敷金・礼金とは？相場や目的、敷金・礼金なし物件の特徴も解説
敷金・礼金とは？相場や目的、敷金・礼金なし物件の特徴も解説
敷金・礼金とは、どのような費用で、どのタイミングで支払うのでしょうか？一般的な相場はいくらなのか、目的は何なのか解説します。近年増えている敷金・礼金なし物件の特徴や、敷金・礼金に関する疑問と回答も確認しましょう。
目次
賃貸物件の敷金・礼金とは
賃貸物件の敷金・礼金とは、どのような費用なのでしょうか？それぞれ、何のために支払うのか、意味を解説します。
「敷金」は保証金の役割を持つ
敷金を辞書で確認すると、「賃料などの債務の担保にする目的で、賃借人が賃貸人に預けておく保証金」とあります。つまり、敷金と保証金の役割はほぼ同じです。
もし、物件を借りている途中に問題があったときは、敷金が使われることがあります。賃料の補填や退去時の原状回復費用など、用途は多岐にわたります。
基本的に、何も問題がなければ敷金は退去時に返還されます。ほとんどのケースでは、使用中に壊れた箇所などの補修費用として使われることが一般的です。
「礼金」は家主へのお礼として渡すお金
礼金を辞書で確認すると、「部屋や家を借りるとき、謝礼金という名目で家主に支払う一時金」とあります。
つまり、礼金は家主に謝礼として渡すお金です。あくまでも「お礼」の意味を込めて渡すお金のため、敷金とは異なり退去時の返還はありません。
礼金は戦後の住宅事情から生まれた慣習といわれています。礼金を設定しているかどうかは地域差があり、場所によっては敷金のみであるケースもあります。
賃貸物件の敷金・礼金の相場
賃貸物件を契約する場合、敷金・礼金の相場とはどのくらいなのでしょうか？それぞれ、目安を紹介します。なお、あくまでも相場のため、すべての物件に当てはまるわけではありません。
敷金は家賃1～2カ月分、礼金は1カ月分が主流
国土交通省の「令和5年度住宅市場動向調査報告書」によると、2023年度に敷金・保証金があった世帯は51.5%です。
敷金・保証金の月数は「1カ月ちょうど」が最も多く63.4%となっています。次に、「2カ月ちょうど」が19.8%です。敷金は家賃1カ月分が主流で、2カ月分を設定している物件も見受けられます。
礼金があった世帯は38.3%と、敷金よりは少ない物件が対象になっています。月数は「1カ月ちょうど」が75.9%です。礼金は敷金よりもさらに家賃1カ月分の設定が多くなっています。
保証金や敷引が設定されているケースも
敷金・礼金という形ではなく、入居時の一時金が設定されているケースもあります。保証金や敷引を設定している物件は、東海〜沖縄までの関西エリアが中心です。
仲介会社の説明では、敷金（敷引）や敷金（保証金）のような形で記載されていることもあります。
保証金は敷金、敷引は礼金と同じような役割のため、相場は敷金・礼金とそれほど変わらないでしょう。
「敷引」は、敷金のうち退去時に返還されない金額を指します。退去時に戻ってこないことが確定しているため、契約の際は注意しましょう。
敷金・礼金がない物件の特徴
近年、敷金・礼金を設定していない賃貸物件の数は増えています。敷金・礼金がない物件にはどのような特徴があるのでしょうか？具体的に見ていきましょう。
初期費用が少なく入居しやすい
敷金・礼金がない場合、引越し費用や前家賃、前住居にかかる費用のみで新しい物件に入居できるケースが一般的です。
敷金・礼金が設定されていると、基本の費用に加えて敷金・礼金を支払わなければならないため、少ない物件やない物件の方が入居しやすくなります。
国土交通省の「令和5年度住宅市場動向調査報告書」によると、民間賃貸住宅の入居時の費用として、敷金・保証金は「家賃1カ月分」が64.9%、「家賃2カ月分」が25.0%を占めています1。また、礼金については「家賃1か月分」が69.4%、「家賃2か月分」が17.7%となっており1、大多数の賃貸物件で敷金・礼金が設定されています。
