一人暮らしの電気代を地域別・季節別に紹介。節電するためのコツは?
一人暮らしの電気代を地域別・季節別に紹介。節電するためのコツは?
一人暮らしでは実家暮らしと違い、毎月の電気代を自分で意識する必要があります。しかし、「節約の効果を感じられない」「そもそも適正な電気代がわからない」という方も多いでしょう。本記事では一人暮らしの電気代について詳しく解説します。
目次
一人暮らしの電気代の平均は?
一人暮らしの電気代を考えるときに悩みがちなのが、「自宅の電気代が高いのか安いのかわからない」という問題です。まずは地域別・季節別に一人暮らしの電気代の平均をチェックし、自宅の電気代と比較してみましょう。
【地域別】一人暮らしの電気代の平均
総務省統計局の「家計調査 家計収支編」を見ると、2023年における単身世帯の電気代の地域別平均が分かります。地域ごとに電気代としての平均支出を見てみましょう。
- 北海道・東北:8,103円
- 関東:6,635円
- 北陸・東海:7,252円
- 近畿:6,052円
- 中国・四国:7,394円
- 九州・沖縄:5,513円
電気代の平均に地域差が生じるのは、主に以下のような要素が原因です。
- 電源構成(燃料が違うと原価に差が出る)
- 原発の稼働状況(原発は発電コストが安い)
- 発電所からの距離(消費地と発電所が離れていると発電コストが上がる)
上記のような原因により、各電力会社の電気料金に差が出るため、電気代の平均も地域によって変わってくるのです。
例えば、北海道では2024年3月現在、原発の稼働がすべて止まっています。また、電気の消費地が広大な土地に分散しているため、ほかの地域に比べて発電コストが割高です。このような理由から、全国的に見て北海道電力の電気料金は高く設定されています。
出典:政府統計の総合窓口(e-Stat)(https://www.e-stat.go.jp/)家計調査 家計収支編 単身世帯 003 用途分類(総数)
【季節別】一人暮らしの電気代の平均
「家計調査 家計収支編」によると、2023年における単身世帯では、電気代の季節別平均が以下の通りでした。
- 1~3月期:9,340円
- 4~6月期:5,486円
- 7~9月期:5,842円
- 10~12月期:5,833円
電気代の請求は1~2カ月後に来るため、実際に電気を使った時期は1~2カ月前で見る必要があります。上記では1~3月期の電気代が最も高くなっていますが、実際に電気を使用した時期は、使った1カ月後に請求が来るとすれば12月~2月です。
冬に電気代が高くなる主な原因としては、次のような状況が挙げられます。
- 冬は日照時間が短くなるため、照明にかかる電気代が高くなる
- 夏より冬のほうが外気温と室温の差が大きいため、暖房費が高くなる
- 冬は水温が低く、給湯にかかる電気代が増える
ただし、暖房・給湯にガスや灯油を使用している家では、暖房は電気代に大きな影響を与えません。反対に電気式の暖房・給湯の設備機器を利用している場合、気温・水温が低い冬には電気代が大きく跳ね上がります。
冬に使う機会が多くなる温水洗浄便座や加湿器・電気ポットも、電気代を押し上げる原因です。また、コタツや凍結防止ヒーターは冬場にしか使わない電化製品なので、夏より電力使用量が増える要因になっているでしょう。
出典:政府統計の総合窓口(e-Stat)(https://www.e-stat.go.jp/)家計調査 家計収支編 単身世帯 001 用途分類(総数)
電気代の計算方法
電気代の節約を目指すなら、電気料金の仕組みや電化製品にかかる電気代を知ることが重要です。計算方法を理解し、自宅で発生する電気代を自分でも計算してみましょう。
電気料金の仕組み
電力会社が請求する電気料金の計算式は、一般的には次の通りです。
電気料金=基本料金+電力量料金(燃料費調整額を含む)+再エネ賦課金
電力量料金=(電力量料金単価×電力使用量)+(燃料費調整単価×電力使用量)
再エネ賦課金=再エネ賦課金単価×電力使用量
電気料金の内訳とそれぞれの意味をまとめました。
- 基本料金:毎月一定額がかかる部分(※)
- 電力量料金:電力使用量に応じて金額が変わる部分
- 燃料費調整額:燃料コストを反映した部分
- 再エネ賦課金:国が再エネ発電普及を推進するために課されている部分
※基本料金が最低料金制の場合は、実際に使用した電力量が最低料金の電気料金を下回っていたとしても、最低料金は必ず請求される点に注意が必要です。
電力量料金と燃料費調整額の単価は、電力会社によって違います。再エネ賦課金単価は毎年国が見直しており、地域や契約内容に関わらず全ての利用者が同じ条件下で課されているものになります。 検針票(電気ご使用量のお知らせ)を見れば、毎月の電気料金の内訳を把握できます。電気料金の仕組みをしっかりと理解し、どの部分にいくらお金がかかっているのか確かめてみましょう。
