
保険証は住所変更していなくても使える?ケース別の手続きとポイント
保険証は住所変更していなくても使える?ケース別の手続きとポイント
保険証の住所変更をしないと、原則として使用できません。引越し後は、できるだけ早めに手続きを済ませましょう。保険証の住所変更の方法や必要なものを把握し、手続きをスムーズに進めましょう。マイナ保険証についても詳しく解説します。
目次
保険証の住所変更をしないとどうなる?

保険証の住所変更を忘れた場合、医療費が全額自己負担になったり、保険料の納付書を受け取れなくなったりする恐れがあります。それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
医療費が全額自己負担になる
住所変更をしていない保険証は、引越し先では原則として使用できません。保険料を滞納しているわけではなくても、医療費が全額自己負担になってしまいます。
健康保険が適用される場合、大半の方の窓口負担は医療費の3割です。これが10割負担になると、通常の約3倍の支払いが必要になります。
住所変更後に手続きを行えば保険負担分の払い戻しを受けられるものの、払い戻しの手続きが面倒な上、家計も一時的に圧迫されます。
保険料の納付書を受け取れなくなる
保険証の住所変更をしないと、保険料の納付書が旧住所に送られ、新居で受け取れなくなる可能性があります。国民健康保険料の納付書は自宅に届きますが、住所変更の手続きをしなければ納付書を新居で受け取れません。
保険料の納付期限を過ぎると、未納日数に応じた延滞金が加算されてしまいます。さらに未納状態が続いた場合、最終的には財産を差し押さえられることにもなりかねません。
なお、社会保険の場合は保険料が給与から天引きされるため、滞納の心配は必要ないでしょう。ただし、保険証の住所変更をしなければ、医療費が全額自己負担になるリスクは残ります。
保険証の住所変更の手続き方法

保険証の住所を変更する手続きは、国民健康保険と社会保険で異なります。それぞれどのような手続きなのかを解説します。
国民健康保険の住所変更手続き
国民健康保険は、自営業やフリーランスの方などが加入する健康保険です。住所変更の手続きは、自治体の専用窓口で行います。引越し日から14日以内の手続きが必要です。
同一市区町村内へ引越す場合と他の市区町村へ引越す場合で、手続きの内容は異なります。いずれも本人が役所へ足を運べない場合は、代理人による手続きが可能です。
同一市区町村内へ引越す場合
同一市区町村に引越す場合は、住民票を異動するために転居届の提出が必要です。住所変更に伴い国民健康保険の住所も自動的に更新されます。
ただし、保険証の書き換えが必要となるため、忘れずに持参しましょう。本人確認書類と旧住所の保険証を提出すれば、新しい保険証が発行されます。
転居届の提出期限は引越し日から14日以内です。転居届の手続きと一緒に保険証の手続きも行えば、保険証の住所変更を期限内に済ませられることになります。
※出典:港区ホームページ/区内で転居しましたが、国民健康保険に届出は必要ですか。
異なる市区町村へ引越す場合
現住所と異なる市区町村へ引越す場合は、旧住所の自治体へ転出届を提出し、新住所の自治体で転入届を提出する必要があります。転出届の提出期限は原則として引越し日まで、転入届の提出期限は引越し日から14日以内です。
国民健康保険は市区町村ごとに運営されているため、転出届を提出すると、旧住所での国民健康保険の資格は自動的に喪失されます。特別な資格喪失手続きは不要です。
引越し後は、新住所の自治体で国民健康保険に加入する手続きを行い、新しい保険証を発行してもらう必要があります。加入の際には、転出届の提出時に受け取る転出証明書に加えて、本人確認書類が必要です。
なお、前住所で職場の健康保険などに加入していた場合は、その資格を喪失したことを証明する「健康保険資格喪失証明書」が求められることがあります。
※出典:港区ホームページ/転入届(港区外から港区へ引越しするとき)
※出典:港区ホームページ/区外から転入して、国民健康保険に加入したいのですが。
社会保険の住所変更手続き
主に会社員が加入する社会保険(厚生年金保険)の住所変更手続きは、勤務先が手続きを代行してくれます。引越しで住所が変わることが決まったら、早めに会社へ連絡しましょう。
加入先の健康保険組合は会社によって異なり、手続き方法も保険組合ごとに異なります。会社の指示に従って手続きを進めましょう。
なお、社会保険の場合は住所変更後も保険証が新規で発行されるわけではありません。同じものを継続して利用することになるため、住所欄の修正は自分で行う必要があります。
引越し後はマイナ保険証に移行しよう

