
プラスチック問題とは?原因や私たちにできること、おすすめの対策を紹介
プラスチック問題とは?原因や私たちにできること、おすすめの対策を紹介
プラスチックゴミが環境に悪影響をおよぼすことは、何となく知っているという方も多いでしょう。しかし、「なぜ分別が必要なのか」と問われると、うまく答えられない方が少なくありません。身近なゴミの分別やちょっとした意識の変化が、未来の環境を守る大きな一歩になります。本記事では、プラスチックゴミがもたらす深刻な影響や、私たち一人ひとりにできる具体的な対策について、わかりやすく解説します。まずは「知ること」から始めてみましょう。
【目次】
プラスチック問題とは?

プラスチック問題とは、プラスチックが適切に処理されないことで引き起こされる、さまざまな環境・社会的課題を指します。
プラスチックは軽くて安価で、加工もしやすいため、食品包装や家電、医療用品など私たちの生活に欠かせない存在です。しかし、その大半は使い捨てられており、リサイクル率も低いため、廃棄物として長期間自然界に残り続けます。
プラスチックは自然環境では分解されにくく、また、焼却処分すれば温室効果ガスを排出します。このような背景から、プラスチックの過剰使用や不適切な廃棄が、気候変動や海洋汚染、生態系への悪影響など、地球規模の深刻な課題となっているのです。
プラスチック問題による影響

プラスチックの利便性の高さは大きな魅力ですが、一方で、自然環境に深刻な影響をおよぼしていることも事実です。ここでは、プラスチックに引き起こされる問題を具体的に解説しましょう。
地球温暖化
プラスチックの多くは焼却処理され、その際に大量の温室効果ガスを排出します。また、プラスチックが水や太陽光にさらされて劣化すると、エチレンガスやメタンガスなどが発生し、それも地球の気温上昇を引き起こす要因になっています。
さらに、プラスチックの製造には多くのエネルギーが必要で、「製造・使用・廃棄」のサイクル全体を通して、地球温暖化への影響は避けられないとされています。
温暖化が進むと、異常気象の増加、海面上昇、生態系の破壊など、地球環境へのリスクが高まります。
資源の枯渇
プラスチックのおもな原料は石油です。石油は枯渇の恐れがある化石燃料で、採掘には膨大なエネルギーとコストがかかります。
大量生産・大量廃棄型の社会でプラスチックを使い捨て続けることで、貴重な石油資源は急速に消費され、将来的な資源枯渇の懸念が広がっているのです。
限りある資源を利用し続けるためには、プラスチックの使用を減らし、リサイクルを徹底することが不可欠です。
海洋プラスチック問題
ゴミとして捨てられたプラスチックが適切に回収されないと、雨や風で河川に流れ込み、そのまま海へ運ばれてしまうことがあります。これがいわゆる「海洋プラスチック問題」です。
海に漂うプラスチックは、魚や海鳥、ウミガメといった生き物が餌と間違えて飲み込んでしまうケースが多く、命にかかわる深刻な事態に発展することも少なくありません。
こうした状態が続けば、海洋生物の生態系が乱れるだけでなく、漁業など人間の生活への影響も避けられないでしょう。
マイクロプラスチック問題
マイクロプラスチックは、直径5ミリ以下の非常に小さなプラスチック片のことを指します。これは、プラスチック製品が長期間の摩耗や劣化によって細かく砕けた結果、生じるものです。
これらは目に見えないほど小さいため、魚や貝などの海洋生物が誤って体内に取り込むことがあります。その結果、人間の食卓にまで届く可能性があると指摘されています。
人体への影響についてはまだ研究段階にありますが、無視できないリスクがあるのです。
プラスチック問題の原因

利便性の高さもあり大量に使用され続けてきたプラスチックですが、今になってなぜプラスチック問題が深刻化したのでしょうか。
プラスチックゴミの増加
プラスチックの生産量は、1950年代以降急激に増加しました。現在までに世界で生産されたプラスチックは約83億トンを超えており、そのうち63億トンが廃棄されています。
さらに、回収されたプラスチックのうち79%は埋め立てられるか、あるいは海へと投棄されているのが現状です。このままのペースでプラスチックゴミの排出が続けば、2050年には海に存在するプラスチックゴミの総重量が、魚の総重量を上回るとも予測されています。
このような状況を食い止めるには、廃棄量の削減とともに、回収・再利用の体制をより強化していくことが求められるでしょう。
プラスチックの性質
プラスチックがここまで深刻な問題となる要因の一つに、その性質があります。
一般的なプラスチックは、自然界では分解されにくく、数十年から数百年にわたって地球上に残り続けます。また、焼却すれば二酸化炭素などの温室効果ガスを発生するため、地球温暖化を加速させるでしょう。
つまり、どのような処理方法をとっても環境への負荷を避けられないという構造的な問題を抱えているのです。このような性質があるからこそ、私たちは使い捨てを前提とした生活スタイルを見直す必要があります。
プラスチック問題への日本の取り組み

