本籍とはどのようなもの?確認・変更の方法や住所との違い

本籍とはどのようなもの?確認・変更の方法や住所との違い

本籍とはどのようなもの?確認・変更の方法や住所との違い

引越しや結婚といったイベントのときは、本籍をどうするか悩む方が多いタイミングです。そもそも本籍とは何なのか、住所との違いがわからない場合は、まず基本を押さえましょう。本籍を変更すべきなのかの考え方や、方法も解説します。

目次

1.本籍とは何?

 1-1.戸籍を置いている場所

 1-2.本籍には好きな場所を設定できる

 1-3.本籍と住所の違い

 1-4.本籍を確かめる方法

2.本籍を変更するメリットとデメリット

 2-1.【メリット】戸籍謄本を楽に取得できる

 2-2.【デメリット】相続時に手間がかかる

 2-3.【デメリット】免許証とパスポートの手続きが必要

3.引越しの際に本籍変更は必要?

 3-1.本籍変更の義務はない

4.本籍を変更する方法

 4-1.家族全員で本籍を移す場合

 4-2.筆頭者・配偶者以外の人が本籍を移す場合

5.結婚時・離婚時に本籍はどうなる?

 5-1.結婚後は夫婦同一の本籍になる

 5-2.離婚後は筆頭者でない片方が除籍になる 

  5-2-2.親が離婚しても子どもの戸籍は変わらない

6.本籍の意味をしっかりと理解しよう

本籍とは何?

本籍は日常生活で扱う機会があまりなく、言葉の意味をよく理解していないという方もいるかもしれません。まずは本籍について、住所との違いを中心にご紹介します。

戸籍を置いている場所

本籍とは戸籍を登録している場所のことです。日本における戸籍は、生涯の親族関係を公的に登録し証明する書類のことを言います。

また、一般的には本籍とほとんど同じ意味で使われる言葉として、「本籍地」という単語を目にしたことがある方も多いかもしれません。しかし、厳密には次のように意味が違います。

  • 本籍:戸籍を置いている具体的な場所(番地まで)
  • 本籍地:戸籍を管理している自治体

戸籍から把握できることは、夫婦のような家族関係や、個人の出生から死亡までの親族関係です。内容を確認したい場合は、本籍地の市区町村役場へ出向いて戸籍謄本や戸籍抄本を取得しましょう。

※出典:法務省:戸籍

本籍には好きな場所を設定できる

本籍は日本国内であれば、どこでも好きな場所に決められます。ただし夫婦の間に生まれた子どもだけ戸籍を分けることはできないため、子どもは親の戸籍に入り、本籍が親と同じになる決まりです。

通常子どもは結婚するまで、親の戸籍に入ったままになっています。しかし成年であれば自由に本籍を移転できるので、結婚時の本籍を親が婚姻中に変えたために、子どもも実家や生まれた場所以外が本籍になるケースもゼロではありません。

また結婚や離婚をしたタイミングでは、必ず本籍が変わります。結婚で親の戸籍から抜けた後は、好きな場所に本籍を設定することが可能です。成年になった子どもが、親の戸籍から抜けて新たな戸籍を作ることもあります。

本籍と住所の違い

住所は住民票の届け出を行っている場所です。民法や地方自治法・住民基本台帳法などの法律上では「各人の生活の本拠」とされています。引越した後きちんと住民票を異動させているなら、現時点で住んでいる場所が住所と考えましょう。

一方、本籍は戸籍を置いている場所のことを指します。住民票と戸籍はまったく別のものなので、住所と本籍も意味が違うのです。本籍は自由に決められるので、住所と同じ方も違う方もいます。

※出典:民法 第22条 | e-Gov法令検索

※出典:住所・住民概念について

本籍を確かめる方法

自分の本籍がどこなのかを知りたいとき、基本的には本籍が載っている住民票を取得します。住民票を発行する際は、本籍記載のあり・なしを選べるため、本籍記載ありを選びましょう。

かつては運転免許証にも本籍が記載されていましたが、現在は本籍の表示がありません。ただ内蔵のICチップには本籍の情報が登録されているため、スマホアプリを使えば運転免許証でも確認できます。

ほかには本籍が記載された書類を探したり、親に聞いたりする方法も1つの方法です。状況に合わせて確認の手段を選びましょう。

本籍を変更するメリットとデメリット

本籍は自由に変えられますが、変更したとき便利になること、逆に不便になるかもしれないことを知らずに移して後悔するのは避けたいところです。

引越しやその他の事情で本籍を変えるか悩んでいる方は、変更によって具体的にどのようなメリット・デメリットがあるのかを知っておきましょう。

【メリット】戸籍謄本を楽に取得できる

本籍を変えると便利な点は、戸籍謄本や戸籍抄本の取得が楽になることです。本籍が住んでいる場所から遠いのであれば、本籍を自宅住所または自宅の近くに変更することで、戸籍謄本や戸籍抄本を取得しやすくなります。

