環境保全とは?日本や企業・個人の取り組み事例と課題をわかりやすく解説

環境保全とは?日本や企業・個人の取り組み事例と課題をわかりやすく解説

環境保全とは?日本や企業・個人の取り組み事例と課題をわかりやすく解説

最近では、「環境保全」という言葉を目にする機会が増えています。しかし、具体的にどのようなものなのかピンとこないという方も多いのではないでしょうか。環境保全は、政府や企業だけが取り組むものではなく、私たち個人も取り組まなければならない課題です。本記事では環境保全の概要や、政府や企業による取り組みのほか、個人でもできる環境保全活動などについて解説します。

【目次】

1.環境保全とは?

 1-1.環境保全の概要

 1-2.環境保全が求められる理由

2.日本政府の環境保全政策

 2-1.おもな環境関連法規

 2-2.グリーン成長戦略

 2-3.自治体の環境保全活動

3.企業による環境保全の取り組み

 3-1.製造業の取り組み事例

 3-2.小売業の取り組み事例

 3-3.建設業の取り組み事例

4.個人でも簡単にできる環境保全活動

 4-1.日常生活での取り組み

 4-2.地域活動への参加

5.環境保全の課題

 5-1.環境問題の現状

 5-2.技術革新と新たな取り組み

6.環境保全に取り組んで持続可能な社会へ

環境保全とは?

そもそも環境保全とは何なのでしょうか。環境保全の基本的な考え方や、それがなぜ必要とされているのかについて解説します。

環境保全の概要

環境保全とは、自然環境や生態系を守り、持続可能な社会を実現するための取り組みです。近年、地球温暖化や生物多様性の喪失など、環境問題が深刻化しているなかで、環境保全の重要性が日に日に増しています。

環境保全が求められる理由

では、なぜ近年になって環境保全の重要性が高まっているのでしょうか。

その背景には、産業活動の拡大や都市化の進行により、環境への負荷が大きくなっていることがあります。エネルギーなどの資源を持続的に利用していくためには、環境保全が欠かせません。

それだけでなく、次世代にさまざまな生物やきれいな大気・水を引き継ぐためにも、環境保全は必要不可欠なのです。

このような課題に対応するためには、国際的な取り組みや国内での政策の推進が求められています。

日本政府の環境保全政策

では、日本政府はどのような環境保全政策をとっているのでしょうか。ここではおもな政策をご紹介します。

おもな環境関連法規

日本では、大気汚染防止法や水質汚濁防止法など、さまざまな環境関連の法律が整備されています。

これらの法律は、企業や個人が環境に与える影響を抑えるためのものであり「エコアクション21」の対象です。

エコアクション21とは、環境省が策定した環境マネジメントシステムで、中小事業者でも環境保全に無理なく取り組めるよう支援することを目的としています。

出典:エコアクション21|環境省

グリーン成長戦略

日本政府は、2050年までにカーボンニュートラルを実現することを目指し、「グリーン成長戦略」を策定しています。

カーボンニュートラルとは、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量と、吸収・除去される量のバランスを取ることで、実質的な排出量ゼロを目指すものです。

グリーン成長戦略では、再生可能エネルギーの導入や省エネルギーの推進をはじめ、経済成長と環境保全の両立を目指しています。

その実現は、もちろん簡単ではありません。しかし、政府はこうした取り組みに前向きな企業を支援するとともに、具体的な成長目標を設定し、カーボンニュートラルの達成に向けて取り組んでいるのです。

出典:2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略|経済産業省

自治体の環境保全活動

政府だけでなく、各地方自治体でも地域の特性に応じた環境保全活動が進められています。例えば、リサイクルの推進や、地域住民と協力して行う自然環境の保全活動などです。

鹿児島県大崎町には焼却炉が設置されていないため、家庭ゴミはすべて埋め立てて処分されてきました。

しかし、近い将来に埋立処分場の容量が足りなくなると予想されたことから、分別によるリサイクル強化に取り組むようになったのです。

その結果、毎年80%以上のゴミをリサイクルできるようになり、処分場は40年先まで使える見通しとなりました。

また、東京都では地域ごとに「保全地域体験プログラム」を展開中です。間伐や草刈りだけではなく昆虫観察なども行われており、住民が気軽に参加できる取り組みとなっています。

