LPガスと都市ガスの違いは?LPガスのメリットや料金体系も解説
LPガスと都市ガスの違いは?LPガスのメリットや料金体系も解説
LPガスを使っているなら、メリット・デメリットや都市ガスとの違いを理解しましょう。ガス代が高いと感じている方は、まず料金体系を理解することが第一歩です。LPガスと上手に付き合っていけるよう、知っておきたい基礎知識を詳しくご紹介します。
目次
LPガスと都市ガスの違い
家庭用ガスの種類は、主にLPガスと都市ガスの2つに分けられます。自宅で使っているガスについて考える場合、それぞれの違いを理解することが大切です。
LPガスと都市ガスは、原料や供給方法・同じ体積当たりの発熱量が違います。LPガスのメリット・デメリットや節約方法を知る前に、まずは2種類の家庭用ガスの違いを押さえておきましょう。
原料やガスの性質
LPガスの原料は、プロパン・ブタンを主成分とする液化石油ガス(LPG)です。家庭用のLPガスはプロパンを多く含んでいるため、プロパンガスとも呼ばれます。
一方、都市ガスの主な原料は、メタンを主成分とする液化天然ガス(LNG)です。LPガスが原油から精製されるのに対し、都市ガスは天然ガスから精製されます。
LPガスは空気より重く、都市ガスは空気より軽いため、ガス漏れ警報器が設置されている場所からガスの種類の判断が可能です。また、LPガスと都市ガスのいずれも本来は無色・無臭ですが、ガス漏れに気付きやすくするよう、どちらも臭いを付けてあります。
供給方法
LPガスはボンベに詰められて各契約者へ配送されます。ボンベに入っているのは液化されたガスです。
ボンベの中の液体はボンベから外に出る際に気化してガスになります。ボンベの容積よりはるかに多くの体積のガスが得られるため、可搬性に優れている供給方式なのです。
一方の都市ガスは、地下の導管を通じて各契約者へ供給されます。都市ガスは液化が難しいため、最初から気体のままで供給されています。
ボンベで配送するLPガスは全国どこにでも供給できますが、都市ガスを供給できるのは導管が施設されているエリアのみです。
同じ体積あたりの発熱量
LPガスと都市ガスは、同じ体積あたりの発熱量も違います。LPガスが発する熱量(カロリー)は、同じ体積の都市ガスの2倍以上です。
同じ体積でお湯を沸かすなら、都市ガスを使って10分でお湯が沸く場合、LPガスを使えば5分以内にお湯を沸かせる計算になります。
ただし、実際のガス器具はLPガスと都市ガスのどちらを使っても、お湯が沸くまでの時間はほとんど変わりません。それぞれのガス器具で同等の熱量が出力されるようにガス量を設計されているためです。
都市ガスよりLPガスのほうが火力が大きいと思われがちですが、同じガス器具ならどちらも火力は同じです。
LPガスのメリット
普段から何気なくLPガスを使っていると、LPガスのメリットには気付きにくいものです。しかし、LPガスには2つの大きなメリットがあります。都市ガスとの比較でわかるLPガスのメリットを見ていきましょう。
どこに住んでいても使える
LPガスのメリットの1つに、全国どこでも使えることが挙げられます。LPガスは各契約者へボンベで供給するため、基本的には日本国内のどこに住んでいても使えるのが強みです。
一方の都市ガスは、導管が敷設されている地域でしか使えません。日本ガス協会の資料「都市ガス事業の現況」によると、都市ガスの普及エリアは国土面積の約6%にとどまり、普及率も約50~60%です。
また、都市ガスは導管が敷設されている道路から自宅に引き込む際、工事費用がかかります。このような費用が発生しないことも、LPガスのメリットです。
災害時に強い
LPガスには災害時に強いというメリットもあります。個別に安全確認が取れた家から利用可能になるため、被害が大きくなければ早期の復旧が可能です。
一方の都市ガスは、災害時の復旧が遅くなる恐れがあります。都市ガスは水道と同じく導管でつながっているため、ある家だけ見れば問題がなくても、どこかで問題が発生していれば地域全体の復旧ができません。
災害時に強いというLPガスのメリットを考慮し、避難所になる施設は、都市ガス圏内にある場合もLPガスの利用が推奨されています。また、可搬性に優れているLPガスを避難所や仮設住宅に設置すれば、煮炊きや暖房などの生活支援でも活躍します。
