冷風機にかかる電気代は？メリットやデメリット、節電のコツも解説
冷風機にかかる電気代は？メリットやデメリット、節電のコツも解説
冷風機は手軽に使えて、電気代も抑えられる便利な家電ですが、メリットもあればデメリットや注意点もあります。どちらも踏まえた上で、ご家庭に合った使い方を見つけることが重要です。エアコンや扇風機との違いとともに、節電のコツも理解しておきましょう。
目次
冷風機にかかる電気代は？
冷風機は扇風機とエアコンの中間的な存在として、位置付けられることの多い電化製品ですが、実際の電気代はどれくらいかかるのでしょうか。まずは代表的な冷風機の電気代や、扇風機・エアコンとの比較を通じて、コスト面での冷風機の特徴を知っておきましょう。
冷風機の電気代の目安
冷風機の電気代は、1時間あたり1円前後から、高くても3円未満が一般的です。例えば、山善の「FCR-BWG403」をベースに、1時間あたりの電気代を計算してみましょう。同製品の消費電力は50Hz帯で35Wなので、電気代は次の計算式で導き出せます。
電気代（円） ＝ 消費電力（kW） × 使用時間（h） × 電力単価（円/kWh）＝0.035kW × 1時間 × 31円 ＝ 1.085円
従って、1時間あたりの電気代は約1円です。1日8時間使うと約8.7円、1カ月（30日）使うと約261円の電気代が発生すると考えられます。
※出典：商品情報_冷風扇 (リモコンタイプ) | 山善の商品情報サイト | YAMAZEN BOOK
扇風機の電気代との比較
次に、扇風機と冷風機の電気代を比較してみましょう。扇風機の代表例として、SHARPの「PJ-S3DS-W」をベースに電気代を計算してみます。メーカーの公式ページによると、同製品の消費電力は21Wなので、電気代は次の通りです。
電気代（円） ＝ 消費電力（kW） × 使用時間（h） × 電力単価（円/kWh）＝0.021kW × 1時間 × 31円 ＝ 0.651円
従って、1時間ごとの電気代は0.651円となります。8時間利用しても約5.2円で、30日だと約156円の電気代です。基本的に風を送るだけなので、冷風機に比べて電気代はかなり安いといえます。
特に、風量の最小運転時は2.2Wしか電力を消費しないため、1日8時間使っても電気代は1円未満（約0.55円）に抑えられます。
※出典：PJ-S3DS | サーキュレーター・扇風機：シャープ
エアコンの電気代との比較
続いて、エアコンと冷風機の電気代を比較してみます。日立のルームエアコン「RAS-AJ22R」をベースに、エアコンの電気代の目安を計算してみましょう。同製品の冷房時の平均消費電力は635Wなので、電気代の試算は次の通りです。
電気代（円）＝ 消費電力（kW） × 使用時間（h） × 電力単価（円/kWh）＝0.635kW × 1時間 × 31円 ＝ 19.685円
従って、1時間で19.685円（約20円）となります。1日8時間使うと 約158円で、1カ月（30日）だと約4,725円の電気代がかかる計算です。冷風機と比較すると、部屋全体を冷やせる分、多くの電気代がかかります。
※出典：ルームエアコン AJシリーズ ： 住宅設備用エアコン ： 日立グローバルライフソリューションズ株式会社
冷風機を導入するメリット
冷風機は手軽に設置・使用できる点や、電気代の安さなどが特徴です。具体的にどういったメリットがあるか、確認しておきましょう。
持ち運びが容易で簡単に使える
軽量でキャスター付きの製品が多く、部屋から部屋への移動も簡単なのは、冷風機の大きなメリットです。扇風機よりもひんやりした風が特徴で、局所的な涼しさを得られます。
「エアコンほど強力でなくてよいが、扇風機だけでは物足りない」という場合に、冷風機はちょうどよい選択肢になります。季節の変わり目には収納も簡単で、必要なときだけ出して使うスタイルにも適しています。
電気代が安く経済的に使える
上記のように、冷風機は一般的に消費電力が20〜60W程度と小さく、エアコンよりも消費電力を大幅に抑えられます。長時間使っても数十円以内に収まることが多く、ご家庭全体の電気代の上昇を抑える手段として有効です。
自宅で仕事をする際や夜間に寝室で使う場合も、エアコンよりも経済的に使える場合が多いのもメリットです。また、電力消費が少ないことから、太陽光発電や非常時のバックアップ電源とも相性が良く、災害時の備えとして選ばれることもあります。
設置やメンテナンスが簡単にできる
エアコンのような工事が不要で、電源と水を確保すればすぐに使えるのも、冷風機のメリットです。設置場所の制限も少なく、配管や穴あけなどの工事を伴わないため、賃貸住宅でも安心して導入できます。
また、メンテナンスも日常的な給水やフィルターの清掃程度で済むため、手間がかかりません。特に忙しいご家庭や、機械の扱いに慣れていない方にとっては、扱いやすさが魅力に感じられるでしょう。
さらに、定期的に手入れをすることで機器の寿命も延び、結果として買い替えの頻度や費用も抑えられます。
冷風機のデメリットは？
冷風機には多くのメリットがありますが、用途によっては、期待した効果を得られない場合もあるので注意が必要です。冷風機の導入を検討する上で、知っておくべきデメリットを紹介します。
エアコンに比べて冷却性能が低い
