
石油ファンヒーターの電気代と灯油代はいくらかかる?暖房費を安くするコツも
石油ファンヒーターの電気代と灯油代はいくらかかる?暖房費を安くするコツも
石油ファンヒーターの導入を考えるときは、電気代や灯油代を把握しておくことが重要です。特徴や仕組みを理解すれば、ほかの暖房器具との違いも明確になります。本記事では、石油ファンヒーターの光熱費の目安と比較、節約のコツを紹介していきます。
目次
石油ファンヒーターのコスト構造

石油ファンヒーターは、灯油を主な燃料としながら電気も併用する暖房器具です。まずはその特徴と、どのようにコストが発生するのかを整理してみましょう。
石油ファンヒーターの特徴
石油ファンヒーターは点火・送風・温度調整などに電気を使うため電気代が発生しますが、暖房の主なエネルギー源は灯油の燃焼です。そのため、燃料価格の変動がコストに大きく影響します。
石油ファンヒーターは点火後すぐに温風を出せるため、部屋全体を素早く暖められるのが魅力です。さらに、灯油の燃焼で水蒸気が発生するため空気が乾燥しにくく、コンパクトなモデルが多いため設置場所を選ばない利点もあります。
一方で、灯油を購入して給油する作業が手間に感じられることや、灯油特有のにおいが気になる場合があります。また、使用時には一酸化炭素中毒のリスクがあるため、必ず定期的に換気を行う必要があります。
電気代が発生する主な場面
石油ファンヒーターは灯油を主な燃料としますが、動作には電気も欠かせません。
まず、点火時にはヒーターを一気に加熱するため最も大きな電力を消費します。次に、室内へ温風を送り出すファンを継続的に稼働させる際にも電力が必要です。
また、温度制御や安全センサーは常時作動しており、消費量はごくわずかですが常に電力を必要とします。こうした場面ごとの電力使用を理解すると、電気代の仕組みがより明確になります。
灯油代がかかる仕組み
灯油を燃やして暖を取る石油ファンヒーターでは、灯油代が主な燃料コストです。灯油を適切に気化・燃焼させる仕組みによって、燃料消費量や効率、においの発生の度合いが変わります。
具体的な燃焼方式は主に次の3種類です。
ブンゼン気化式 | 灯油を熱して気化させ、気化ガスをバーナーで燃やす方式。着火が速く、消火時のにおいも少ない。 |
油圧送霧化式(ポンプ霧化式) | 灯油を霧状にし、空気と混合してから燃焼させる方法。比較的燃焼が安定する一方、着火に時間がかかるケースやにおいが気になることもある。 |
ポット式 | 灯油を直接皿やマットのような蒸発皿に垂らし、そこを加熱して蒸発・点火させる最もシンプルな構造。電力消費が少ない反面、着火までに時間がかかることや、においが強く出やすいことがデメリット。 |
燃焼効率やにおい、点火の速さなどの点で方式ごとに特性が異なるため、使用環境や好みに応じて選ぶことが重要です。
石油ファンヒーターの光熱費の目安

石油ファンヒーターの光熱費は、電気代と灯油代の合計です。実際の製品を例にとり、1時間あたりのコストの目安を見ていきましょう。
石油ファンヒーターの1時間あたりの電気代
コロナ「CPタイプ(FH-CP25Y)」の公表値を使って、1時間あたりの電気代を試算します。
- 電気代の計算式:消費電力(kW)×使用時間(h)×電気料金単価(円/kWh)
- 電気料金の目安単価:31円/kWh
- 公表消費電力:点火時166W、燃焼時8.5~14W、待機時0.9W
1時間あたりの電気代 | |
連続運転(強:14W) | 約0.43円 |
連続運転(弱:8.5W) | 約0.26円 |
点火(5分)+55分運転(強) | 約0.83円/時 |
待機のみ | 約0.03円 |
※出典:よくある質問 Q&A 公益社団法人 全国家庭電気製品 公正取引協議会
石油ファンヒーターの1時間あたりの灯油代
コロナ「CPタイプ(FH-CP25Y)」にかかる灯油代の目安は、次のように計算できます。
- 灯油代の計算式:燃料消費量(L/h)×使用時間(h)×1Lあたりの灯油料金(円/L)
- 1Lあたりの灯油料金:123.6円(2025年9月10日時点)
- 公表燃料消費量:0.064~0.243L/h
1時間あたりの灯油代 | |
燃料消費量0.064L/h | 約7.91円 |
燃料消費量0.243L/h | 約30.03円 |
FH-CP25Yを最大出力で使い続けると、電気代と灯油代を合計して1時間あたり約30円の光熱費がかかることになります。
石油ファンヒーターとほかの暖房器具とのコスト比較