出典:シリーズ:自治体担当者に聞く!脱炭素施策事例集 リサイクル率日本一、焼却に頼らずごみを減量|WWFジャパン

出典:保全地域ボランティアの紹介|東京都環境局

企業による環境保全の取り組み

環境保全への取り組みは、政府や自治体に限らず、企業の間でも広がっています。

ここでは、製造業・小売業・建設業の3つの業種における具体的な取り組み事例をご紹介します。

製造業の取り組み事例

製造業では、環境負荷の低減や資源の有効活用を目指す企業が多く見られます。例えば、再生農業の活用や、製造過程での排出物削減などの取り組みです。

サントリーホールディングス株式会社では、「サントリー環境ビジョン2050」という独自の目標を掲げ、さまざまな取り組みを進めています。

原料となる大麦を再生農業によって生産・調達しているほか、耕作放棄地を活用したワイン用ブドウの栽培にも挑戦中です。

さらに、再生可能エネルギーを活用した発電設備などを導入し、CO2排出量ゼロ工場を建設するなど、環境保全を積極的に推進しています。

出典:地球とともに歩む未来へ|サントリーホールディングス株式会社

小売業の取り組み事例

小売業においても、店舗でのエネルギー効率の向上や、環境に配慮した商品の取り扱いなど、さまざまな形で環境保全への取り組みが進められています。

株式会社ドールでは、主力製品のバナナを通じて環境保全を行なっています。

バナナといえば、プラスチック包装でのパック販売が一般的ですが、ドールではバナナの量り売りをはじめました。

プラスチック袋を使用しないことでゴミの削減につながるほか、必要な分だけ購入できるため、食品ロスの抑制にもつながる取り組みです。

出典:バナナ エシカルバリューチェーンプログラム|株式会社ドール

建設業の取り組み事例

建設業では、環境に配慮した建材の使用や、施工時における環境負荷の低減などに努めています。

清水建設株式会社では、建設工事で発生する建設副産物の削減と再資源化のための「4R活動」に挑戦中です。

こん包材を使わず副産物の発生そのものをなくす「Refuse」。

代替型枠の採用によって副産物を減らす「Reduce」。

エコ型枠など再利用可能な資材を活用する「Reuse」。

そして、メーカーによるリサイクルを行う「Recycle」。

これらの活動により、環境への影響に寄与するよう尽力しています。

出典:資源循環・環境汚染防止|清水建設株式会社

個人でも簡単にできる環境保全活動

環境保全は公共団体や企業だけでなく、個人でも行えるものです。ここでは、個人でもできる環境保全活動を2つご紹介します。

日常生活での取り組み

日常生活のなかでも、節電やゴミの削減、リサイクルの実践などを通じて、環境保全に貢献できます。

例えば、照明をLEDに替えたり、エアコンの設定温度を見直したりすることで、無理なく節電が可能です。

また、発生したゴミは、適切に分別してリサイクルできるものは積極的に再資源化しましょう。コンポストを利用すれば、生ゴミは堆肥として再利用できます。

地域活動への参加

地域活動への参加も、環境保全活動につながる場合があります。

例えば、私たちの身近にある里山は、自然のダムの役割を果たすなど、大切な存在です。

こうした里山は、人の手によって適切に整備されなければ、生態系の維持が難しくなることがあります。しかし、里山は広範囲にわたるため、管理には多くの人手が必要です。

地域で行われている保全活動や植樹活動などに参加すれば、そうした里山の環境を守る助けとなるでしょう。

また、近くに里山がない都市部では、地域の清掃活動などに参加することでも、身近な環境保全に貢献できます。

環境保全の課題

環境保全は私たち全員が取り組むべき大切なテーマですが、実際に行動に移すとなると、いくつかの課題が立ちはだかります。おもな課題は以下の2点です。

環境問題の現状

環境保全を推進するには、これまでのビジネスモデルを根本的に変えなければならない場面もあります。これは、並大抵の努力では実現できません。また、イノベーションを起こすには、資金や人材、そして技術の開発も必要です。

こうした課題を乗り越えるには、環境保全に取り組む企業を支援したり、税制面での優遇などを通じて、企業が挑戦しやすい環境を整えることが重要です。そのためにも、官民の連携が欠かせません。

さらに、経済成長と環境保全を両立させるには、外国企業との連携を通じて日本企業の競争力を高めたり、国際的なルールや基準を策定したりするなど、国際協力も不可欠です。

技術革新と新たな取り組み

環境保全は、技術革新によって支えられています。

日本では、1970年代のオイルショック当時と比べて、製造業におけるエネルギー消費の原単位が約半分になるなど、技術による省エネを着実に進めてきました。

しかし、温室効果ガスを大幅に削減するには、これまで以上に革新的な技術の導入が必要です。

再生可能エネルギーのさらなる普及や、環境に配慮した製品・サービスの開発などが求められるでしょう。

出典:環境エネルギー技術革新計画|内閣府 総合科学技術会議

環境保全に取り組んで持続可能な社会へ

環境保全は、一部の専門家や団体だけで取り組むものではなく、誰もが日常のなかで向き合うべき重要なテーマです。さまざまな課題はありますが、再生可能エネルギーの普及や技術革新などを通じて、乗り越えていくことが求められます。

持続可能な社会を実現するためには、私たち一人ひとりの取り組みが欠かせません。日々の暮らしのなかに、環境保全の取り組みを少しでも取り入れていくことが求められています。

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    エネワンでんき編集部

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