戸籍は郵送でも取り寄せられますが、本籍が遠ければ手元に届くまで時間がかかってしまうでしょう。急ぎの用事で必要な場合は、期日までに間に合わないかもしれません。

ただ、遠い場所からの戸籍の取り寄せに時間や手間がかかっていたことを受け、戸籍法が改正されました。2024年3月1日からは、遠隔地の戸籍も最寄りの役所・役場で取得できるようになっています(コンピュータ化されていない一部の戸籍を除く)。

※出典:法務省:戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)

戸籍謄本・戸籍抄本が必要なシーン

戸籍謄本や戸籍抄本の提出が必要になる場面には、例えば次のようなケースがあります。

  • 本籍地以外で婚姻届を出したい
  • 離婚届を出したい
  • パスポートを申請したい
  • 年金受給を開始したい
  • 生命保険の保険金を請求したい
  • 公正証書遺言を作成したい
  • 遺産相続の手続きをしたい

なお、戸籍法の改正により、2024年3月1日からは戸籍を届け出るときの負担が軽減されます。

例えば、本籍地でない場所で戸籍の届け出をする場合、これまでは戸籍証明書の提出が必要でした。しかし、2024年3月以降は届け出る市区町村で戸籍を確認できるようになるため、戸籍証明書の提出が原則として必要なくなります。

さらに今後は、マイナンバーを提出すればどこでも戸籍が確認できるようになる予定です。戸籍謄本・戸籍抄本が必要なシーンは、今後だんだんと減っていくでしょう。

※出典:法務省:戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)

【デメリット】相続時に手間がかかる

本籍を変更するデメリットの1つに、自分が死亡したときに遺産を相続する人の負担が増えることがあります。遺産相続時の手続きには、故人が生まれてから死亡するまでの戸籍がすべて必要になるためです。

故人が転籍(本籍を変えること)した回数が多いほど、戸籍を取り寄せる手間や費用がかかってしまいます。残された家族が戸籍の取り寄せに苦労することになりかねません。

現在の戸籍に載せたくない情報がある場合、本籍を変えればそれらの情報は現在の戸籍には記載されなくなります。ただし、相続時に手間がかかるデメリットを考慮するなら、本籍はあまり頻繁に変えないほうがよいでしょう。

【デメリット】免許証とパスポートの手続きが必要

本籍を別の場所に変えると、運転免許証やパスポートも変更の手続きをしなければなりません。その手続きに時間や手間を取られてしまうことも、人によっては本籍を変更するデメリットになるでしょう。

なお、運転免許証は住所が変わったときも手続きが必要ですが、パスポートについては住所変更だけなら手続きが不要です。引越し時に本籍まで変えたためにパスポートの手続きも発生してしまい、面倒に感じる方もいるかもしれません。

※出典:こんな時、パスポートQ&A|外務省

引越しの際に本籍変更は必要?


本籍を変えるデメリットからそのままにしようと思っても、引越し時に本籍を変更する義務があれば変えざるを得ません。引越し時には本籍変更が必要なのか、基本的なルールを解説します。

本籍変更の義務はない

住所が変わったからといって、本籍も変えなければならない義務はありません。住所変更と本籍変更はまったく別であり、リンクしていないためです。

ただし引越しで本籍を変更すれば、メリットが大きくなるケースもあります。例えば、現住所から遠く離れた場所へ引っ越す場合、新居の近くに本籍を移せば戸籍を取得しやすくなります。

引越し時に本籍を変えるかどうか迷ったら、「義務がないからそのままでよい」とだけ考えず、メリット・デメリットをてんびんにかけて判断しましょう。

本籍を変更する方法

自分の意志で本籍を変える方法としては、転籍と分籍の2種類があります。届け出ができる人や場所、必要書類などをチェックしておきましょう。

家族全員で本籍を移す場合

戸籍に載っている人すべての本籍を変えることを、転籍といいます。転籍すると、すべての家族の戸籍が新しい本籍地に移ることになります。

転籍の届け出ができるのは、戸籍の筆頭者か筆頭者の配偶者の2人だけです。筆頭者は戸籍の一番最初に名前が記される人のことで、同じ戸籍に載っている人は筆頭者と同じ姓になります。つまり、夫婦の姓を夫の姓にする場合は夫、妻の姓にする場合は妻が筆頭者ということです。

転籍の手続きは、現在の住所・本籍がある自治体の役所か、新しい本籍地の役所でできます。転籍届と戸籍謄本を準備し、役所の窓口で手続きをしましょう。なお、同じ市区町村の中で本籍を変える場合、戸籍謄本は必要ありません。

