エネルギー問題とは?日本と世界の現状や政策、私たちにできることを詳しく解説

エネルギー問題とは?日本と世界の現状や政策、私たちにできることを詳しく解説

エネルギー問題とは?日本と世界の現状や政策、私たちにできることを詳しく解説

クーラーをつける、シャワーを浴びる、車で移動するなど、私たちの生活のさまざまな場面でエネルギーが使われています。しかし、石炭や石油などのエネルギーには限りがあり、無尽蔵に使い続けるとやがて失われてしまうかもしれません。経済の発展や科学技術の発達、人口の増加などにより、エネルギーの需要は高まっています。環境に配慮しつつエネルギー需要に応えるために解決すべき課題が「エネルギー問題」です。この記事では、エネルギー問題の概要を解説し、日本でのエネルギー問題の現状と対策、個人でできるエネルギー問題への対処法を解説します。まずはこの記事を読むところから、エネルギー問題について考えてみましょう。

【目次】

1.エネルギー問題とは?

 1-1.エネルギー問題の概要

 1-2.エネルギー問題の例

2.日本におけるエネルギー問題の現状

 2-1.エネルギー自給率が低い

 2-2.化石燃料に依存している

 2-3.再生可能エネルギーの普及遅れ

3.日本のエネルギー問題に対する対策

 3-1.2050年カーボンニュートラル

 3-2.温室効果ガス削減

 3-3.再生可能エネルギーの活用

 3-4.原子力発電の活用

4.私たちにできるエネルギー問題に対する対策

 4-1.節電・省エネ

 4-2.省エネ家電への買い替え

 4-3.公共交通機関の利用

 4-4.「3R」の活用

5.エネルギー問題を自分ごととして考えてみよう

エネルギー問題とは?

はじめに、エネルギー問題の概要と例を解説します。

エネルギー問題の概要

ガス、石炭、石油などのエネルギーは、私たちの生活を支える非常に重要なものです。しかし、地球で得られるエネルギーには限りがあり、無計画にエネルギーを使用しているとエネルギーが枯渇してしまう可能性があります。

また、エネルギーには、使用する過程で環境に悪影響を与えてしまうという問題もあります。

エネルギー問題とは、限られた資源で増え続けるエネルギー需要をまかないつつ、環境への影響を抑えながら安定供給を行うために改善しなければいけない課題です。エネルギー問題の解決なしには、快適な暮らしは実現しないでしょう。

エネルギー問題の例

自国で保有する資源の種類や量、エネルギー需要は国によって異なるため、取り組むべきエネルギー問題は国によって異なります。

日本でのエネルギー問題には、「エネルギー自給率が低いこと」「化石燃料への依存率が高いこと」「再生可能エネルギーの普及遅れ」「電気料金の高騰」などが挙げられます。詳細は次項で詳しく解説します。

日本におけるエネルギー問題の現状

エネルギー資源に乏しい日本では、資源不足によるエネルギー問題が課題となっています。日本におけるエネルギー問題を3つ解説します。

エネルギー自給率が低い

経済産業省資源エネルギー庁の資料によると、日本のエネルギー自給率は2014年に6.4%と過去最低を記録し、その後2017年に9.5%、2019年には12.1%、2021年には13.3%まで上昇しているものの、世界的に見ても低い水準にとどまっています。

エネルギーの多くを輸入に頼っているため、輸入がストップしてしまうと、経済活動の多くが制限され生活に支障が出てしまうでしょう。

出典:経済産業省資源エネルギー庁「2023―日本が抱えているエネルギー問題(前編)」

化石燃料に依存している

化石燃料とは、石油・石炭・天然ガスなどの地下に埋まっている燃料・資源のことです。日本は化石燃料をほとんど海外から購入しており、2022年度の日本の一次エネルギー供給構成を見てみると、83.5%が化石燃料由来となっています。

化石燃料を燃やすと、二酸化炭素が排出されるため地球温暖化などの環境問題につながります。エネルギーの多くを化石燃料に頼っている日本では、化石燃料に依存しない体制の構築が求められているといえるでしょう。

出典:経済産業省資源エネルギー庁「2023―日本が抱えているエネルギー問題(前編)」

再生可能エネルギーの普及遅れ

太陽光や風力、水力などによる自然のエネルギー源を「再生可能エネルギー」と呼びます。再生可能エネルギーの特徴の一つは、電気や熱を繰り返しつくり出せることです。

日本では再生可能エネルギーの割合を増やすための政策を進めていますが、再生可能エネルギーが日本の一次エネルギー供給に占める割合は1割(2022年度)程度にとどまっています。

日本のエネルギー問題に対する対策

エネルギー問題への対応として、日本では以下の4つの政策がとられています。各政策の内容を見ていきましょう。

  • 2050年カーボンニュートラル
  • 温室効果ガス削減
  • 再生可能エネルギーの活用
  • 原子力発電所の活用

2050年カーボンニュートラル

温室効果ガスの排出量を全体としてゼロにすることを「カーボンニュートラル」と呼びます。

2020年10月、政府は2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。また、2030年度までに46%削減(2013年度比)を目指し、さらに挑戦を続けると表明しています。

