火力発電のメリット・デメリットとは?仕組みから将来の課題までわかりやすく解説

火力発電のメリット・デメリットとは?仕組みから将来の課題までわかりやすく解説

火力発電のメリット・デメリットとは?仕組みから将来の課題までわかりやすく解説

火力発電は、私たちの暮らしを支える電源の一つです。天候に左右されずに発電できることや、発電量を調整できることなどがメリットで、国内では全体の発電電力量の60~70%を火力発電に頼っています。一方で、温室効果ガスの排出などデメリットもあり、火力発電への依存を減らしていくことが今後の課題です。この記事では、火力発電の仕組みや種類、メリット・デメリットを詳しく解説します。また、日本における火力発電の現状や課題も紹介するため、ぜひ最後までお読みください。

【目次】

1.火力発電とは?

 1-1.火力発電の基本的な仕組み

 1-2.火力発電の種類

2.火力発電のメリット

 2-1.安定した電力供給

 2-2.出力調整の柔軟さ

 2-3.高いエネルギー変換効率

 2-4.設置場所の制限の少なさ

3.火力発電のデメリット

 3-1.温室効果ガスの排出

 3-2.燃料の輸入依存と価格変動リスク

 3-3.化石燃料の枯渇リスク

 3-4.大気汚染物質の排出

4.日本における火力発電の現状

 4-1.火力発電の占有率

 4-2.政府のエネルギー政策

5.火力発電の課題と今後の展望

 5-1.カーボンニュートラルへの取り組み

 5-2.再生可能エネルギーとのバランス

6.火力発電を理解してエネルギーの未来を考えよう

火力発電とは?

火力発電は電気を生み出す発電方法の一つで、私たちの日々の生活に欠かせません。その基本的な仕組みや種類を紹介します。

火力発電の基本的な仕組み

火力発電は、石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料を燃焼させて水を蒸気に変え、蒸気の力で「タービン」と呼ばれる原動機を回転させて発電します。つまり、燃料を燃やして得られた熱エネルギーを、発電設備によって電気エネルギーに変換する仕組みです。

火力発電の種類

火力発電には、以下の4つの種類があります。

  • 汽力発電:蒸気の力でタービンを回す従来型の発電方式
  • 内燃発電:燃料を燃やしてディーゼルエンジンなどの内燃機関で発電する方式
  • ガスタービン発電:燃焼ガスで直接タービンを回す発電方式
  • コンバインドサイクル発電:蒸気タービンとガスタービンを組み合わせた発電方式

ちなみに、火力発電の主力となっているのは汽力発電です。一方で、熱エネルギーを効率良く利用できるコンバインドサイクル発電は、二酸化炭素(CO₂)の排出量が少ないことなどから、積極的な開発が進められています。

火力発電のメリット

火力発電は国内の発電電力量の60~70%を占め、人々の生活に欠かせないものです。火力発電のおもなメリットを紹介します。

安定した電力供給

火力発電のメリットは、燃料が供給される限り、安定的に電力供給を行える点です。太陽光発電や風力発電とは異なり、天候や自然条件に左右されることがありません。

出力調整の柔軟さ

日本には四季があり、季節によって電気使用量に差があります。火力発電は出力調整が可能なため、季節ごとの需要に応じて発電量をコントロールできます。急な電気使用量の増加にも対応できるなど、電力の需給バランスを保ちやすい点がメリットです。

高いエネルギー変換効率

火力発電のエネルギー変換効率は約35~55%と高く、ほかの発電方式と比較しても効率的にエネルギー変換が可能です。

出典: 「各種発電方式別にみたエネルギー変換効率」

設置場所の制限の少なさ

火力発電所は広大な土地を必要としないため、都市部近郊にも設置されています。設置場所の敷地が狭くなることで、送電ロスを抑えられるメリットもあります。

火力発電のデメリット

一方で火力発電にはデメリットもあります。詳しく見ていきましょう。

温室効果ガスの排出

火力発電のデメリットの一つが、温室効果ガスの排出です。温室効果ガスとは、CO₂やメタン、フロンガスなどを指し、大気中の熱を吸収する性質があります。火力発電では化石燃料を燃焼させる際に大量のCO₂が排出されるため、地球温暖化の主要因となっています。

燃料の輸入依存と価格変動リスク

日本は、火力発電で使用する化石燃料の多くを、海外からの輸入に頼っています。化石燃料の輸入は国際情勢の影響を受けやすく、価格変動リスクが高い点がデメリットです。

化石燃料の枯渇リスク

石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料には限りがあります。火力発電に化石燃料を使い続けることで、将来的な枯渇が懸念されています。

大気汚染物質の排出

火力発電においては、温室効果ガスの排出とともに、大気汚染もデメリットです。発電所の煙突からは二酸化窒素(NOx)や二酸化硫黄(SOx)、微粒子物質(PM2.5)といった有害物質も排出されます。これらは環境汚染を招くだけではなく、呼吸器系の疾患や心臓疾患など健康被害も引き起こすとされています。

日本における火力発電の現状

ここでは、日本における火力発電の現状を紹介します。

火力発電の占有率

日本では近年、再生可能エネルギーの普及や原子力発電所の再稼働により、火力発電の割合が減少傾向です。しかし依然として全体の60~70%を占めており、主要な電力供給源といえます。

安定した電力供給や地球温暖化防止の観点からも、今後いかにして火力発電の割合を減らしていくかが課題です。

政府のエネルギー政策

政府は2021年10月に発表した「第6次エネルギー基本計画」において、2030年度までに火力発電の割合を約41%に削減し、再生可能エネルギーの比率を36〜38%に引き上げる目標を掲げています。

出典:経済産業省 資源エネルギー庁「エネルギー基本計画の概要」

火力発電の課題と今後の展望

最後に、火力発電の課題と今後の展望について見ていきましょう。

カーボンニュートラルへの取り組み

カーボンニュートラルとは、CO₂を含む温室効果ガスの「排出量」と、植林や森林管理などによる「吸収量」を均衡させ、実質ゼロにすることです。日本も2050年のカーボンニュートラル達成を宣言しており、CO₂排出量を削減する取り組みが進められています。

火力発電に関しては、CCS(二酸化炭素回収・貯留)やCCUS(二酸化炭素回収・有効利用・貯留)といった技術開発の推進が挙げられます。

再生可能エネルギーとのバランス

再生可能エネルギーとは、太陽光や風力、バイオマスなどを活用した持続可能なエネルギーを指します。再生可能エネルギーの導入拡大は、エネルギー資源の乏しい日本にとって、安定した電力供給を行える方法の一つです。

持続可能なエネルギー供給体制を構築するためにも、再生可能エネルギーと火力発電の効率化の両立が求められています。

火力発電を理解してエネルギーの未来を考えよう

火力発電は、私たちの暮らしを支える重要な電源として、これまで日本のエネルギー供給を担ってきました。安定性や柔軟性といった大きなメリットがある一方で、温室効果ガスの排出や資源の枯渇などの課題も抱えています。

これからの時代は、火力発電の利点を活かしつつ、再生可能エネルギーとのバランスを取っていく必要があります。未来の地球と暮らしのために、火力発電を含めたエネルギーの在り方を一人ひとりが見つめ直すことが大切です。

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    エネワンでんき編集部

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