
気候変動の原因とは?主な原因や将来のリスクなどを詳しく解説
気候変動の原因とは?主な原因や将来のリスクなどを詳しく解説
近年、異常気象や海面上昇といった気候変動の影響が世界各地で深刻化しています。日本でも記録的な猛暑や豪雨災害が頻発し、私たちの生活に直接的な影響を与えるようになりました。しかし、気候変動がなぜ起こるのか、その根本的な原因を正しく理解している方は意外と少ないかもしれません。温室効果ガスの増加や私たちの生活が環境に与える影響、さらには将来予測される気候変動のリスクについて詳しく知ることで、一人ひとりができる対策も見えてきます。この記事では、気候変動の主な原因から将来への影響、そして私たちにできる具体的な取り組みまで、わかりやすく解説します。
【目次】
気候変動とは?

気候変動とは、数十年~数百年という、地球全体の歴史からは短い時間のうちに、気温や降水量、湿度などが変化することです。気候変動は異常気象とも密接な関係があり、近年頻発する豪雨や記録的猛暑の増加は気候変動の表れとされています。
気候変動が進行すると、このような異常気象の強さや頻度がさらに増加すると予測されており、私たちの生活や経済活動に深刻な影響を与える可能性があります。
気候変動の主な要因

気候変動は複数の要因が複雑に絡み合って発生する現象です。そこで、気候変動の主な要因について解説します。
人為的要因
気候変動の主な人為的要因として、大気中への温室効果ガスの排出が挙げられます。なかでも二酸化炭素の増加が地球温暖化の大きな要因とされており、産業革命以降、大気中の二酸化炭素濃度は約1.5倍にもなりました。
二酸化炭素が増加した主な原因は、石炭や石油、天然ガスといった化石燃料の大量燃焼です。家庭用ガスエネルギーや火力発電所での燃料使用からの排出と、自動車や航空機、船などの交通機関からの排出は、化石燃料に由来する二酸化炭素排出量のなかでも大きな割合を占めています。
また、森林破壊も重要な要因の一つです。二酸化炭素を吸収する森林の減少により、大気中の温室効果ガス濃度がさらに高まっています。
自然的要因
太陽活動の変化は自然的要因の一つです。太陽の黒点数や太陽放射エネルギーの強さが変動することで地球に届くエネルギー量が変化し、気候に影響を与える可能性があります。
また、大規模な火山噴火も気候変動の自然的要因として知られています。火山の噴火時に放出されるガスから大量の硫酸エアロゾルが生み出され、これらが太陽光を遮ることで地球の気温を低下させます。
このような自然的要因は人間の力では制御できず、防ぎようがありません。
日常生活に関わる要因
私たちの日常生活も気候変動に大きく関わっています。移動手段として利用する自動車や飛行機からの二酸化炭素の排出、家庭での電力消費による間接的な温室効果ガスの排出などが主な要因です。
日本では2022年度に約10億3,700万tの二酸化炭素が排出されましたが、その大部分はエネルギーの生産、消費過程で発生しています。この総排出量を部門別に見ると、運輸部門だけで約1億9,200万tが排出され、これは全排出量の約18.5%に相当します。
この運輸部門をさらに詳しく見ると、自動車からの排出量が約半分を占めているのが現状です。つまり、私たち一人ひとりの移動や電気使用といった日常行動が、気候変動に直接的な影響を与えているのです。
出典:環境省 地球環境局「2022年度の温室効果ガス排出・吸収量(詳細)」
気候変動による具体的な影響と将来へのリスク