暖かさや使い勝手だけでなく、光熱費の違いも暖房器具選びのポイントです。代表的な器具のランニングコストを整理し、石油ファンヒーターとの違いを紹介します。
エアコンの光熱費の目安
エアコンも石油ファンヒーターと同じく、部屋全体を暖めるのに向いた暖房器具です。ただし、送風によって空気が乾燥しやすく、立ち上がりに少し時間がかかる点が弱点といえます。
最初は石油ファンヒーターで部屋を素早く暖め、その後エアコンの自動運転に切り替えると、快適さと電気代の節約を両立できます。
- 製品名:MSZ-ZW2225(三菱)
- 消費電力(暖房):465W
- 1時間あたりの電気代:約14.42円
※出典:Zシリーズ | 三菱ルームエアコン 霧ヶ峰 | 三菱電機
ガスファンヒーターの光熱費の目安
ガスファンヒーターは、ガスを燃焼させた熱をファンで送り出し、部屋全体を効率よく暖める暖房器具です。立ち上がりが早く、空気が乾燥しにくいのが特長で、灯油を使わないためにおいがなく給油の手間もありません。
ただし、使用にはガス栓への接続が必要であり、ガス栓のない部屋では工事が必要となります。さらに、不完全燃焼を防ぐために定期的な換気が欠かせません。
- 製品名:RC-Y4002PE(リンナイ)
- 消費電力:18W
- ガス消費量:4.07kW
- ガス代の計算式:ガス消費量(kW)×3.6MJ/h×時間(h)÷ガスの発熱量45MJ/m³×ガス料金(円/m³)
- 1m³あたりのガス料金(都市ガス):130.46円
1時間あたりの電気代 | 約0.56円 |
1時間あたりのガス代 | 約42.48円 |
1時間あたりの光熱費(電気代+ガス代) | 約43.04円 |
※出典:プラズマクラスターイオン発生機能と空気清浄機が付いたガスファンヒーター。 - リンナイ
※出典:都市ガスの種類・熱量・圧力・成分 | 東京ガスネットワーク
※出典:ガス料金表(家庭用/業務用・工業用 共通)|東京ガス株式会社
石油ストーブの光熱費の目安
石油ストーブは、灯油を直接燃焼させて熱を発生させる暖房器具です。電源を必要としないため、停電時にも使えます。
燃焼部分の輻射熱で周囲をしっかり暖められる一方、温風が出ないため部屋全体の暖まり方は比較的ゆるやかです。灯油の補充や換気が必要で、使用中はにおいが気になることもありますが、シンプルで場所を選ばず使える手軽さが魅力です。
- 製品名:SL-6625(コロナ)
- 燃料消費量:0.640L/h
- 1Lあたりの灯油料金:123.4円(2025年8月18日時点)
- 1時間あたりの灯油代:約78.98円
※出典:製品詳細|SLシリーズ|ポータブル石油ストーブ|株式会社コロナ
※出典:取扱説明書
セラミックファンヒーターの光熱費の目安
セラミックファンヒーターは、セラミックを電気で加熱し、ファンで温風を送る仕組みの暖房器具です。小型で持ち運びやすい製品が多く、脱衣所やトイレなどの狭い空間を短時間で暖めるのに便利です。
ただし、部屋全体を暖める力は弱く、空気が乾燥しやすい点やファンの運転音が気になる場合もあります。補助暖房やスポット利用に適した手軽さが特徴といえるでしょう。
- 製品名:HX-RK12(シャープ)
- 消費電力(弱、50Hz):620W
- 1時間あたりの電気代:約19.22円
※出典:仕様 / 寸法 | HX-RK12 | プラズマクラスター電気暖房機:シャープ
セラミックファンヒーターの電気代についてもっと詳しく知りたい方はこちら
石油ファンヒーターの電気代・灯油代を節約する方法

