活を送りましょう。

また、電気代の節約を考えているなら、電力会社の料金プランを見直すことも有効です。

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