気候変動はすでに私たちの生活に深刻な影響を与えており、将来的にはさらに大きなリスクをもたらすと予測されています。ここからは、気候変動による具体的な影響や将来予想されるリスクについて詳しく見ていきましょう。
気温の上昇
気候変動の深刻な影響の一つとして挙げられるのが、地球全体の気温上昇です。1891年以降、世界の年平均気温は上がり続け、100年当たり0.77度もの割合で上昇しています。IPCC 第5次評価報告書では、このまま有効な対策を講じなければ、今世紀末には現在よりも年平均気温が最大で4.8度上昇するとされています。
このような気温上昇は、農業への大きな打撃、住める場所の減少、水不足の深刻化をもたらします。さらに健康リスクの増加や生態系の破壊など、私たちの生活基盤が根本から脅かされる可能性も否定できません。
出典:国土交通省 気象庁「気候変動ポータル」気温・降水量の長期変化傾向(世界の年平均気温)
出典:環境省「IPCC 第5次評価報告書の概要」-第1作業部会報告書(自然科学的根拠)–
海水温の上昇
気候変動によって地球に蓄えられるエネルギーの90%以上は、海水温の上昇という形で現れています。
世界全体の年平均海面水温は100年当たり0.62度の割合で上昇しており、これは海が温暖化していることを示しています。この傾向は今後も続くとの見込みです。
日本にとって特に深刻なのは、周辺海域の温度上昇が世界平均を大きく上回っていることです。実際、日本近海では100年当たり1.33度という、世界平均のほぼ倍のペースで海水温が上がっています。
この状況が続けば、今世紀末の日本周辺の海は現在とは大きく様変わりしてしまうでしょう。
出典:国土交通省 気象庁「海面水温の長期変化傾向(日本近海)」2025年3月5日
海氷の減少
気候変動により気温や海水温が上昇する一方、北極域の海氷域面積は1979年以降減少傾向にあります。21世紀が終わる頃には現在と比べて43%から94%もの大幅な減少になると推定されています。
海氷の減少は、生態系の破壊や海面上昇、永久凍土融解による影響などが深刻化するリスクをもたらしかねません。
出典:環境省 文部科学省 農林水産省 国土交通省 気象庁「気候変動の観測・予測及び影響評価統合レポート2018」~日本の気候変動とその影響~ 2018年2月
自然災害の増加
地球温暖化の進行により、私たちの身の回りで自然災害が増加しています。大雨の頻度や強度の増加、干ばつの増加が世界各地で確認され、日本でもこれまでは発生し得ないような大雨が近年頻繁に発生するようになりました。
台風はより強大化し、豪雨による洪水や土砂災害、沿岸部の高潮被害も深刻化しています。このような傾向は今後さらに加速すると予測されており、複数の災害が同時に発生する複合災害のリスクも高まっています。
気候変動による自然災害の激甚化や頻発化は、私たちの生活基盤や社会インフラに長期的な脅威をもたらすため、従来の防災対策の見直しは急務です。
気候変動に対して私たちができること

気候変動の深刻な影響が明らかになるなか、私たち一人ひとりにできることは何でしょうか。大きな問題だからこそ、日常生活のなかでの小さな行動の積み重ねが重要になります。ここでは、気候変動に対して私たちができる取り組みを紹介します。
省エネを意識する
気候変動対策として、私たちができることの一つは省エネを意識した生活です。最新の省エネ製品を使うとCO₂排出量を削減できます。
例えば、冷蔵庫やエアコンを高効率な省エネ型に買い替える、電球をLED化するといったことで、電力消費が抑えられ、環境負荷を軽減できます。また、日常的に電気の無駄遣いを避け、エコな生活習慣を取り入れることも重要です。
公共交通機関を利用する
気候変動対策として、移動手段を見直すことが効果的です。通勤や買い物の際、自家用車から公共交通機関、自転車、徒歩に切り替えることで、日常生活でのCO₂排出を大幅に削減し、気候変動の緩和に貢献できます。
環境に優しい活動を取り入れる
エコバッグやマイボトルを持ち歩くことで、使い捨てプラスチック製品の使用を減らせば、製造に必要なエネルギーやごみ処理時のCO₂排出を削減できます。
また、資源を無駄にしないよう、ペットボトルや缶のリサイクル、野菜くずなどを堆肥化するコンポストを活用し、家庭ごみを減らすことで環境負荷を軽減する努力も大切です。
気候変動の原因を知って未来を守ろう

気候変動は今や私たちの日常生活に深刻な影響を与える現実的な問題です。異常気象の頻発や海面上昇など、その影響は身の回りでも実感するようになりました。
とはいえ、私たち一人ひとりができる対策は数多くあります。電力の使い方を見直す、公共交通機関や自転車などを積極的に利用する、リサイクルに取り組むといった日常的な取り組みから始められます。
これらの行動は小さく見えるかもしれませんが、多くの人が実践することで大きな変化を生み出します。一人ひとりの意識改革と日々の取り組みによって、地球温暖化の進行を遅らせることも期待できるのです。
私たちの子どもや孫の世代により良い地球環境を残すために、今こそ行動を起こしましょう。
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エネワンでんき編集部
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