森林破壊の原因とは?世界と日本の現状・対策を詳しく解説

森林破壊の原因とは?世界と日本の現状・対策を詳しく解説

森林破壊は、私たちの暮らしや地球環境に深くかかわる問題です。SNSなどで「森林火災」や「違法伐採」のような、森林破壊に関するニュースを目にして気になった方もいるのではないでしょうか。農地拡大や経済開発、気候変動による自然災害などにより、世界の森林は急速に失われつつある状況です。その影響は、地球温暖化の加速や生物多様性の喪失など多方面におよびます。この記事では、森林破壊の原因や影響、国際社会や企業による対策について解説します。

【目次】

1.森林破壊とは?

 1-1.森林破壊の概要について

 1-2.森林破壊の要因

2.森林破壊のおもな原因

 2-1.強引な焼畑農業

 2-2.違法伐採・過剰伐採

 2-3.過剰な土地開拓

 2-4.森林火災

3.森林破壊がもたらす影響

 3-1.生物多様性の喪失

 3-2.地球温暖化の加速

 3-3.土壌の劣化と砂漠化

 3-4.水資源の減少

4.森林破壊の現状

 4-1.世界各地の森林破壊

 4-2.日本における森林破壊の実態

5.森林破壊への対策と取り組み

 5-1.国際的な取り組みと協定

 5-2.政府の政策と法規制

 5-3.企業の持続可能な取り組み

6.環境破壊を止めるために

森林破壊とは?

森林は地球環境を支える大切な存在ですが、今その姿が世界中で失われつつあります。

まずは、森林破壊の概要と要因について解説します。

森林破壊の概要について

森林破壊とは、自然に存在していた森林が、人間の活動や自然災害によって失われる現象のことです。例えば、木を伐採したあとに再植林を行わずそのまま放置したり、農地の拡大や都市の開発のために森林が取り除かれたりする場合が該当します。

一度失われた森林は、自然に再生するまでに非常に長い年月が必要なため、森林破壊が進行すればするほど、元の状態に戻すことは困難になります。

森林破壊の要因

森林破壊の背景にあるのは、世界的な人口増加と経済活動の拡大です。

特に、開発が進行中の地域では、食料生産や資源確保のために森林を伐採し、木材を燃料にしたり土地を農地へ転換したりする動きが進んでいます。また、干ばつや森林火災といった自然災害も森林破壊を加速させる要因として無視できません。

このように人為的な要因と自然的な要因が複合的に重なり、世界規模で森林の減少が続いています。

森林破壊のおもな原因

森林破壊は、さまざまな人間活動や自然現象が複雑に絡み合って進行しています。なかでも、次のような要因が大きく影響していると考えられています。

・強引な焼畑農業
・違法伐採・過剰伐採
・過剰な土地開拓
・森林火災

以下では、それぞれの原因について詳しく解説します。

強引な焼畑農業

焼畑農業は、森林を切り倒して焼き、残った灰を肥料として作物を育てる、世界各地で古くから行われてきた伝統的な農法です。本来、焼畑農業は自然の再生を考慮して、一定期間土地を休ませながら行われてきました。

しかし近年では、人口増加による食糧不足や土地不足が深刻化し、焼畑のサイクルを短縮したり、同じ土地を連続で利用したりする地域が拡大しています。

土地が回復しきらないうちに再び焼かれ、土地が痩せてしまうと森林は再生できません。特に熱帯地域では、森林破壊の大きな原因の一つとなっています。

違法伐採・過剰伐採

違法伐採や過剰伐採は、森林の回復速度を上回るペースで行われ、森林の減少や劣化を引き起こす原因となっています。

違法伐採とは、各国の法令に反して木材を伐採する行為のことです。例えば、許可された伐採量や区域を超えた伐採、国立公園や保護区での伐採などが含まれます。

違法伐採は、木材の生産地の環境や地域住民の暮らし・文化に深刻な影響をおよぼすケースも少なくありません。また、不当に安価な木材が市場に出回ることで、持続可能な森林経営の継続を困難にしている点も問題です。

過剰な土地開拓

世界的な人口増加にともない、食料やバイオ燃料への需要は年々高まっており、その需要に対応するため、各地で森林を伐採し農地開拓やインフラの開発が進められています。

例えば、東南アジアではパーム油の原料であるアブラヤシのプランテーションを開発したり、家畜の放牧地を確保したりする目的で、広大な森林が伐採されています。

また、アマゾンではさとうきびや大豆の農園、肉牛の飼育牧場、水力発電所の建設といった開発が進み、森林の大規模な減少につながっているのが現状です。

森林火災

森林火災も、森林破壊の原因の一つです。自然発火による森林火災はおもに乾燥によって起こります。

乾いた環境では、落ち葉や枯れ草の水分が失われて可燃性が高まり、そこへ風が加わることで、枯れ葉同士が摩擦し発火することがあります。一度燃え始めると周囲の乾いた植物にも火が移り、広範囲に火災が拡大してしまうため被害は計り知れないほどです。