電化製品にかかる電気代の計算方法
電化製品ごとの電気代は、以下の計算式で導き出せます。
消費電力(kW)×稼働時間(h)×電力量料金単価(円/kWh)
消費電力は電化製品の表示シールや説明書に記載されています。また、電力量料金の目安単価は31円/kWhです(2024年3月現在)。
例えば、消費電力300Wのパネルヒーターを1日6時間ずつ毎日使った場合、1カ月あたりの電気代の目安は次のように計算できます。
300W÷1,000×6時間×31円/kWh×30日=1,674円
電気代が気になる電化製品の消費電力を確認し、どのくらいの電気代が発生しているのか計算してみましょう。
出典:よくある質問 Q&A|公益社団法人 全国家庭電気製品 公正取引協議会
電気料金の仕組みの種類
一般家庭向け電気料金の構成要素である基本料金には、アンペア制と最低料金制の2種類があります。基本料金がどのように決まるのか、種類の違いを理解しておきましょう。
アンペア制
契約アンペア数により基本料金が変わる方式が、アンペア制です。契約アンペア数とは、同時に使用できる電力量の上限を意味します。
アンペア制では、契約アンペア数が上がると基本料金も高くなります。アンペア制を採用している大手電力会社(一般電気事業者)は、北海道電力・東北電力・東京電力・北陸電力・中部電力・九州電力です。
例えば、東京電力の従量電灯Bプランの基本料金は、契約アンペア数によって次のように変わります。
- 10A:311円75銭
- 15A:467円63銭
- 20A:623円50銭
- 30A:935円25銭
- 40A:1,247円00銭
- 50A:1,558円75銭
- 60A:1,870円50銭
※すべて税込
※2024年4月1日以降の料金 出典:従量電灯B・C|電気料金プラン|東京電力エナジーパートナー株式会社
最低料金制
契約アンペア数に関係なく最低料金が固定されている方式が、最低料金制です。実際に使った分の料金が最低料金に達しなかった場合も、最低料金を請求されます。
最低料金制を採用している大手電力会社は、関西電力・中国電力・四国電力・沖縄電力です。関西電力の従量電灯Aプランは、以下のような料金体系となっています。
<最低料金(最初の15kWhまで)>
433.41円(税込)
<電力量料金>
- 15kWhを超え120kWhまで:1kWhあたり20.31円(税込)
- 120kWhを超え300kWhまで:1kWhあたり25.71円(税込)
- 300kWh超過分:1kWhあたり28.70円(税込)
電力使用量分の料金が最低料金を超えると、使用量に応じた電力量料金が基本料金に加算されます。
【電化製品別】一人暮らしの電気代の節約術
「なんとなく節電をしているが効果が実感できない」と思っている方は、十分な節電ができていないかもしれません。少しでも電気代を安くするために、一人暮らしの電気代の節約術をマスターし、実践してみましょう。
資源エネルギー庁の資料によると、一般家庭で電気の使用割合が多い電化製品は、夏冬ともにエアコン・冷蔵庫・照明が上位です。この3つと、そのほかの電化製品の電気代を効果的に節約する方法を紹介します。
出典:夏季の省エネ・節電メニュー | 経済産業省 資源エネルギー庁
出典:冬季の省エネ・節電メニュー | 経済産業省 資源エネルギー庁
エアコン
エアコンの節電のポイントは、適切な設定温度にすることです。冷房時の室温は28℃、暖房時の室温は20℃を目安に設定し、より消費電力を抑えられる自動運転で稼働させましょう。
フィルターを月に1~2回清掃することも、効果的な節約のポイントです。室外機の吹き出し口に物を置いていると冷暖房の効果が下がるため、室外機の吹き出し口の周囲はすっきりさせておきましょう。
さらに扇風機やサーキュレーターを併用すれば、室内の空気を循環させて冷暖房の効果を高められます。暖かい空気は天井付近にたまりがちですが、空気を循環させることで足元まで暖かくなります。
冷蔵庫
冷蔵庫に食品を詰め込みすぎると、余計な電力を消費してしまいます。冷蔵庫には食品をいっぱいに入れないよう意識することが大切です。
庫内温度の設定もチェックしましょう。設定が「強」になっていると消費電力量が多くなるため、食品が傷みにくい冬場は「中」または「弱」に設定するのがおすすめです。
冷蔵庫を壁から適切な間隔で設置することも重要です。壁との距離が近いと冷蔵効率が悪くなり、電気代が高くなる恐れがあります。適切な距離で設置できないときは、置き場所を見直しましょう。
照明
使っていない部屋の照明をつけっぱなしにしておくと、電気代の無駄になってしまいます。照明はこまめに消す習慣を付けましょう。
消灯する際はリモコンだけでなく、壁スイッチの電源もオフにするのが効果的です。リモコン機能を使っている間も電力を消費しているため、壁スイッチの電源も落として待機時消費電力を削減しましょう。
