
追い焚きと風呂自動はどっちが安く使える?節約のコツも解説
追い焚きと風呂自動はどっちが安く使える?節約のコツも解説
毎日の入浴にかかる光熱費を、少しでも抑えたいと考える方は多いでしょう。追い焚きと風呂自動は、それぞれの機能や使い方によって、光熱費が大きく変わります。両者の違いや光熱費を節約するポイントについて、基本的な仕組みを理解しておきましょう。
目次
お風呂にかかる光熱費の基本情報

お風呂にかかる光熱費は一般的に、水道代とガス代・電気代に分かれます。水道代はお湯の量、ガス代や電気代はお湯を温めるエネルギーにかかる費用です。まずは、お湯をためる際にかかる光熱費の目安を確認しておきましょう。
お湯をためる際の光熱費の目安
一般的な浴槽(容量は200~280リットル)にお湯をためる際にかかる、光熱費の目安を算出してみます。ここでは東京都の住宅において、浴槽に200リットルのお湯をためるケースを想定し、必要な光熱費を確認していきましょう。
お湯をためるのに必要な水道代
東京都水道局によると、メーター口径20mmの1カ月の水道料金は、基本料金は1,170円です。さらに5m³までの使用ならば基本料金のみで、6~10m³の使用なら1m³あたり22円といったように従量料金がかかります。
月の使用量が5m³以内なら、基本料金の1,170円のみ負担すればよいでしょう。ただし基本料金が560円(0~8m³)の下水道料金もかかるため、合計金額は「1,170円 + 560円 = 1,730円」となり、10%の消費税を加えると最終的に1,903円です。
※出典:水道料金・下水道料金の計算方法(23区) | 手続き・料金 | 東京都水道局
お湯をためるのに必要なガス代
同じ条件でお湯をためるのに、必要なガス代も計算してみます。水道水の一般的な温度は13~27℃程度で、季節によって変動します。ここでは約20℃から40℃まで温めると仮定します。
すると、200リットルの水の温度を約20℃上げなければならないため、「200リットル×20℃=4,000kcal」のエネルギーが必要です。
さらに都市ガスの発熱量を10,750kcal/㎥、プロパンガス(LPガス)の発熱量を24,000kcal/㎥とした上で、エネルギーの8割を温度の上昇に使うと仮定します。必要なエネルギーの8割の値が4,000kcalなので、「4,000kcal ÷ 0.8 = 5,000kcal」のエネルギー量が必要なことが分かります。
次に、ガスの発熱量を考慮して、必要となるガス量(㎥)を計算してみましょう。上記の発熱量を基準とすると、都市ガスで必要なガス量は「5000kcal ÷ 10,750kcal/㎥ ≒ 0.465㎥」です。プロパンガスも同様に、「5,000kcal ÷ 24,000kcal/㎥ ≒ 0.208㎥」となります。
最後にガス代を計算します。東京ガスの2024年3月検針分における、一般契約料金の単位料金(B表)は153.24円です。従って「0.465㎥ × 153.24円 ≒ 71.3円」の計算式から、約71円のガス代がかかることが分かります。
一方のプロパンガスの場合、日本エネルギー経済研究所の石油情報センターによると、2024年12月時点での東京都のプロパンガス基本料金は1,893円、5㎥で5,062円です。
仮に1カ月のガス使用量が5㎥の場合、1㎥あたりの料金は「5,062円 ÷ 5㎥ = 1,012.4円/㎥」となります。従って、プロパンガスの料金は「0.208㎥×1,012.4円 = 210.9円」となり、約211円のガス代がかかる計算です。
※出典:ガス料金表(家庭用/業務用・工業用 共通)|東京ガス株式会社
※出典:一般小売価格 LP(プロパン)ガス 確報(偶数月調査)|石油情報センター
追い焚きの仕組みやメリット