石油ファンヒーターの光熱費が気になるときは、使い方を見直すことが効果的です。簡単にできる工夫を取り入れるだけで、快適さを保ちながら節約につながります。
エアコンと併用する
エアコンは立ち上がりに時間がかかり、足元が暖まりにくいという弱点がありますが、石油ファンヒーターは即暖性に優れ、足元から一気に暖められます。
それぞれを併用すれば、ファンヒーターで温度を上げた後にエアコンで温度維持する流れが作れ、快適さと省エネを両立できます。また、ファンヒーターの燃焼による水蒸気で加湿も期待できるため、乾燥しがちなエアコン暖房のデメリットを補える点もメリットです。
フィルターを定期的に掃除する
石油ファンヒーターのフィルターのホコリや汚れをそのままにしておくと、吸気の妨げになり暖房効率が落ち、灯油や電力を余分に消費する原因になります。
掃除機できれいにしたり、ぬるま湯で軽く洗って乾かしたりと、定期的な手入れを行うことで効率の低下を防ぎ、光熱費を抑える効果が期待できます。特に本体背面のフィルターは冷たい空気を取り込む重要な役割を持つため、忘れずに掃除することが重要です。
窓や壁を背にして置く
石油ファンヒーターは背面から冷たい空気を取り込み、前面から温風を送り出す仕組みになっているため、窓際に置くことで冷気の影響を抑えて効率よく暖められます。
窓際に設置して窓周辺の冷気を取り込み、前面の温風で対流をつくることでコールドドラフトの影響を抑え、暖気を室内に循環させやすくなります。その結果、灯油や電力の過剰消費を防げます。適切な設置場所を選ぶことが、暖房効率と節約を両立させるポイントです。
少し早めに電源を切る
石油ファンヒーターは灯油の燃焼により水蒸気が発生するため、暖房を止めたあともしばらく暖かさと湿度が残ります。実際に暖房が不要になる前にスイッチを切っても体が冷えにくく、灯油や電気の使用量を抑えることが可能です。
外出や就寝の15分前を目安に切ると効果的で、タイマー機能を活用すればより手軽に節約できます。
部屋の断熱性を高める
暖房効率を高めるには、部屋の断熱性を意識することが大切です。窓や壁から逃げる熱を減らすことで、石油ファンヒーターの効果を最大限に活かせます。
- 断熱カーテンを使えば、窓からの冷気を遮り暖かさを保ちやすくなる
- カーテンボックスを取り付けると、上部からの冷気の侵入を防げる
- 窓に断熱シートを貼ることで、熱損失を抑え結露防止にもつながる
- サーキュレーターを使用すれば、室内の暖気を循環させてムラなく暖められる
石油ファンヒーターの電気代・灯油代を把握して賢く使おう

石油ファンヒーターは即暖性に優れた暖房器具ですが、使用する際には電気代と灯油代の両方が発生します。これらを合わせて光熱費を把握しなければ、実際のコストは正しく見えてきません。
エアコンと組み合わせて効率よく暖めたり、断熱カーテンや窓シートで熱の逃げを防いだりするなど、日常の工夫によって負担を軽減できます。快適さを損なわずに暖房費を賢く抑えることが可能です。
また、電気代の節約を考えているなら、電力会社を変更するのもおすすめです。電気料金が安い電力会社に乗り換えれば、それだけで電気代を抑えられる可能性もあります。
エネワンでんきなら電力使用量に合わせて適切なプランをお選びいただけます。電力会社の乗り換えを検討しているなら、ぜひエネワンでんきをご検討ください。
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エネワンでんき編集部
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