温室効果ガス削減

日本が排出する温室効果ガスのうち約9割は二酸化炭素です。そのうち約4割が電力部門、約6割が非電力部門(産業・家庭など)から排出されており、それぞれの部門に応じた対策が必要です。

電力部門の二酸化炭素排出量の大半は火力発電所由来です。非効率的な石炭火力発電からフェードアウトするとともに、火力発電の安定した電力供給力を代替する技術の開発を進めています。

非電力部門での二酸化炭素排出量削減には、民間企業の協力が欠かせません。政府は、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を公表し、企業の脱炭素化や新技術の開発をあと押ししています。

再生可能エネルギーの活用

エネルギーの安定供給と脱炭素化には再生可能エネルギーの活用が不可欠です。政府は、再生可能エネルギーを主力電源として最大限導入するとしています。経済産業省資源エネルギー庁による「エネルギー基本計画の概要」によると、2040年には、エネルギー自給率を3~4割程度に増加させ、そのうち4~5割を再生可能エネルギーが担う見通しを立てています。

再生可能エネルギーは季節や天候の影響を受けて発電量が変動するため、それだけでエネルギーをまかなうのは現実的ではありません。火力発電などその他の発電方法と組み合わせながらの運用が求められています。

出典:経済産業省資源エネルギー庁「エネルギー基本計画の概要」

原子力発電の活用

2011年の東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故以降、可能な限り原子力発電への依存度を低減するとしていましたが、2024年の見直しにより、原子力発電を再生可能エネルギーとともに最大限活用する方針に転換しています。

経済産業省資源エネルギー庁による「エネルギー基本計画の概要」によると、2040年には電力構成の約20%を原子力でまかなう見通しとなっていますが、地震・津波リスクへの懸念や、安全性への不安、老朽化した原発への批判もあります。

出典:経済産業省資源エネルギー庁「エネルギー基本計画の概要」

私たちにできるエネルギー問題に対する対策

エネルギー問題の解決に向けて、個人では何ができるのでしょうか。個人でも取り組める活動を4つ紹介しますので、ぜひ生活に取り入れてみてください。

節電・省エネ

まずは、家庭での消費電力を見直してみましょう。消費電力が減ると電気代も抑えられます。

家庭でできる節電・省エネ

  • 使わない家電は電源を切る
  • 照明をこまめに切る
  • エアコンの設定温度を調節する
  • エアコンのフィルターをこまめに掃除する
  • 冷蔵庫の設定温度を下げる
  • 洗濯機の使用回数を減らす
  • 照明をLEDに変える

省エネ家電への買い替え

古い家電は省エネ家電に買い替えるとエネルギー消費を抑えられます。家電の省エネ技術は日々進歩しており、古い家電を使い続けるよりも新しい家電に買い替えたほうが、家計によいという場合もあります。

公共交通機関の利用

自動車は二酸化炭素排出量が多いため、徒歩や自転車での移動を心がけましょう。また、新車を購入する際は、電気自動車やハイブリッド車などの次世代自動車を選びましょう。

「3R」の活用

日常生活において、3Rを意識しましょう。3Rはゴミを減らす(Reduce)、まだ使用できるものは捨てずに再利用する(Reuse)、リサイクル可能な不用品は地域のルールに則って廃棄するなど(Recycle)などの取り組みです。資源の再利用を促進すれば、エネルギー消費を抑える効果が期待できます。

エネルギー問題を自分ごととして考えてみよう

エネルギーは身近で、直接私たちの生活に影響するものです。エネルギー資源に乏しい日本は、さまざまなエネルギーに関する問題を抱えており、政府としても政策目標を掲げて取り組んでいます。

エネルギー問題は政府や企業だけが取り組む課題ではありません。私たち一人ひとりの意識と行動が変わることが、エネルギー問題解決に向けた大きな一歩になるでしょう。日本のエネルギー問題の現状や政策を知り、本記事も参考にしながら、自分に何ができるか考えてみてください。

  • YouTube

    エネワンでんき編集部

  • エネワンでんき編集部は、電気代の見直しや節約の工夫、電力会社の選び方など、暮らしに役立つエネルギー情報をわかりやすく丁寧に発信し、日々の生活に寄り添う情報をお届けします。

関連記事

  • エシカルとは?意味や具体例、企業の取り組みなどを紹介
    • 環境
    エシカルとは?意味や具体例、企業の取り組みなどを紹介
  • 環境保全とは?日本や企業・個人の取り組み事例と課題をわかりやすく解説
    • 環境
    環境保全とは?日本や企業・個人の取り組み事例と課題をわかりやすく解説
  • 二酸化炭素を減らすには?環境への影響と簡単にできる家庭での取り組み10選
    • 環境
    二酸化炭素を減らすには?環境への影響と簡単にできる家庭での取り組み10選
  • HOME   ›   環境   ›   エネルギー問題とは?日本と世界の現状や政策、私たちにできることを詳しく解説
    PAGE TOP