ほかの部分でお金がかかる可能性がある
敷金・礼金がかからないとしても、最終的に見積もりを依頼すると入居費用や住居費が高くなるケースもあります。
家主側が敷金・礼金を設定しない代わりに、ほかの費用で調整されている場合があるためです。
例えば入退居時のクリーニング費用や鍵交換代、仲介業者が提供するサービスなど、内訳はさまざまです。
それ以外に、家賃や更新料が高く設定され、トータルの費用がかかることもあります。ただし、敷金・礼金を取っていればほかの費用を請求しないという決まりはありません。
敷金・礼金の有無だけでなく、物件ごとの最終見積もりをよく確認しましょう。
周辺の物件に比べて条件が悪いリスクがある
もし周辺の物件がほぼ敷金・礼金を設定している場合、それを取らない物件には何かしらの理由があるかもしれません。地理的な条件が同じで、家賃や間取りにも大きな差がない場合は、他の要因を慎重に確認する必要があります。
内見や周辺環境の確認などを行い、入居に問題がないかどうかをチェックしましょう。
ただし、敷金・礼金を取っていない物件すべての条件が悪いと決まっているわけではありません。あくまでも敷金・礼金の設定は家主の判断のため、入居者には影響のない理由である可能性もあります。
敷金・礼金についてのQ&A
敷金・礼金の支払いや敷金の返還については、気になることも多いでしょう。Q&A形式で紹介します。
敷金・礼金を支払う時期はいつ？
敷金・礼金は入居前に支払います。支払う回数は1回のみです。併せて、敷金・礼金以外に入居前費用が必要な場合はまとめて支払うことが一般的です。
仲介会社や家主によって対応している支払方法は異なりますが、現金の持参や振り込み、クレジットカード決済などが多いでしょう。
入居前に支払うということは、事前にお金を準備しておかなければなりません。金額を確認し、期限までに支払えるのかは契約前によく考えましょう。
敷金はどのくらい戻ってくる？
敷金は、退去時に戻ってくることがあります。そもそも、いくら戻ってくるのでしょうか？
リクルート住宅総研による「賃貸住宅生活実態調査」には、東京の敷金返還状況のアンケートがあります。満額返ってきたという回答は12.2%です。
反対に返ってこなかったという回答は31.0%で、敷金がまったく返ってこないとしても不自然ではありません。敷金は退去時に原状回復の費用として使われるため、室内に原状回復の必要があると判断されるとその分が差し引かれます。
敷金が必ず返還されるとは限らないため、減額されるか返還されないケースも想定しておきましょう。
出典：リクルート住宅総研NYC, London, Paris & TOKYO賃貸住宅生活実態調査
敷金・礼金は必ず払う必要がある？
敷金・礼金は家主が設定しているため、支払わないのであれば契約ができません。敷金・礼金を含む入居費用は前払いであり、支払わずに入居することは難しいでしょう。
状況によっては減額に応じる家主もいますが、ほとんどは提示された金額をそのまま支払います。交渉はできるものの、家主側に応じる義務はありません。
敷金・礼金を支払いたくないと強く言い続けた場合、経済的に何らかの問題があると捉えられる可能性もあります。基本的には、あらかじめ提示されている家賃や入居費用が支払える物件を選びましょう。
敷金・礼金の相場や目的を理解しておこう
敷金・礼金は、賃貸契約時に発生する費用です。敷金は保証金の役割として、礼金は家主への謝礼金として設定されています。
相場は敷金が家賃1〜2カ月分、礼金が家賃1カ月分です。必ず設定されているものではなく、敷金・礼金なし物件も増えています。
敷金・礼金なし物件を選ぶ場合、初期費用が抑えられるメリットがありますが、その他の条件も慎重に確認する必要があります。敷金・礼金を含めて費用面や契約条件をしっかり把握し、納得いく住まい選びを進めましょう。