追い焚きは、浴槽に溜めたお湯を温め直す機能で、家族全員が異なる時間に入浴する場合などに便利です。追い焚きの仕組みやメリットについて、整理しておきましょう。
適宜お湯を温め直す機能
追い焚き機能は、浴槽内の既存のお湯を循環させながら、必要な分だけ加熱する仕組みです。一度沸かしたお湯を再加熱して適温に戻す機能であり、温度センサーが湯温を検知して設定温度まで自動的に加熱するため、必要以上のエネルギー消費を防げます。
近年は、多くの家庭用給湯器に追い焚き機能が搭載されており、特に冬場や入浴時間がばらばらなご家庭におすすめです。お湯の温度が低くなった場合、ボタンひとつで温め直せるため、お湯を入れ直すのに比べて手間がかからず、エネルギー効率も良いのが特徴です。
常に適温のお風呂を使える
いつでも適温のお湯に浸かれるのが、追い焚き機能の最大のメリットです。お湯が冷める前に温め直せるため、常に適温の状態を保つことが可能で、家族それぞれが好みの温度に調整しやすいのも特徴です。
特に、複数人が異なる時間に入浴する場合に便利な機能で、長時間放置してお湯が冷めてしまう心配がありません。また、お湯を逐一捨てる必要がなく、入れ直すよりも早く利用できるので、ライフスタイルに合わせた快適な入浴が可能です。
ガス代・水道代の節約になる
追い焚きは浴槽の残り湯を温めて入れ直すので、お湯を逐一供給する必要がなく、ガス代と水道代の節約につながります。特に5人以上の世帯など、ご家庭の人数が多い場合、追い焚きをうまく活用することで、長期的に見て光熱費の大幅な節約につながるでしょう。
2人世帯や3人世帯でも、家族の入浴時間が分散する場合や、長時間お風呂を使用する場合には、経済的なメリットが大きくなります。
風呂自動の仕組みやメリット

風呂自動は、お湯の温度や量を設定することで、入浴時に自動で最適な状態にお湯を準備してくれる機能です。基本的な仕組みや導入のメリットを、確認しておきましょう。
効率性の高い注ぎ足し機能
風呂自動の注ぎ足し機能は、浴槽の水位が下がった際、自動的に適温のお湯を補充します。水位センサーと温度センサーが連動して働き、快適な入浴環境を維持できる仕組みです。
必要な分だけお湯を足すため、過剰にお湯を沸かすことがなく、無駄なエネルギーの消費を防げます。また、事前に適切に設定しておけば、基本的に手動での調整が不要になり、小さな子どもや高齢者がいるご家庭でもスムーズな入浴が可能になります。
適量のお湯を正確に準備できる
必要な量のお湯を正確に準備できるのは、風呂自動の大きなメリットです。設定した量に合わせて自動でお湯を注いでくれるため、湯量を調整する手間が省け、毎日の入浴がより効率的になるでしょう。
また手動で注ぎ足す場合と比べて、正確な温度調整ができるのも特徴です。事前の設定を間違えない限り、熱すぎたり冷たすぎたりするリスクはなく、浴槽の大きさや好みの温度に合わせて、細かな調整が可能です。
設定した時間で入浴できる
タイマー機能がある場合、指定した時間にお湯が準備されているため、入浴までの待ち時間が不要になります。帰宅後すぐに入浴できるので、忙しい人にとってはメリットが大きいでしょう。時間を有効に活用できるようになり、家事の効率化にもつながります。
特に、毎日決まった時間に入浴するなら、設定を記憶させることで手間なく入浴できます。季節や外気温に応じて湯温を自動調整できる機種も多いため、年間を通じて快適な入浴環境を維持できます。
追い焚きと風呂自動はどっちが安い?

追い焚きと風呂自動の仕組みやメリットを簡単に説明しましたが、結論として、どちらが安く利用できるでしょうか?それぞれに特徴とメリットがあり、使用環境や使い方に応じて、両者の経済性は変わってきます。ただし基本的には、追い焚きの方が安く済む傾向にあります。
基本的には追い焚きの方が安く済む
追い焚きは既存のお湯を再利用するため、繰り返し利用している間は、基本的に水道代はかかりません。必要な分だけ加熱できるため、光熱費を抑えられます。特に家族の入浴時間が分散する家庭や、お風呂を長時間使う習慣がある場合などは、追い焚きの方が経済的といえるでしょう。
風呂自動は適宜お湯を入れ替えるため、追い焚きよりも水道代もかかる傾向にあります。特にエコキュートの場合、お湯を沸かすのに必要な電気量は、追い焚きと風呂自動のどちらもほぼ変わりません。水から温めるならば、追い焚きをうまく活用するのがおすすめです。
風呂自動の方がお得になる場合もある
家族全員が決まった時間に入浴する場合や、短時間で入浴を済ませる習慣がある場合などは、風呂自動の方が効率的な場合もあります。湯が冷める前に使い切るならば、追い焚きによる再加熱が不要なことも多いでしょう。
風呂自動は正確な湯量管理ができ、無駄なエネルギーを使わないため、長期的には経済的です。生活リズムが規則的なご家庭ならば、風呂自動の利用も検討してみましょう。
お風呂にかかる光熱費を節約するには?