冷風機はあくまで水の気化熱を利用して冷たい風を出す仕組みであり、冷房機能としては「送風＋簡易冷却」にとどまり、室温を大きく下げることはできません。特に、湿度の高い日本の夏では気化効率が下がり、「風がぬるい」「ほとんど涼しくない」と感じる場合もあります。
猛暑日には冷風というより湿った涼風に近く、長時間の使用では物足りなさを感じるケースが多いでしょう。また除湿機能もないため、快適さという点でもエアコンとは性質が異なります。エアコンの代替として使うには、物足りない場合が多いので、あくまで局所的な涼しさを得る手段と考えておきましょう。
室内の湿度が上がりやすい
冷風機は水の気化熱を利用して風を冷やす構造のため、使用中に室内の湿度が上昇する傾向があります。梅雨時期や湿度が高い日には、不快に感じることもあり、むしろ熱中症リスクが高まるおそれもあるため注意しましょう。
とりわけ気密性の高い住宅の場合、冷風機を長時間使用すると、湿度がこもりやすくなります。湿度の上昇はカビの発生や家具の劣化にもつながるため、換気を意識して使うことが大切です。冷風機の効果を最大限に生かすために、部屋の通気に配慮し、適宜サーキュレーターなどとの併用も検討しましょう。
定期的な給水が必要になる
冷風機は、冷却のために内部に水を溜めておく仕組みであり、数時間から半日ごとに給水が必要になる場合があります。特に夏場や使用時間が長くなると、水の消費が早くなり、手間が増える原因になります。
製品によっては、氷を併用することで冷却効果を高めるタイプもありますが、その分、事前準備や管理の負担も増えるでしょう。給水が面倒に感じる方や、留守中の使用を想定している方には不向きな場合もあります。
また、水の衛生管理にも注意が必要で、放置するとカビや雑菌の繁殖リスクが高まるため、定期的な洗浄やメンテナンスも欠かせません。
冷風機がおすすめのご家庭の特徴
冷風機は全てのご家庭に適しているわけではありませんが、住環境や家族構成によっては、有効な選択肢になります。冷風機の導入がおすすめのご家庭の特徴を紹介します。
エアコンを設置できない・設置したくない
住宅の構造や賃貸契約の都合でエアコンが設置できない、または設置したくないご家庭には、冷風機が適しています。エアコンには室外機の設置や配管工事が必要なため、管理規約で制限されているマンションや、電気容量が限られている古い住宅などでは導入が難しい場合もあるでしょう。
その点、冷風機はコンセントがあればどこでも使えるため、設備に左右されず柔軟に対応できます。夏の間だけ使用し、オフシーズンはしまっておくこともできるため、手軽さやコストを重視する方におすすめです。
小さい子どもや高齢者・ペットなどがいる
小さな子どもや高齢者・ペットなどがいるご家庭では、冷風機のやさしい風が安全性の面でメリットになります。エアコンによる急激な冷却は、体調不良の原因になる可能性がある一方で、冷風機の穏やかな風は、体への負担が少ないのが特徴です。
また、送風口に触れてもけがのリスクが低いため、小さな子どもがいる環境でも、安心して使用できます。ペットにとっても冷風機の自然に近い風は心地よく、エアコンの風が苦手な動物にとっても負担を減らす手段になるでしょう。冷風機は家族の体調や安全を第一に考えるご家庭にとって、選びやすい冷房機器です。
冷風機にかかる電気代を抑えるポイント
冷風機はエアコンに比べれば電気代は安いものの、長時間つけっぱなしにすると、わずかながら電気代の負担が増えてしまいます。部屋全体を冷やしたいならば、一定時間エアコンを使い、そこから冷風機に切り替えるなどの工夫をしてみましょう。
また、部屋が暑くなりにくい環境をつくるのも有効です。断熱性の高いカーテンやブラインドを併用して、室温の上昇を防ぎましょう。冷風機の設置場所を工夫することも大切です。直射日光が当たる場所では効果が下がるため、部屋の奥側や日陰に置いた方が効率的に冷やせます。
それに加えて、湿度を下げることでも涼しく感じられるため、適度に除湿器を使うのもおすすめです。冷房機器に頼りすぎず、住環境全体の調整を意識することで、快適さと節電をうまく両立できます。
デメリットも理解して冷風機を導入しよう
冷風機はエアコンよりも電気代を抑えられ、設置や移動が手軽な点で魅力的です。一方で、冷却性能の限界や湿度の上昇、給水の手間といったデメリットもあります。こうした特徴を踏まえて使用する場面を選べば、非常に使い勝手のよい冷房機器となります。
特に、エアコンを設置できない住宅や、個人の部屋での利用を考えている方にはおすすめできます。電気代の節約や省スペース性を重視したい家庭にとって、冷風機は有力な選択肢となるでしょう。そのため、冷風機の特性を理解し、適切に活用すれば、夏を快適に乗り切る助けになります。
なお冷風機をはじめ、電化製品にかかる電気代を抑えるには、電気の料金プランや電力会社の乗り換えも有効です。新電力をはじめとしたサービスを比較・検討し、ご家庭のライフスタイルに合った契約に切り替えれば、年間の電気代をさらに抑えられる可能性があります。この機会に見直しを検討してみてはいかがでしょうか。
エネワンでんきは、電気使用量に合わせた最適なプランを選べるほか、さまざまな特典がついたプランも用意しています。電力会社の変更を考えるなら、ぜひエネワンでんきをご検討ください。