近年では気候変動の影響により、気温上昇や干ばつの増加が発生しています。森林火災の発生件数も増え、一度に大量の森林が失われるリスクが高まっています。

森林破壊がもたらす影響

森林の減少は、単に木々が失われるだけにとどまりません。地球全体の環境や生態系、人間社会にさまざまな影響をおよぼしています。

ここでは、森林破壊が引き起こす代表的な問題について見ていきましょう。

生物多様性の喪失

森林は、樹木や草花などの多様な植物が生育し、花や実は動物の餌に、樹木の幹や地中は多くの生き物のすみかになるなど、生物の暮らしを支える重要な役割を果たしています。

しかし、森林破壊が進むと動植物が生息地を失い、生物多様性の喪失が進行します。動物や昆虫は別の場所へ移動する必要があり、その場を離れられない植物は枯れるほかありません。

代わりとなる環境がなければ個体数が減少し、絶滅危惧種となったり絶滅に至ったりするおそれがあります。

地球温暖化の加速

森林は大気中の二酸化炭素を吸収するため、地球温暖化や気候変動を防ぐためには欠かせません。しかし、森林破壊が進むとその機能が失われ、地球温暖化が加速します。

森林が減少すると温室効果ガスの排出量が増え、気流の乱れや雨量の変化といった気候変動を引き起こします。実際に、森林減少によって排出される温室効果ガスは、世界全体の排出量のおよそ2割に相当する数字です。

土壌の劣化と砂漠化

森林には、土壌の水分を保ち、雨による浸食を防ぐ役割があります。しかし、森林が失われると土壌の保水力が低下し、劣化や砂漠化が進みます。一度砂漠化が進むと、元のように緑を取り戻すのは簡単ではありません。

森林伐採による砂漠化が著しい地域としては、東南アジアやオーストラリア、アフリカが挙げられます。

砂漠化が進行すると作物や燃料などの確保が難しくなり、生活環境も悪化していきます。また、砂漠化によって降雨量が減り、干ばつやエルニーニョ現象が引き起こされることも問題です

水資源の減少

森林は、水の循環に欠かせない存在です。雨水を地中に浸透させたり、川への流出を調整したりすることで、水の貯留や洪水の緩和、水質の浄化といった「水源かん養機能」を果たしています。

しかし、森林破壊が進むとこうした機能が失われ、水資源の減少や水質悪化を招きます。

また、水道や下水道などのインフラが未整備なことで、水質汚染の問題を抱える国も少なくありません。森林の減少と相まって、水環境の悪化が人々の暮らしに直接影響を与えています。

森林破壊の現状

森林破壊は、地球規模で深刻化している環境問題の一つです。地域によってその背景や影響は異なりますが、世界各地で森林が急速に失われているのは事実です。

ここでは、世界と日本、それぞれの森林破壊の実態について紹介します。

世界各地の森林破壊

森林破壊は、アマゾンや東南アジアなど世界のさまざまな地域で進んでいます。特に熱帯地域では、農地拡大や木材などの資源採取を目的とした伐採により、多くの森林が失われている状況です。

森林破壊により、生態系のバランスの崩壊や、地球温暖化などが引き起こす気候変動への影響が懸念されています。

日本における森林破壊の実態

日本では、都市開発の影響などから森林が減っていると思われがちですが、天然林と人工林を合わせた総森林面積は1966年からほぼ横ばいで推移しており、大きく変化していません。

しかし、面積は変わらない一方で、森林の質の低下が問題視されています。林業の衰退や担い手不足、間伐などの手入れの不十分さが影響し、健全な森林環境の維持が難しくなっているのが現状です。

森林破壊への対策と取り組み

森林破壊を防ぐには、国際社会、政府、企業がそれぞれの立場で行動することが重要です。ここでは、具体的な取り組みの一部を紹介します。

国際的な取り組みと協定

国際社会では、森林破壊を抑えるための協定や枠組みが導入されており、代表的なものには「REDD+」があります。

REDD+とは、途上国が森林の減少や劣化を抑え、温室効果ガスの排出量を減らしたり吸収量を増やしたりした場合に、先進国が資金などで支援を行う仕組みのことです。

現在も各国でREDD+を推進するプロジェクトが実施されており、森林保全と温室効果ガスの削減に貢献しています。

こうした枠組みは、国際的な連携のもとで持続可能な森林経営を支える大きな柱となっています。

政府の政策と法規制

各国政府も、森林を守るために法規制を強化し、保護区の設定や違法伐採による木材の取引への罰則強化などが進められています。

例えば、ブラジルでは違法伐採への監視を強化し、インドネシアでは違法伐採をより厳格にチェックするシステムを構築しました。こうした政策は、無秩序な森林開発を抑制する手段として機能しています。

企業の持続可能な取り組み

企業も環境に配慮した取り組みを進めています。植林活動に取り組む企業のほか、アグロフォレストリーのように森林を守りながら農業を行う農法で育てられた作物を積極的に扱う企業も出てきています。

森林破壊を防ぐには、企業の積極的な関与が欠かせません。また、こうした活動は森林保全だけでなく、地域経済の支援にもつながります。

環境破壊を止めるために

森林は、地球環境の安定と私たちの暮らしに欠かせない存在です。しかし現在、農地の拡大や違法伐採、都市開発、気候変動による森林火災など、さまざまな要因で森林破壊が進み、環境への影響が深刻化しています。

その結果、生物多様性の喪失や地球温暖化の加速だけでなく、土壌の劣化や水資源の減少など、自然のバランスが大きく崩れつつあります。

環境破壊を止め、持続可能な社会を築いていくためには、一人ひとりが森林の現状に関心を持ち、日々の行動を見直していかなければなりません。

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    エネワンでんき編集部

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