お風呂にかかる光熱費を節約するには、入浴の方法や設備の使い方を工夫することが大切です。以下のポイントを意識しながら、毎月の光熱費の負担を軽減しましょう。
極力お湯が冷めるのを防ぐ
お風呂の場合、極力お湯が冷めないようにするのは、節約の基本です。浴槽のふたをきちんと閉めて熱が逃げるのを防ぐなど、保温性を高めて追い焚きの回数を減らすことで、光熱費の節約につながります。
特に、冬場はお湯が冷めやすいため、浴室全体の保温対策が重要です。窓やドアの隙間からの冷気を防ぐには、断熱シートや防寒カーテンなどの活用も効果的です。浴室の換気扇からの冷気にも注意が必要です。使用していない時は、ふたをしておくのがよいでしょう。
また、断熱マットを使用し、浴槽の外側に保温カバーを取り付けることで、より効果的な保温が可能になります。入浴前に浴室を暖めておくのも効果的で、冷えた壁や床から熱が奪われるのを防ぎ、お湯の温度をより長く保てるようになります。
できるだけ短時間に入浴する
複数人でお風呂を利用する場合、できるだけ続けて入浴すると、追い焚きの回数を減らせます。長時間の入浴は、お湯の温度低下を招き、追い焚きの回数が増える原因となります。できるだけご家族で続けて入浴することで、お湯の温度低下を最小限に抑えられるようにしましょう。
また、浴槽に浸かる時間を適切に管理することも重要です。リラックスしたい場合は、入浴剤を活用したり、肩までしっかり浸かったりすることで、短時間でもリラックス効果を得られます。日々の習慣として、時間を意識した入浴を意識することで、快適さと節約の両立が可能です。
お湯の温度や量を調整する
お湯の温度や量を適宜調整することも、節約につながる重要なポイントです。給湯器で高温のお湯を作るには、より多くのガスや電気が必要となるため、温度や湯量の設定を下げることで光熱費の節約になります。
過剰な温度設定や湯量を避け、必要な分だけを使うように心掛けましょう。一般的に快適な入浴温度は38~40度程度とされており、それ以上の高温設定は体への負担も大きくなります。
また、季節によって適温は変化するため、夏場は少し低めに、冬場は少し高めに設定するなど柔軟に調整することが大切です。浴槽の水位も、体が十分に浸かる程度に抑えることで、無駄なお湯を減らす工夫が求められます。
追い焚きを利用する際の注意点
追い焚きを効率的に使用するには、注意点を押さえておくことが重要です。まず、浴槽の水位が循環口より低い場合は追い焚きができません。また、頻繁な追い焚きは循環口が詰まる原因となるため、定期的な清掃が必要です。
特に、追い焚き配管内は湿度が高く、菌が繁殖しやすい環境であるため、定期的に掃除するようにしましょう。また、追い焚き時は浴槽内の温度差によるやけどにも注意が必要です。特に、小さな子どもや高齢者がいる家庭では、慎重な使用が求められます。
さらに、入浴剤の成分が追い焚き配管内に残留すると、故障の原因になる可能性があるので注意しましょう。入浴剤を使いたい場合は、「追い焚き対応」と記載された商品を選ぶことが重要です。
料金プランや電力会社の乗り換えも要検討

お風呂にかかる光熱費を節約するには、料金プランの見直しや電力会社の乗り換えが有効です。より安く電気を使える会社に変更することで、毎月の負担を軽減できます。
近年、電力の小売自由化により、選択できる電力事業者が増えています。複数のサービスを比較・検討し、ご家庭に合ったプランを慎重に選択しましょう。
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