プラスチック問題に対しては、すでにさまざまな取り組みがなされています。具体的には、どのようなことが行われているのでしょうか。
「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」
日本政府は、深刻化する海洋汚染に対応するため「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」を策定しました。このプランの目的は、プラスチックを有効に活用しながらも、海洋への新たな汚染を発生させないことです。
具体的な取り組みとしては、ポイ捨てや不法投棄の根絶に加え、河川などから海に流れ込む意図しないプラスチックゴミの流出を防ぐ対策などが挙げられます。
さらに、漁具の適切な管理や港湾でゴミ回収体制の整備、アジア諸国への技術支援を含む国際協力の推進など、多方面からの取り組みが進められています。
出典:「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」の策定について|環境省
海岸漂着物処理推進法
「海岸漂着物処理推進法」は2009年に施行された法律です。2018年には、海岸に漂着するプラスチックゴミなどの廃棄物による深刻な影響に対応するため、一部が改正されました。
この法律は、国や自治体、事業者、住民が連携して、漂着ゴミを適切に処理することや、ゴミを発生させないことを目的としています。例えば、清掃活動への支援や、再利用可能なゴミの回収・分別方法の導入といった取り組みが推進されています。
また、教育現場や地域イベントなどを通じた啓発活動も盛んに行われており、国民の環境意識の向上も期待できるでしょう。
プラスチック資源循環促進法
2022年4月には、「プラスチック資源循環促進法」が施行されました。これは、製品の設計から廃棄までのすべての段階において、プラスチックの排出抑制や再資源化を促進することを目的とした法律です。
この法律のもとで進められているのが、スプーンやストローといった使い捨てプラスチック製品を、紙や木材、バイオマスプラスチックなどの再生可能な素材に置き換える取り組みです。
また、自治体や事業者には、分別・回収・再資源化といった対応が求められており、あらゆる主体が連携することで資源の循環型社会を実現することが期待されます。
出典:4月1日施行!プラスチック資源循環促進法で目指すこと|経済産業省 METI Journal ONLINE
プラスチック問題対策として私たちにできること

プラスチック問題に対し、私たちにもできることはあるのでしょうか。ここでは、身近で取り組みやすい対策を具体的に紹介します。
プラスチックゴミを減らす
プラスチックゴミを減らすためには、まず「使い捨てを減らす」意識を持つことが大切です。例えば、買い物にはマイバッグを持参し、飲み物をマイボトルで持ち歩くことで、レジ袋やペットボトルの使用を抑えられます。
また、コンビニエンスストアでもらえるスプーンやストローなどのプラスチック製品を断るのも効果的です。さらに、物を購入する際には、木や紙、金属などの繰り返し使える素材の製品を選ぶことで、プラスチック依存を減らせます。
こうした日常の小さな工夫や心がけの積み重ねがゴミの削減に直結し、環境保護につながるのです。
「3R」を意識する
プラスチック問題に取り組むうえで重要なのが「3R」の考え方です。
3Rとは「リデュース(ゴミを減らす)」「リユース(繰り返し使う)」「リサイクル(再資源化する)」の頭文字を取った言葉で、プラスチックを賢く利用するための基本的な方針とされています。
例えば、使い捨てを控えることでリデュースにつながり、容器や袋を繰り返し使えばリユースになります。その結果、海に流れ込むプラスチックゴミを減らせるでしょう。
また、きちんと分別して捨てれば、リサイクルによって資源として再活用されます。3Rを意識することは、ゴミの削減だけでなく、限りある資源を守ることにもつながるのです。
ゴミ拾いやイベントに参加する
プラスチックゴミの大部分は、風や雨などによって川から海へと流れ込んでいます。その状況を踏まえると、地域での清掃活動やゴミ拾いイベントへの参加は、環境保護への大きな貢献といえるでしょう。
特に海岸には、毎年大量のプラスチックが漂着しているため、個人や団体によるボランティア活動が不可欠です。近年では、企業や自治体が主催する「クリーンアップキャンペーン」も増えており、SNSを通じて参加を呼びかける動きも広がっています。
自らが行動するだけでなく、家族や友人を巻き込むことで、プラスチック問題に対する理解が深まり、行動の輪を広げることが可能です。
プラスチック問題は一人ひとりの意識が大切

プラスチック問題は、政府や企業だけでなく、私たち一人ひとりの行動が未来を左右する重要な課題です。日々の生活のなかで、プラスチック製品を「減らす・再利用する・適切に分別する」といった意識を持つことで、海洋汚染や地球温暖化の防止に貢献できます。
日本政府も、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の実現を目指しており、プラスチックの削減はそのための重要な一歩となるでしょう。
また、再生可能エネルギーを使った電力への切り替えや、環境に配慮したライフスタイルを心がけることも、未来の地球を守るために私たちができる大切な取り組みの一つです。
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エネワンでんき編集部
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