※出典:本籍を移すときの手続きはどのようにするのですか。横浜市

※出典:戸籍法 第108条・第109条 | e-Gov法令検索

筆頭者・配偶者以外の人が本籍を移す場合

戸籍に記されている人のうち、筆頭者・配偶者を除く成年が自分1人だけ本籍を移すことを、分籍といいます。成年になった子どもは、分籍して親の戸籍を離れ、自分だけの戸籍を作れる決まりです。

分籍の届け出ができるのは、現在の戸籍から抜ける本人だけと定められています。手続きの場所は、転籍の場合と同じです。分籍届と戸籍謄本を持参しましょう。

なお、分籍後は元の戸籍に戻れないことに注意が必要です。とはいえ分籍で親の戸籍から離れても、親子であるという関係に変わりはありません。

※出典:戸籍法 第二十一条 | e-Gov法令検索

結婚時・離婚時に本籍はどうなる?

結婚や離婚をした後には、夫婦の少なくともどちらか一方の本籍が強制的に変わります。戸籍にどのような動きがあるのか、子どもの戸籍がどうなるのかと併せて見ていきましょう。

結婚後は夫婦同一の本籍になる

戸籍は「夫婦と結婚していない子ども」を1つの単位として作られます。婚姻届を提出すると、夫婦それぞれが元の戸籍から離れ、夫婦同一の新しい本籍になります。

婚姻届には新しい本籍の記入欄があるため、婚姻届を出した後に別途手続きをする必要はありません。新しい本籍は自由に決められます。夫婦いずれかの元の本籍を、夫婦の新しい本籍にすることも可能です。

なお、筆頭者とその配偶者は、分籍で戸籍を離れることができません。夫婦の戸籍が別々になるのは、原則として離婚した場合のみです。

※出典:戸籍法 第十六条 | e-Gov法令検索

離婚後は筆頭者でない片方が除籍になる

夫婦が離婚すると、筆頭者でない片方は「除籍」となり、通常は結婚する前の戸籍に戻ります(復籍)。戸籍の筆頭者が変わるため、姓も結婚前のものになります。

筆頭者でない片方は、復籍以外に新しく自分だけの戸籍を作ることも可能です。この場合、離婚歴の情報は新しい戸籍に引き継がれません。

一方、夫婦で作った戸籍の筆頭者は、離婚後も筆頭者としてそのまま戸籍に残ります。新しい戸籍は作れず、離婚歴の情報も戸籍に記載されます。

※出典:戸籍法 第19条 | e-Gov法令検索

親が離婚しても子どもの戸籍は変わらない

離婚すると夫婦のうち筆頭者でない1人は除籍となりますが、子どもは戸籍に残ったままです。筆頭者でない方が新しい戸籍を作るケースでも、子どもが自動的にその戸籍へ移ることはありません。

子どもを新しい戸籍に入れ、新しい戸籍のほうの姓を名乗らせたい場合は、家庭裁判所で「子の氏の変更許可」を申し立てることになります。家庭裁判所の許可を得たら、市区町村役場に届け出ましょう。

入籍の届け出ができる場所は、子どもの本籍地か届け出人の住所地です。届け出には審判書謄本が必要になるほか、戸籍謄本の提出を求められることもあります。

※出典:戸籍法 第十八条 | e-Gov法令検索

※出典:民法 第七百九十一条 | e-Gov法令検索

本籍の意味をしっかりと理解しよう

本籍とは戸籍が登録されている場所のことです。今住んでいる場所を指す「住所」とは、意味がまったく異なるので、違いをしっかりと理解しておきましょう。本籍は自由に移転できるほか、好きな場所を設定することも可能です。

本籍を変えるにあたっては、戸籍謄本の入手が楽になる一方、遺産相続時の手間が増えてしまう、免許証・パスポートの手続きが必要になるというデメリットもあります。

引越しをしたからといって、本籍を変更しなければならない義務はありません。メリットとデメリットを比較し、変えるかどうかを判断しましょう。

関連記事

  • DIYでお得に省エネ対策を
    • 節電
    • 新生活
    DIYでお得に省エネ対策を
  • 一人暮らしの引越し費用はどのくらい?できるだけ安く抑えるポイント
    • 新生活
    一人暮らしの引越し費用はどのくらい?できるだけ安く抑えるポイント
  • 電気の引越しはお早めに!引越し時の電気の契約に関する注意点を解説
    • 新生活
    電気の引越しはお早めに!引越し時の電気の契約に関する注意点を解説
  • HOME   ›   新生活   ›   本籍とはどのようなもの?確認・変更の方法や住所との違い
    PAGE TOP