白熱電球や蛍光灯を使っているなら、LEDに買い替えるのもおすすめです。LED照明に変えるだけで節電効果を期待できるほか、寿命が長いため交換の頻度も減らせます。
そのほかの電化製品
エアコン・冷蔵庫・照明以外の電化製品も、使い方を見直すことで節電につながります。主な電化製品の節約方法をまとめました。
<洗濯機>
- まとめ洗いする
- すすぎの回数を減らす
- 洗濯物を入れすぎない
- 洗剤を適量入れる
<トイレ>
- 使用後はふたを閉める
- 暖房便座の温度は季節に合わせて調整する
<テレビ>
- 見ていないテレビは主電源を消す
- 長期間使わない場合はプラグを抜く
- テレビ画面を明るくしすぎない
一人暮らしの電気代を節約するポイント
電化製品の使い方を見直す以外にも、電気代を節約する方法はあります。一人暮らしの節電方法として効果的な行動を見ていきましょう。
契約アンペア数を見直す
アンペア制を採用している電力会社を使っている場合は、契約アンペア数を見直すのも電気代を節約する方法です。一人暮らしは機器の同時使用率が低いため、契約アンペア数を抑えやすいです。
一人暮らしの場合は、20~30Aが契約アンペア数の目安です。ただ、IHクッキングヒーター付きの物件に住んでいる場合、機種によっては契約アンペア数が40Aないと足りないかもしれません。 電力使用量が契約アンペア数を超えるとブレーカーが落ちてしまうので、契約アンペア数を下げても快適に過ごせるかどうかは慎重に検討しましょう。
オール電化なら夜間に電化製品を使う
近年は一人暮らし向けのオール電化物件も増えています。オール電化の家で暮らしている場合は、契約中の電気料金プランを確認してみましょう。
各電力会社では、夜間の電気料金が安くなるよう設定している、オール電化向けプランを用意しています。もし、オール電化プランをご利用中の場合は、昼間の料金が通常のプランより高く設定されていることが多いため、可能な限り夜間に電化製品を使うようにすれば、電気代の節約が可能です。
一人暮らしなら家族の生活スタイルを気にする必要がないため、工夫次第で電化製品の夜間使用もしやすいでしょう。ただ、夜間料金として電気料金が安くなる時間帯は電力会社やプランによって異なるため、まずは自分の契約している電力会社の公式情報を確認してみてください。
古い電化製品を買い替える
長期間使用し続けている電化製品が自宅にあるなら、思い切って買い替えるのも効果的です。新しい電化製品の中には、省エネ性能がアップしているものも数多くあります。
家庭で使う電化製品の寿命は、目安として約10年です。購入してから10年経過している電化製品は、省エネ性能が高い製品に買い替えることで節電効果を期待できます。
エアコンと冷蔵庫に関しては、最新のヒートポンプを搭載した製品に変えると、大きな節電効果を実感できるでしょう。また、電化製品が故障してしまった場合も、古いものなら修理より買い替えるのがおすすめです。
電力会社を切り替える
2016年の電力小売全面自由化以降、消費者は電力会社を自由に変更できるようになっています。供給対象エリアであれば、基本的にどの電力会社にでも切り替えが可能です。
今より電気料金が安い電力会社に切り替えることで、節電を頑張らなくても電気代を抑えられる可能性があります。電力会社によっては、電気とガスのセット割を適用できるケースもあります。光熱費全体の削減につながりやすくなる上、手続きが一本化できるため家計管理や問い合わせも楽です。
電気とガスのセット割に興味がある方は、エネワンでんきのセット割もぜひご検討ください。サイサンやいちたかガスワンのプロパンガス・都市ガスとエネワンでんきの同時契約で、割引が適用されます。
出典:北海道のエネルギーをまとめてガスワンスイッチ|株式会社いちたかガスワン
賃貸物件でも電力会社の変更は可能?
一人暮らしで賃貸物件に住んでいるケースも多いでしょう。電力会社と直接契約しているなら、賃貸物件でも原則として電力会社の変更は可能です。契約名義が自分になっているかどうかは、検針票(電気ご使用量のお知らせ)で確認できます。
ただ、次のようなケースでは、入居者が電力会社を変更できないことに注意が必要です。
- 管理会社や大家が電力会社と契約している場合
- 建物全体で電力会社と高圧契約をしている場合(高圧一括受電契約)
電力会社を切り替えられない場合は、ほかの方法で節電に取り組みましょう。
一人暮らしの電気代を安く抑えよう
自宅の電気代が高いのか安いのかわからない場合は、地域別・季節別の電気代の平均と比較してみましょう。電気料金の仕組みや電化製品にかかる電気代の計算方法を知ることも、節電を考える上で大切なポイントです。
一人暮らしの電気代を節約する方法としては、電化製品の使い方や契約アンペア数の見直し、古い電化製品の買い替えなどが挙げられます。電力会社の変更ができるようなら、今より電気料金が安くなる電力会社への切り替えも検討しましょう。