LPガスのデメリット
LPガスのデメリットは、都市ガスより料金が高いことです。できるだけガス代を安く抑えたいと思っても、都市ガスを使えない地域に住んでいる場合、選択肢がLPのみになることを許容せざるを得ないでしょう。
そもそもなぜ、LPガスの料金は都市ガスより高いのでしょうか。主な理由について解説します。
料金が都市ガスより高い
LPガスの料金が都市ガスより高い理由は、同じ燃える気体であるというだけで、まったく違うものだからです。
LPガスはアメリカや中東から輸入するプロパンなどの石油系ガス、都市ガスはオーストラリアやロシアから輸入する天然ガス(メタンなど)であるため、輸入価格から違いがあります。
都市ガスよりLPガスのほうが供給コストが高いことも、料金差が発生する理由の1つです。LPガスはボンベで各契約者に供給されるため、都市ガスでは発生しない人件費や配送費がかかり、その分の料金が上乗せされています。
また、LPガスは設置に伴う初期費用がかからないのに対して、都市ガスは初期費用を全額一括で契約者が支払う必要がある点にも注意してください。これらのガスの違いを理解してLPガスと上手に付き合っていきましょう。
LPガスの料金体系
LPガスの料金について考える際は、料金体系を知っておくことも大切です。料金の構成要素がわかっていれば、どのような部分にいくらの料金が発生しているのか把握しやすくなります。
LPガスの料金体系は、二部料金制・三部料金制・最低責任使用料金制の3種類です。従量料金の種類と併せて、料金体系の特徴を確認しましょう。
二部料金制
多くのLPガス会社で採用されている料金体系が、二部料金制です。「基本料金+従量料金」の計算式でガス料金を算出します。
基本料金はガス使用量に関係ない固定的な費用です。ガスを供給するための設備費や、保安・検針にかかる費用が含まれています。
従量料金はガス使用量に応じてかかる費用です。「従量料金単価×ガス使用量」の計算式で算出され、ガスの原料費や配送費などが含まれます。
従量料金の種類
従量料金単価の決定方法には種類があり、ガス会社により種類や単価が異なります。主な種類は次の通りです。
- スライド型:ガス使用量ごとに従量料金単価の価格帯が変わる
- 原料費調整型:原料の仕入れ価格に応じて従量料金単価が変わる
- 固定型:ガス使用量や原料価格に関係なく従量料金単価が固定されている
スライド型の場合、ガス使用量が一定量を超えるたびに、従量料金単価が安くなっていきます。原料費調整型では、従量料金単価が世界情勢や為替変動に左右されます。
なお、従量料金単価の決め方の種類は、三部料金制でも最低責任使用料金制でも同じです。
三部料金制
LPガスの三部料金制は、二部料金制で基本料金に含まれている設備利用費等料金が別立てになっている料金体系です。「基本料金+設備利用費等料金+従量料金」でガス料金を計算します。
設備利用費等料金に含まれるのは、配管の工事費・利用料やガス漏れ警報器利用料、集中監視システムの利用料などです。三部料金制は二部料金制に比べ、より透明性の高い料金構成となっています。
最低責任使用料金制
ガス使用量が最低使用量を超えるまでガス料金が一定にとどまる料金体系を、最低責任使用料金制と呼びます。計算式は「最低責任使用料金+従量料金」です。
最低使用量を超えない範囲でガスを使うと、従量料金は発生しません。最低使用量を超えた分のみが、従量料金として最低責任使用料金に加算されます。
最低責任使用料金は固定料金であり、二部料金制や三部料金制の基本料金と同じ扱いです。最低使用量に達しなくても固定の最低責任使用料金を請求されるため、ガス使用量が少ない場合は割高になるケースがあります。
LPガスの料金を安く抑える方法
ガスの料金を安く抑えるためには、ガスの使い方を見直すことが大切です。また、料金プランやガス会社を変えることによっても、ガス料金が安くなる可能性があります。
ガスの使い方を見直す
ガス代の節約につながる代表的な方法を、場所別に見てみましょう。
<キッチン>
- ガスコンロは強火ではなく中火で使用する
- お湯を沸かすときは熱効率が高い給湯器を使う
- ガスコンロ以外に電子レンジや炊飯器も活用する
