
ガスエアコンは電気エアコンとどう違う?知っておきたい基礎知識を解説
ガスエアコンは電気エアコンとどう違う?知っておきたい基礎知識を解説
エアコンの種類には、電気エアコンのほかにガスエアコンというものもあります。その名の通り、ガスエアコンは電気ではなくガスを動力源に使用するエアコンです。ガスエアコンの特徴や見分け方、故障した場合の対処法をご紹介します。
目次
ガスエアコンとは

ガスエアコンとはどのような特徴を持つエアコンなのでしょうか。まずは、ガスエアコンの仕組みや見分け方について解説します。
ガスエアコンの仕組み
ガスエアコンとは、室外ユニット内の圧縮機をガスエンジンで動かして冷暖房を行う空調システムのことです。GHP式と吸収式の2種類があり、メジャーなのはGHP(ガスヒートポンプ)です。
エアコンでは、圧縮機により冷媒を循環させることで冷暖房を行っています。この仕組みはEHP(電気ヒートポンプ)・GHPともに同じです。
EHPとGHPの違いは、EHPが圧縮機を電気モーターで動かすのに対し、GHPではガスエンジンで動かすことです。この違いがGHPならではの快適な冷暖房を実現する大きな理由となっています。
ガスエアコンの見分け方
ガスエアコンでは室外機の圧縮機をガスエンジンで駆動させるため、室外機にガスホースがついています。配管や配線のほかにガスホースがあるか確認してみましょう。
室外機が電気エアコンのものより大きいことも、ガスエアコンの特徴です。ガスエンジンを搭載しなければならないため、一般的な室外機より大型で背が高く設計されています。
また、ガスエアコンの室外機のラベルには、「GAS」の記載があります。ガスホースや室外機のサイズで見分けがつきにくい場合は、ラベルに「GAS」の記載があるかも確認してみましょう。
ガスエアコンのメリット

ガスエアコンは電気ではなくガスを動力としているため、電気エアコンにはないさまざまなメリットがあります。ガスエアコンの主な魅力を見ていきましょう。
電気代を抑えられる
ガスのエネルギーを使って冷暖房を行うガスエアコンは、低消費電力の空調システムです。通常のガスエアコンでは、電力使用量を電気エアコンの約1/10まで抑えられます。自家発電が可能なタイプなら、電気エアコンの1/100程度しか電気を使いません。
また、ピークタイムの電力消費を抑えられるため、最大電力消費量を基準に決められる基本料金も削減できます。電気代を大幅に節約できることがメリットです。
ガスエアコンはガス代がかかるものの、電気代が抑えられるため、冷暖房にかかるトータルコストは抑えられる傾向にあります。
暖房の立ち上がりが早い
電気エアコンは暖房の電源を入れてから室温が設定温度に達するまで、ある程度の時間がかかります。すぐに暖を取りたいときには不向きです。
一方、ガスエアコンではガスエンジンの排熱を有効利用するため、電気エアコンより暖房が早く立ち上がります。排熱によってすでに温められた空気が室内に送り込まれるのです。
さらに、エンジンの回転数を室温に合わせて適切に調整するインバーター効果により、室内が素早く快適な温度になります。厳寒期でも暖房性能が落ちにくい点もメリットです。
停電時に強い
ガスエアコンのメリットには、停電時にも使用できる機種がある点が挙げられます。例えば、自家発電機能を備えたGHPでは、ガスの供給が維持されていれば、災害時に電気が止まっても冷暖房を使用できる場合があります。
真夏や真冬に災害が発生した場合、被災地では暑さ・寒さへの対応が大きな課題となります。避難所などに停電対応型のガスエアコンが設置されていれば、被災された方を暑さや寒さから守りやすくなるでしょう。
また、災害や緊急事態が発生した際に事業を継続・復旧するための計画「BCP(事業継続計画)」の観点からも、電力に依存しないガスエアコンは高く評価されています。
環境に優しい
一般的に、ガスエアコンは地球温暖化係数が低い自然冷媒を使用しています。一方の電気エアコンではフロン系冷媒を使用することが多く、地球温暖化に寄与する恐れがあります。
ガスエアコンは電気を介さず化石燃料を直接利用するため、エネルギー変換効率が高くなり、環境への負荷が低減されます。一方、電気を介してエネルギーを使用する電気エアコンでは、発電所での発電や送電によるエネルギーロスが発生します。
ガスエアコン導入前に確認しておきたいこと

メリットが多いガスエアコンにも、いくつか確認しておくべき点があります。ガスエアコンの導入を検討している場合は、以下に挙げる3点をチェックしておきましょう。
初期費用が高めになるケースも
ガスエアコンを導入する際の初期費用は、電気エアコンに比べ高くなる場合があります。特に新たにガス設備を設置する際は、配管工事などが必要になることもあるため、事前の確認が大切です。
なお、ガスエアコンは冷暖房にかかるランニングコストを抑えられるため、一般的には3~5年程度で費用の回収が可能です。また、補助金や初期費用なしで導入できるケースもあります。
定期的なメンテナンスが必要
ガスエアコンは安定的に使うために、定期的な点検や部品の交換が推奨されています。エンジンオイル・オイルフィルター・エアークリーナーエレメントなど、点検・交換が必要な部品は、自動車の部品とよく似ています。
専門業者によるメンテナンスが必要なこともあるため、事前にメーカーの保守体制などを確認しておくと安心です。
設置スペースや設置環境の確認が必要
ガスエアコンの室外機は、電気エアコンに比べ大きめのサイズが一般的です。室外機を設置する予定のスペースを確認し、十分な広さがあるか確かめておきましょう。
また、稼働音や排気が周囲に影響を与える恐れもあります。周辺環境への騒音や排気の影響がないか、導入前に確認することが重要です。
自宅のガスエアコンが故障したら?

ガスエアコンの調子が悪くなった場合は、どのように対処すればよいのでしょうか。自宅のガスエアコンが故障した場合の対処法について解説します。
修理や交換に時間がかかることも
家庭用ガスエアコンは、メーカーによって製造が終了している機種もあり、修理用パーツの入手が難しいことがあります。古いモデルでは対応までに時間がかかるケースもあるため、事前に販売店やメーカーに相談するのがおすすめです。
なお、電気エアコンでも年数が経過した製品では、同様に修理用の部品が手に入りにくくなることがあります。一般的な部品保有期間は10年程度とされており、購入後10年経過した電気エアコンについては、正規の修理を受けるのは難しいでしょう。
ガスエアコンか電気エアコンかにかかわらず、エアコンの修理や交換には時間がかかる場合があることを覚えておくことが大切です。
取り外しは業者に依頼しよう
電気エアコンを取り外す際は、室内機の冷媒ガスを室外機に閉じ込めたり、配管や配線を外したりする作業が必要です。素人が自分でやるのは難しいため、一般的には業者に依頼します。
ガスエアコンを取り外す際も、電気エアコンと同様の作業が発生するため、業者に依頼しましょう。エアコンの種類にかかわらず、設置から年数が経過したエアコンについては、専門業者による点検や相談が推奨されています。
ガスエアコンの特徴や故障時の対応を知ろう

ガスエアコンは電気エアコンとは異なる特徴を持ち、環境性や暖房性能に優れる一方で、メンテナンスや交換対応には注意が必要です。
現在問題なく使用できている場合は、そのまま使い続けても問題ありません。急いで交換する必要はありません。ただし、故障時の対応や今後のサポート状況については、早めに確認しておくと安心です。
ガスエアコンの仕組みやメリット・確認事項を正しく理解し、故障時の対応や今後の設備選びに役立てましょう。