マイナンバーカードを持っている方は、健康保険証との一体化が可能です。本格的な運用が始まったマイナ保険証について、移行する方法や住所変更の手続きを解説します。
マイナ保険証とは
マイナ保険証とは、マイナンバーカードを健康保険証として利用できる仕組みのことです。国民健康保険と社会保険の両方に対応しています。
マイナ保険証を利用する主なメリットには、次のようなものがあります。
- 薬や特定健診などの情報を初診でも医師や薬剤師にスムーズに共有できる
- 手続きなしで高額療養費の限度額を超える支払いが免除になる
- 確定申告時の医療費控除を簡単に行える
従来の健康保険証は2024年12月2日より新規での発行が停止され、今後はマイナ保険証を利用したほうが便利です。なお、マイナ保険証や有効な健康保険証がない場合は、資格確認書でもこれまで通り医療にかかることが できます。
※出典:マイナンバーカードの保険証利用について(被保険者証利用について)|厚生労働省
マイナ保険証に移行する方法
マイナ保険証への移行手続きには、以下3つの方法があります。
- 医療機関や薬局に設置されている顔認証付きカードリーダーから申請する
- 全国のセブン‐イレブンなどに設置されているセブン銀行ATMから申請する
- 政府が運営するオンラインサービス「マイナポータル」から申請する
顔認証付きカードリーダーやセブン銀行ATMで申請する場合、必要なのはマイナンバーカードだけです。また、スマホでマイナポータルアプリにログインできる場合は、自宅でも移行手続きを行えます。
マイナ保険証の住所変更手続き
マイナ保険証はマイナンバーカードと健康保険証が一体化しているため、マイナンバーカードの住所変更を行えば保険証の住所も更新されます。
異なる市区町村へ引越す場合は、引越し先の自治体でマイナンバーカードの継続利用の手続きを行いましょう。転入届の手続きと一緒に継続利用の手続きも済ませるのがおすすめです。
同一市区町村内で引越す場合、自治体の窓口で券面事項の変更手続きを行います。こちらも転居届の手続き時に併せて行うとよいでしょう。
※出典:マイナンバーカード(個人番号カード)の継続利用について|豊島区公式ホームページ
※出典:マイナンバーカード(個人番号カード)に関する手続きについて|豊島区公式ホームページ
保険証以外に住所変更が必要なものは?

引越しの際は、保険証以外にもさまざまなもので住所変更が必要です。代表的なものをチェックし、忘れずに手続きを行いましょう。
国民年金・厚生年金
引越し時には健康保険と併せて年金の住所変更も行う必要があります。ただし、マイナンバーと基礎年金番号が紐づいている場合、住所変更の手続きは不要です。
国民年金に加入している方は、国民年金手帳や本人確認書類を持参し、引越し先の自治体の窓口で手続きを行いましょう。住所変更の期限は引越し日から14日以内です。
厚生年金の手続きは会社が代わりに進めてくれます。住所が変わったら速やかに会社へ連絡し、指示に従って手続きを行いましょう。
※出典:年金に加入している方が引越したときの手続き|日本年金機構
運転免許証・車検証・車庫証明
運転免許証の住所変更の手続きは、新住所を管轄する警察署・運転免許更新センター・運転免許試験場などで行い、手数料はかかりません。申請時には運転免許証と新しい住所を確認できる書類が必要です。
車検証の住所変更は、普通車の場合は運輸支局または自動車検査登録事務所、軽自動車の場合は軽自動車検査協会で行います。また、車庫証明は新住所を管轄する警察署で住所変更の手続きを行うことが可能です。
※出典:記載事項変更(住所、氏名、本籍(国籍等)の変更の方) 警視庁
※出典:関東運輸局 東京運輸支局:自動車の検査(車検)・登録
郵便局(転送サービス)
郵便局の転送サービスを利用すれば、旧住所宛ての郵便物を新住所で1年間受け取ることができます。必須の手続きではありませんが、引越し後の郵便物を確実に受け取りたい場合に便利です。
郵便転送サービスを利用したい場合は、郵便局に転居届を提出する必要があります。転居届の提出方法は、「郵便局の窓口」「ポスト投函」「インターネット」です。
なお、郵便転送サービスを利用しても、郵便物以外の配送物は転送されません。ネットショップなどに旧住所を登録している場合は、新住所に変更しておきましょう。
また、保険証の住所変更をしていない場合、保険料の納付書は転送サービスを利用しても転送されません。
※出典:転居・転送サービス – 日本郵便
電気・水道・ガス
引越し時には電気・ガス・水道の手続きも必要です。旧住所での停止と新住所での開始について、電力会社・ガス会社・水道局に連絡する必要があります。引越しシーズンでは希望日から使えないこともあるため、早めに連絡しておきましょう。
引越しは、水道光熱費を見直す良い機会でもあります。例えば、引越しを機に電気料金が安い電力会社に変更すれば、電気代を節約できる可能性があります。
多くの電力会社は使用状況に応じたさまざまな料金プランを提供しており、家庭のライフスタイルに合ったプランを選ぶことで、電気代を効果的に節約できるでしょう。
エネワンでんきのように使用量に応じたプランを利用することで、年間で数万円の節約が期待できる場合があります。
まずは現在の電気使用状況を把握し、シミュレーションを行って最適なプランを選びましょう。
エネワンでんきで電気代がいくら安くなるかシミュレーションする
住所変更前に病院に行く場合はどうする?

引越し後すぐに病院に行く予定がある場合、保険証の住所変更が間に合わないケースがあります。この場合、一時的に医療費を全額負担することになりますが、住所変更後に病院で手続きを行えば、払い戻しを受けることが可能です。
マイナ保険証への移行手続き中で、マイナンバーカードが手元にない場合は、保険証の代わりとして資格確認書を発行してもらえます。なお、マイナ保険証を事前に持っていれば新たな交付を待つ必要がないため、保険証がない期間が発生しません。
引越し後は早めに保険証の住所変更を

保険証の住所変更をしないと、医療費が全額自己負担になったり、保険料の納付書が届かなかったりする可能性があります。特に、引越し後すぐに病院に行く予定がある場合は、事前に手続きを確認しておくことが重要です。
また、国民健康保険と社会保険では手続き方法が異なるため、自分の加入している保険に合わせて対応しましょう。
今後はマイナ保険証への移行が進むため、早めに切り替えを検討するのがおすすめです。住所変更の手続きを早めに済ませ、新しい生活を安心してスタートしましょう。