- 蓋や落とし蓋を使って熱を逃げにくくする
- ガスコンロのバーナー部分をこまめに掃除する
<風呂場>
- 追い焚きの回数を減らす
- シャワーを出しっぱなしにしない
- 湯船用の蓋や保温シートを活用する
- シャワーヘッドを節水タイプのものに交換する
- お湯の温度を必要以上に上げない
<リビング>
- 利用用途に応じて暖房器具を併用する
- 暖房器具のエコ機能や省エネ機能を活用する
- 衣服を着込んで暖房器具の設定温度を下げる
ほとんどの方法は特別なものが必要なく、今日からでも取り組めます。積極的に試してみてはいかがでしょうか。
料金プランやガス会社を変更する
契約中のガス会社の料金プランを変えれば、ガス代を節約できる可能性があります。今よりガス代が安くなる料金プランがないか確認してみるのがおすすめです。
また、基本料金や従量料金単価はガス会社により差があるため、ガス会社を変更することで自宅のガス代が安くなるケースもあります。例えば、愛知・三重・岐阜の東海3県の一戸建てにお住まいの方は、中部電力グループの当社エネワンでんきが提供しているエネワンLPガスもぜひご検討ください。
中部電力ミライズかエネワンでんきの指定プランと併用してセット割が適用されれば、電気もガスもよりお得に使えます。見積もりや設備の下見は無料です。
LPガスの無償貸与契約とは
LPガスを使用しているご家庭では、ガス会社と無償貸与契約を結んでいることがあります。無償貸与契約は毎月のガス代にも関係するものであるため、どのような契約なのか理解しておきましょう。
配管工事や設備の初期費用を抑えられるサービス
LPガスの無償貸与契約とは、配管工事や設備設置にかかる初期費用を毎月のガス代に上乗せするものです。一般的には契約期間が10~20年に設定されます。
LPガスを契約する際、ガス設備は無償で貸与されますが、工事費や設置費は初期費用として発生します。この費用を最初に一括で請求せず、毎月のガス代と一緒に分割請求するというのが、無償貸与契約の仕組みです。
無償という言葉が使われていますが、実際にはリース契約のような形になるため、誤解を防ぐために設備貸与契約というサービス名にしているケースもあります。
無償貸与契約のメリット・注意点
無償貸与契約のメリットは初期費用を抑えられることです。例えば、新築物件を建てる際は新たにガス設備を用意する必要がありますが、無償貸与契約を結べば初期費用を削減できます。
一方、無償貸与契約では初期費用が毎月のガス代に上乗せされるため、月々支払うガス代はその分高くなってしまいます。契約期間内に解約すると、違約金が発生する恐れがあることもデメリットです。
賃貸集合住宅の無償貸与は禁止の方向に
賃貸物件でもオーナーはLPガスの無償貸与契約を結べますが、近年は問題視されています。ガス設備とは関係ない設備の費用まで無償貸与契約の対象となっているケースがあり、その分が入居者が払うガス代に転嫁されてしまっているためです。
かつての無償貸与契約の対象は、ガス設備に関係する費用のみでした。しかし、ガス会社間の競争が激しくなったことなどをきっかけに、エアコンやインターホンなどガスの供給に関わらない設備も、無償貸与契約の対象になっていった経緯があります。
物件のオーナーにとっては初期費用の負担が軽くなっても、代わりに入居者が余計な負担を強いられることになる点が問題です。
このような状況を受け、経済産業省は2023年、ガス利用に関係ない設備費の上乗せを2025年から禁止する方針を発表しました。また、無償貸与契約がある場合は、三部料金制にして料金を透明化することも併せて決まるようです。
※出典:LPガス代への設備費上乗せ禁止 経産省、25年に前倒し – 日本経済新聞
LPガスを理解しガス代の節約につなげよう
LPガスと都市ガスは、原料から供給方法、同じ体積あたりの発熱量までさまざまな点が違います。LPガスを都市ガスと比較したときのメリットは、どこに住んでいても使えることと災害時に強いことです。
一方、LPガスは都市ガスより高いため、節約のためにはその特性や仕組みを理解し上手に使うことを考えていくのがいいでしょう。ガスの使い方を見直したり料金プランやガス会社を変えたりして、ガス代の節約につなげていきましょう。